オノンドライシロップの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
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オノンドライシロップの特徴
オノンドライシロップはプランルカストを成分とし、気管支喘息や鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状をもたらすアレルギー性鼻炎に対して効果がある粉薬です((オノンドライシロップ10% 添付文書))。
オノンドライシロップは気管支喘息に対しては肺機能(ピークフロー値)を改善し、アレルギー性鼻炎に対しては三大主徴(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)のいずれの症状も改善する作用が確認されています((オノンドライシロップ10% インタビューフォーム))。
オノンドライシロップは体重によって使用する量が異なってくる特徴があります。乳児に対しては使用経験が少ないとされていますが、禁忌ではなく乳児に実際に使用されるケースも多くあります。
オノンはドライシロップ剤の他に主に大人に使用されるカプセル剤があります。今回の記事では主にオノンドライシロップについて確認していきます。
オノンドライシロップの味は
オノンドライシロップの味は甘い味がついており、特別なにおいはありません((オノンドライシロップ10% 添付文書))。小児用の薬であるため、子供でも飲みやすい味となっています。
実際の服薬事例に関しても問題なく服薬できる事例が多いとされており((五十嵐 隆, 乳幼児・小児服薬介助ハンドブック, じほう))、服薬されるにあたり苦労するケースはあまりないと言えるでしょう。
オノンドライシロップの効能効果
オノンドライシロップは気管支喘息、および鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状をもたらすアレルギー性鼻炎に対して効能効果が認められている薬です。
オノンドライシロップの効能効果の詳細は以下の通りです。
気管支喘息
アレルギー性鼻炎
オノンドライシロップ10% 添付文書
オノンドライシロップの作用機序
オノンドライシロップの作用機序はロイコトリエン(LT)受容体拮抗作用によるものです。
ロイコトリエンとは、気管支の収縮やアレルギー反応に関与する物質であり、オノンはこのロイコトリエンが受容体に結合するのを抑制し、気道の炎症を抑え、気管支喘息の症状を起こりにくくしたり、鼻炎の症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)を抑えます。
オノンドライシロップの効果時間
オノンはどちらかと言うと即効性がある薬ではありません。
一部の効果は即時的に実感できるケースもありますが、通常、効果発現は内服開始後1週程度で認められ、連用で改善率が上昇するとされています((藤村昭夫, 頻用薬の使い分け, 羊土社))。
オノンドライシロップは鼻づまりの症状が得意
オノンは鼻水、鼻づまり、くしゃみといった鼻炎症状の中でも特に鼻づまりに対して効果が高いとされています。
その理由として、オノンの作用点であるロイコトリエンは、鼻粘膜血管の拡張などに大きく関与しており、オノンにより鼻粘膜の血管を収縮させることによって鼻づまりが改善します。
オノンドライシロップの実際の患者への効果
オノンドライシロップの実際の患者さんに対する効果は臨床試験にて確認されています。
気管支喘息に対しては喘息症状の軽減、併用治療薬剤の減量、肺機能の改善効果、が認められており、72.4%の改善率が確認されています。
アレルギー性鼻炎に対しては、主要評価項目である花粉曝露室入室中の重み付き鼻症状合計スコアについて、プラセボに対する優越性が確認されています((オノンドライシロップ10% 添付文書))。
オノンドライシロップの風邪への効果
オノンドライシロップは風邪における鼻炎症状に対しては基本的に効能効果の範囲外となります。
ただし、風邪をひいたときの鼻炎症状でもアレルギー性の要因が関わっているようなケースでは一定の効果が期待できるため、実際には医師によって処方するケースもあります。
鼻炎の症状で風邪と思ってクリニックにかかってオノンドライシロップを処方された、というケースでは指示された通り使用して問題ないと言えるでしょう。ただし、自己判断で手持ちのオノンドライシロップを風邪で使うようなことは避けましょう。
オノンドライシロップの使い方
オノンドライシロップは体重によって使用する量が異なる薬です。使用する回数は1日2回が一般的であり、朝食後と夕食後に使用します。
オノンドライシロップの用法用量の詳細は以下の通りです。
通常、小児にはプランルカスト水和物として1日量7mg/kg(ドライシロップとして70mg/kg)を朝食後および夕食後の2回に分け、用時懸濁して経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。1日最高用量はプランルカスト水和物として10mg/kg(ドライシロップとして100mg/kg)とする。ただし、プランルカスト水和物として成人の通常の用量である450mg/日(ドライシロップとして4.5g/日)を超えないこと。
体重別の標準投与量は、通常、下記の用量を1回量とし、1日2回、朝食後および夕食後に経口投与する。
体重 | ドライシロップ1回量 |
12kg以上 18kg未満 |
0.5g(プランルカスト水和物として50mg) |
18kg以上 25kg未満 |
0.7g(プランルカスト水和物として70mg) |
25kg以上 35kg未満 |
1.0g(プランルカスト水和物として100mg) |
35kg以上 45kg未満 |
1.4g(プランルカスト水和物として140mg) |
オノンドライシロップ10% 添付文書
オノンドライシロップは食後に使用した方が効果が高い
オノンドライシロップの成分であるプランルカストは食後に使用した方が薬の濃度が高くなることが確認されており、食後に使用することによって高い効果が得られると考えられます。
プランルカストを食前と食後に使用した場合の比較の調査が行われており、その結果は、食後投与の方が最高血漿中濃度(Cmax)、薬物血漿中濃度推移曲線下面積(AUC)の増加が認められたという結果でした((オノンドライシロップ10% インタビューフォーム))。
食前に使用すると十分な効果が得られない可能性もあるため、特別な理由がない限りは食後に使用するようにしましょう。
オノンドライシロップは乳児でも使用することがある
オノンドライシロップは12kgから用量が設定されていますが、医師によっては乳児に対しても使用するケースがある薬です。
オノンドライシロップの製造販売会社である小野薬品工業のWEBサイトにおいても1歳未満の乳児に対しても年齢制限はないとされており、1歳未満の患者さん(合計429例)を対象に使用実態調査を実施した結果、有効性と安全性に問題は認められなかったとしています((オノンカプセル/オノンドライシロップQ&A))。
1歳未満の乳児に処方された場合にもあまり心配せず、医師の処方量通りに使用するようにしましょう。
オノンドライシロップは大人は通常使用しない
オノンドライシロップは基本的に小児に使用することを想定している薬であり、一般的に大人には使用しません。
ただし、オノンカプセルと同じ成分を含む薬であるため、大人に対して使用した場合も適切な量を使用すれば同じ効果が得られると考えられます。何らかの理由で医師が大人に対してオノンドライシロップを処方した場合はその指示通りに使用することで特に問題はないと言えるでしょう。
オノンドライシロップの副作用|眠気は少ない
オノンドライシロップの副作用として、臨床試験と製造販売後調査で報告されたものは、1,426例中40例(2.8%)であり、主なものは下痢(0.6%)、尿中血陽性(0.5%)、尿中蛋白陽性(0.4%)などとされています((オノンドライシロップ10% 添付文書))。
薬の副作用の定番である眠気にかんしても報告はありますが、その頻度は0.23%とされおり、頻度は決して高くありません((オノンドライシロップ10% インタビューフォーム))。
オノンドライシロップの飲み合わせ
オノンドライシロップは他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります((オノンドライシロップ10% 添付文書))。
飲み合わせに注意が必要なものは以下の通りです。
成分名等 | 代表的な薬剤 |
主に CYP3A4によって代謝される薬剤 | |
CYP3A4 を阻害する薬剤 (イトラコナゾール、エリスロマイシン等) |
エリスロシン、イトリゾール |
上記のような飲み合わせについては専門的な知識がない人であれば判断が難しいケースが多いため、基本的に他の薬を使用している場合使用には事前に医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。
ただし、風邪の時などに一緒に処方される薬については基本的に飲み合わせに問題がないものがほとんどです。
解熱鎮痛剤のカロナール、コカール、抗生物質のメイアクト、フロモックス、ワイドシリン、クラバモックス、去痰剤のムコダイン、ムコソルバン、咳止めのアスベリン、抗炎症薬のトランサミン、抗ヒスタミン薬のアレグラ、アレロック、アレジオン、ジルテック、整腸剤のビオフェルミンRなどこのような薬の併用は問題ありません。
オノンドライシロップの薬価・ジェネリック
オノンドライシロップの薬価は、2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)で1gあたり70.8円となっています。
オノンドライシロップにはジェネリック医薬品が販売されており、成分名であるプランルカストDSの名称で販売されています。オノンドライシロップのジェネリック医薬品の薬価は1gあたり35.2〜40.7円であり、オノンドライシロップよりも安価となっています。
オノンドライシロップの市販での購入
オノンドライシロップの成分であるプランルカストは市販薬としては販売されていません。
また、オノンが分類されるいわゆる抗ロイコトリエン薬は市販薬としては販売されていない系統の薬であり、基本的には市販では購入できない薬となるのでご注意ください。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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