アスベリンシロップの特徴、効果、使い方・用法用量、副作用、飲み合わせ、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
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アスベリンシロップの特徴
アスベリンシロップはチペピジンヒベンズ酸塩を含み咳に対して効果がある薬です((アスベリンシロップ0.5% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430920_2249003B1037_2_01.pdf))。
アスベリンシロップの特徴として、非麻薬性の鎮咳去痰剤に分類され、麻薬性のコデインリン酸塩と同程度の鎮咳作用が確認されています((アスベリンシロップ0.5% インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/2/430920_2249003B1037_2_090_1F))。また、鎮咳作用の他、去痰作用も期待できる薬です。
1960年から販売され非常に多くの人に使われた実績がある薬であり、1歳未満の赤ちゃんに対しても小児用量が設定されており、赤ちゃんでも安心して使用できる薬の一つです。
アスベリンには通常使う液剤のシロップ0.5%の他、調剤用に使用するシロップ「調剤用」2%、粉薬の散剤・ドライシロップ剤、錠剤など様々な剤型があります。
今回はアスベリンのうちアスベリンシロップ0.5%について確認していきます。
アスベリンシロップ0.5%の味
アスベリンシロップ0.5%は白色~淡黄灰白色の液剤であり、甘い味がついた子供でも飲みやすい味のシロップとなります((五十嵐 隆, 乳幼児・小児服薬介助ハンドブック, じほう))。
アスベリンシロップ0.5%が飲めない、飲みにくいというケースはあまり多くありませんが、成分が沈殿していることがある液体なので使用する前に軽く振ってから使用するとより良いでしょう。
アスベリンシロップの効果
アスベリンシロップは風邪や気管支炎、肺炎などにおける咳や痰に対して効果が認められています。
アスベリンシロップの効能効果の詳細は以下の通りです。
下記疾患に伴う咳嗽及び喀痰喀出困難
感冒、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺炎、肺結核、気管支拡張症
アスベリンシロップ0.5% 添付文書
アスベリンシロップの作用機序
アスベリンシロップの作用機序は延髄における咳中枢の抑制です。直接中枢に作用することによって咳を鎮めます。また、同時に気管支腺分泌、気道粘膜線毛上皮運動を亢進することで去痰作用も併せ持っています((アスベリンシロップ0.5% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430920_2249003B1037_2_01.pdf))。
このようにアスベリンシロップは鎮咳作用と去痰作用により、風邪などの感冒、上気道炎、気管支炎、肺炎などにおける症状に効果を示します。
アスベリンシロップの効果時間
アスベリンの効果時間は動物において確認されたデータがあり、その結果では鎮咳作用は30分~1時間後に発現し、約5~6時間持続する、とされています((アスベリンシロップ0.5% インタビューフォーム))。
上記の結果から、アスベリンシロップの効果発現時間は30分〜1時間後、効果持続時間は約5〜6時間であることが予想されます。
アスベリンシロップは鼻水には効果が期待できない
アスベリンシロップ0.5%は前述の通り咳に対する効果がメインであり、副次的な作用として痰に対しても効果が期待できますが、鼻水に対して使用する薬ではありません。
鼻水を止める目的ではペリアクチンやザジテン、ニポラジン、ゼスラン、ジルテック、アレロック、アレグラ、ザイザルなどが使われるケースが多く、溜まった鼻水を出す目的ではムコダインやムコソルバンなどが使われます。
アスベリンシロップの使い方、用量
アスベリンシロップ0.5%は年齢別に使用する用量が異なり、それぞれ小児用量が設定されています。
1歳未満の赤ちゃんでは1~4mL、1歳以上3歳未満では2~5mL、3歳以上6歳未満では3~8mL、それ以上では12~24mLとなっています。
アスベリンの用法用量の詳細は以下の通りです。
通常成人には、チペピジンヒベンズ酸塩として1日66.5~132.9mg(チペピジンクエン酸塩60~120mg相当量)を3回に分割経口投与する。
小児には、チペピジンヒベンズ酸塩として1日1歳未満5.54~22.1mg(同5~20mg相当量)、1歳以上3歳未満11.1~27.7mg(同10~25mg相当量)、3歳以上6歳未満16.6~44.3mg(同15~40mg相当量)を3回に分割経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
剤形 | 1歳未満 | 1歳以上3歳未満 | 3歳以上6歳未満 | 成人 |
錠10 | - | - | - | 6~12錠 |
錠20 | - | - | - | 3~6錠 |
散10% | 0.05~0.2g | 0.1~0.25g | 0.15~0.4g | 0.6~1.2g |
ドライシロップ2% | 0.25~1g | 0.5~1.25g | 0.75~2g | 3~6g |
シロップ0.5% | 1~4mL | 2~5mL | 3~8mL | 12~24mL |
シロップ「調剤用」2% | 0.25~1mL | 0.5~1.25mL | 0.75~2mL | 3~6mL |
アスベリンシロップ0.5% 添付文書
アスベリンシロップの副作用|眠気の頻度は
アスベリンはその安全性から小児も非常によく使われる薬であり、副作用が出るようなことはほとんどありません。
その中でも報告が上がっている副作用としては、食欲不振、便秘、眠気などがあります。
ただし、これらの副作用に関しても頻度は最も高いもので食欲不振の1.1%であり((アスベリンシロップ0.5% 添付文書))、ほとんどのケースで副作用を経験することはないと言えるでしょう。
薬の副作用の定番である眠気に関しても頻度は0.1〜5%未満とされており、決して高い頻度ではありません。
重大な副作用として唯一注意喚起されているのが、アナフィラキシー様症状です。アナフィラキシーは咳嗽、腹痛、嘔吐、発疹、呼吸困難などの症状が同時に現れる副作用であり、比較的どの薬でもごく稀に認めらることがある副作用です。このような重い副作用は、薬を正しく使用していればまず起こることはありませんが、万が一このような症状が現れた場合にはすぐに医師の処置を受ける様にしましょう。
アスベリンシロップの飲み合わせ、併用、配合変化|ムコダインシロップなどとの併用は
アスベリンシロップは飲み合わせが悪い薬として注意喚起されているものはありません((アスベリンシロップ0.5% 添付文書))。基本的にどのような薬と併用しても問題ありません。
アスベリンと比較的よく併用される薬剤として、痰の切れをよくするムコダインシロップなどがありますが、これらの薬とも一緒に混ぜて使用されることが多い薬です。
特に併用される頻度が多いムコダインシロップとは配合変化の有無なども検討されており、ムコダインシロップの資料ではアスベリンシロップとの混合での使用は特別な問題もありません((ムコダインシロップ5% 配合変化資料 http://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/medicine/pdf/mdsyruplistbook.pdf))。
アスベリンシロップの薬価、ジェネリック
アスベリンシロップ0.5%の2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)で、10mLあたり18.0円となっています。
なお、アスベリンシロップにはジェネリック医薬品は販売されていません。アスベリンは比較的昔からある薬であり、薬価も安く設定されているため、ジェネリックを使用しなくても薬剤費は比較的安いと言えます。
アスベリンシロップの市販での購入
アスベリンシロップと同じチペピジンヒベンズ酸塩を含むシロップ剤は市販では販売されていません。比較的近い成分のクエン酸チペピジンを含む液剤として総合風邪薬の小児用パプトンベビーがありますが、アスベリンシロップと同じ効果を期待するのには向いていないと言えます。
シロップ剤でなければアスベリンの成分は比較的多くの市販薬に含まれており、鎮咳去痰薬として販売されている市販薬としては、代表的な製品としてニッシンせき止め顆粒などが挙げられます。ニッシンせき止め顆粒はチペピジンヒベンズ酸塩を75mgを含み、その他にリゾチーム塩酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩を含みます。
他にもシロップ剤でなければ総合感冒薬にもチペピジンを含む市販薬が多数あり、代表的な製品はパブロンキッズかぜ微粒などがあります。パブロンキッズかぜ微粒は子供用のチペピジンを含む薬であり、チペピジンヒベンズ酸塩を12.5mgを含み解熱鎮痛成分や鼻水を抑える抗ヒスタミン成分を含みます。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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