ロキソニンSプレミアムの特徴とロキソニンとの違い

2016年4月11日に市販の新しいロキソニンとしてロキソニンSプレミアムが発売されました。新発売のロキソニンSプレミアムについて、その特徴を従来のロキソニンシリーズと比較し、効果や副作用、成分、使い方の違い、価格や使い分けなどについて解説します。

<目次>
ロキソニンSプレミアムの特徴
ロキソニンとの効果と使い方の違いは
ロキソニンSプレミアムの効果時間
ロキソニンSプレミアムで懸念される副作用
ロキソニンSプレミアムの価格と使い分け

ロキソニンSプレミアムの特徴

ロキソニンSプレミアムは従来のロキソニンやロキソニンSと比較すると含まれる成分が違い、より痛みに効果が強くなった点が特徴と言えます。
解熱鎮痛薬は人によって成分の相性があり、人によって最も効果を感じる成分は異なるケースがあります。
しかし、一般的には飲み薬として市販されている解熱鎮痛成分の中ではロキソニンの成分が最も効果が強いものの一つと言われています。その成分にさらに鎮静成分や頭痛に効く成分を追加したロキソニンSプレミアムは、近年市販されている飲み薬の解熱鎮痛薬の中では最強クラスの効果が期待出来ると言えるでしょう。
処方薬のロキソニンや市販薬のロキソニンSはロキソプロフェンという解熱鎮痛成分のみが含まれる薬であったのに対し、ロキソニンSプレミアムはロキソプロフェンに加えて、鎮静作用のあるアリルイソプロピルアセチル尿素、主に頭痛に対して効果が期待出来る無水カフェイン、胃粘膜を保護する作用のあるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが含まれています。
ロキソニンSプレミアムに含まれるそれぞれの成分の詳細は以下の通りです。
ロキソプロフェンナトリウム・・・ロキソニンシリーズのメインの成分です。市販で使用される解熱鎮痛成分の中では最も効果が強いものの一つであり、副作用も比較的少ないとされています。近年市販薬でも使用できるようになりました。
アリルイソプロピルアセチル尿素・・・従来より市販薬でも使用されている鎮静成分であり、痛みの感覚を和らげたり、興奮やいらいらなどを鎮める作用も期待できます。その作用から眠気が出る可能性もあります。
無水カフェイン・・・中枢神経に作用して、主に頭痛に対する鎮痛効果を助けます。様々な市販薬に含まれており、他の成分の副作用で出る眠気を緩和する作用も期待できます。
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム・・・いわゆる制酸剤の成分の一つであり、胃酸を和らげて胃を保護する作用があります。他の市販薬でもよく使われている成分です。
処方薬を含めたロキソニンの飲み薬シリーズをまとめると以下の通りになります。

名称 区分 含まれる成分 特徴

ロキソニンS

市販薬 ロキソプロフェンナトリウム水和物 市販のロキソニンのスタンダードなタイプ。成分は処方薬のロキソニンと全く同じ

ロキソニンSプラス

市販薬 ロキソプロフェンナトリウム水和物、酸化マグネシウム ロキソニンSに胃に優しい成分が追加されており、胃が弱い方などに適している
ロキソニンSプレミアム 市販薬 ロキソプロフェンナトリウム水和物、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム ロキソニンSに鎮静成分、鎮痛成分が追加され、痛みに対しては最強クラス。胃に優しい成分も含まれている

ロキソニン錠60mg

処方薬 ロキソプロフェンナトリウム水和物 処方薬であり、医師の処方によっては1回2錠使用できるケースもある

ロキソニン細粒10%

処方薬 ロキソプロフェンナトリウム水和物 処方薬であり、医師の処方によって使用量が決まる

上記の表の通り、ロキソニンSプレミアムはロキソニンSがパワーアップしたものという位置付けとなるでしょう。
ロキソニンSプレミアム

ロキソニンとの効果と使い方の違いは

市販のロキソニンは全て同じ効能効果を持っており、ロキソニンSプレミアムも同じです。今までロキソニンSやロキソニンSプラスを使用していた方は同じ目的でロキソニンSプレミアムを使用することができると言えるでしょう。
また、処方薬のロキソニンと市販薬のロキソニンシリーズでは効能効果が異なります。ロキソニンを処方されていて市販薬でも使用したいという場合は、自分の疾患が市販薬の適応になるか確認してから使用しましょう。
処方薬も含めたロキソニンシリーズの効能効果は以下の通りです。

名称 効能効果
ロキソニンS ○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱
ロキソニンSプラス ○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱
ロキソニンSプレミアム ○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱
ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%(処方薬) 1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛2.手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎3.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

 
続いてはロキソニンシリーズの使い方についてです。
ロキソニンSプレミアムの特徴の一つとして、1回2錠使用する点があります。これは従来のロキソニンSやロキソニンSプラスと大きく異なる点ですので注意が必要です。
また、処方薬のロキソニンに関しては、医師の判断により2倍量が使用されるケースがありますが、市販薬についてはそのようなことはできませんのでご注意ください。
詳細は以下の通りになります。

名称 用法用量
ロキソニンS 次の量を、水又はお湯で服用して下さい。
[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):1錠:2回まで。
症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて服用して下さい。
ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。
服用間隔は4時間以上おいて下さい。
15歳未満:服用しないで下さい。
ロキソニンSプラス [年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):1錠:2回まで。
症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて水又はぬるま湯で服用して下さい。
ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。
服用間隔は4時間以上おいて下さい。
15歳未満:服用しないで下さい。
ロキソニンSプレミアム [年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):2錠:2回まで。
症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて水又はぬるま湯で服用して下さい。
ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。
服用間隔は4時間以上おいて下さい。
15歳未満:服用しないで下さい。
ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%(処方薬) 効能効果1の場合
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。効能効果2の場合
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。効能効果3の場合
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mgを頓用する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大180mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

なお、ロキソニンSプレミアムは1回2錠となりますが、メインの成分であるロキソプロフェンを1回で摂取する量はロキソニンSと変わりません。ロキソニンSは1錠でロキソプロフェンが60mgが入っていますが、ロキソニンSプレミアムは1錠でロキソプロフェンが30mgしか含まれていないためです。
ロキソニンSプレミアムでは成分のロキソプロフェンを2倍量摂取できるというわけではありませんのでご注意ください。

ロキソニンSプレミアムの効果時間

ロキソニンSプレミアムはメインの成分であるロキソプロフェンの特徴から、効き目が出始める時間は15〜30分、効果が持続する時間は7時間程度と考えられます。
これらの時間は成分であるロキソプロフェンで得られているデータであり、他に3種類の成分が含まれているロキソニンSプレミアムに関しては多少前後する可能性がある点にご注意ください。
ロキソニンの成分であるロキソプロフェンの効果時間に関しては以下の記事も併せてご参照ください。
ロキソニン(ロキソプロフェン)の効果と効果時間、副作用について

ロキソニンSプレミアムで懸念される副作用

ロキソニンの成分は比較的安全性が高い成分と言われていますが、従来のロキソニンと比較してロキソニンSプレミアムでは眠気が出る、眠くなる可能性があると言えます。
その理由はロキソニンSプレミアムに含まれるアリルイソプロピルアセチル尿素にあります。
アリルイソプロピルアセチル尿素は鎮静成分として使用される成分であり、緊張や興奮を抑える目的で使用され、その作用の仕方から眠気を感じることもある成分です。ロキソニンSプレミアムには、眠気を緩和する無水カフェインも含まれているため、眠くなる副作用は多少抑えることができると考えられるものの、人によっては眠くなってしまうことが予想されます。
従来のロキソニンでも頻度は低いながら眠気の副作用は注意喚起されていますが、ロキソニンSプレミアムについては眠気の副作用の頻度が高くなると予想されます。そのため、ロキソニンSプレミアムに限っては使用後の車などの運転について禁止されていますので、この点はご注意ください。
その他、ロキソニンシリーズ全般的に言われている副作用には胃痛や胃の不快感などがあります。これらの副作用が気になる人は胃を保護する成分が含まれているロキソニンSプレミアムやロキソニンSを選択するのが良いでしょう。
また、2016年3月に医療用医薬品のロキソニンで重大な副作用として新たに腸閉塞などを追加で注意喚起する措置がとられました。同じ成分を含むロキソニンSプレミアムについても同様のリスクは当然あると考えられますが、年間で数千万人が使用しているロキソニンのうち、ほんの数例で確認された副作用であり、頻度は非常に稀です。また、基本的には長期で使用している場合のリスクであり、適切な量と適切な期間の使用に留めればほぼ心配する必要のない副作用と言えるでしょう。
ただし、ロキソニンSプレミアムを含めたロキソニンシリーズについても間違った使用を続けた場合は様々な副作用のリスクも出てくるをことを注意し、必ず決められた使用方法を守るようにしましょう。

ロキソニンSプレミアムの価格と使い分け

市販薬のロキソニンシリーズのメーカー希望小売価格(税抜き)は以下の通りです。

薬剤名 6回分の価格 12回分の価格
ロキソニンS 648円
ロキソニンSプラス 698円
ロキソニンSプレミアム 698円 1180円

上記の通り、ロキソニンSプレミアムはロキソニンSよりもかなり割高となります。
基本的にロキソニンSやロキソニンSプラスで効果を感じる場合は敢えてロキソニンSプレミアムを使用する必要はないと考えられます。また、風邪などの解熱目的で使用する場合はロキソニンSとさほど効果は変わらない可能性が高いため、この場合もロキソニンSプレミアムを使用する必要性は低いと言えるでしょう。本当に必要な場面でのみロキソニンSプレミアムを選択するのが良いですね。
処方薬のロキソニンも含めたロキソニンシリーズの使い分けとしては以下のような形がおすすめとなります。

適したケース 適した薬剤
・ロキソニンを一度も使用したことがない
・重度の頭痛や発熱、関節リウマチや変形性関節炎など専門的な知識が必要な疾患の鎮痛目的
処方薬のロキソニン
・以前に処方薬のロキソニンを使用したことがあって、同じ効果の薬を市販で買いたい
・他の市販の解熱鎮痛薬ではあまり効かない
ロキソニンS
・②のパターンだが、胃を保護しながら薬を使いたい
・胃に優しい解熱鎮痛薬がほしい
ロキソニンSプラス
・ロキソニンSを使用したが少し効果が物足りない
・より痛みに特化した薬が欲しい
ロキソニンSプレミアム

おわりに

この記事ではロキソニンシリーズに新たに登場したロキソニンSプレミアムについて、その特徴や従来のロキソニンシリーズとの違い、使い分けなどについて確認しました。
ロキソニンSプレミアムは鎮痛作用は特に強力な作用が期待出来る薬であり、日常の生活で様々な痛みに悩まされる人にとっては非常に期待したい市販薬の一つです。
しかし、その成分などから薬の特徴を理解し、本当に必要な時だけの使用に留めるのが安全面や価格面からも賢明と言えるでしょう。
今回の記事を参考にしていきただき、ロキソニンSプレミアムの適正使用につなげていただければ幸いです。
 
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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