カロナールとロキソニンの違いや同時の併用、頭痛、生理痛、歯痛などへの効果|空けるべき間隔やインフルエンザでの使用、腎機能に応じた使い分けなども

同じ解熱鎮痛薬であるカロナールとロキソニンの違いや同時に併用することの可否、頭痛、生理痛、歯痛などへの効果、空けるべき間隔、腎機能に応じた使い分けなどを確認していきます。

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カロナールとロキソニンの分類と作用機序の違い

カロナールの成分はアセトアミノフェンでアニリン系の解熱鎮痛剤、ロキソニンの成分はロキソプロフェンであり非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類される薬です。

カロナールは脳に直接作用

カロナールの成分であるアセトアミノフェンは脳の体温中枢に働きかけて、熱を放散させる作用を持つと考えられています。また、痛みに関しては痛みの閾値を上げたりすることによって、痛みを和らげる働きがあるとされています。
カロナールは上記のような作用により鎮痛効果や解熱効果があると考えられています。

ロキソニンはプロスタグランジンの生成抑制

痛みや熱に関連する体の中の代表的な物質の一つにプロスタグランジンがあります。このプロスタグランジンは体温を上昇させる(熱をあげる)効果や痛みを引き起こす作用を持っています。
ロキソニンの成分であるロキソプロフェンはこのプロスタグランジンの生成を抑制することによって鎮痛効果や解熱効果をもたらすとされています。

カロナールとロキソニンの効果の違い|頭痛、生理痛、歯痛などには?

カロナールの錠剤とロキソニンの錠剤の効果の違いとして、カロナールには抗炎症作用はほとんどないとされています。慢性的な炎症を伴うような痛みにはロキソニンの方が向いていると考えられますが、小児にも使えるのはカロナールなどそれぞれ得意な面に違いがあります。それぞの効能効果を確認しましょう。

カロナールは頭痛、生理痛、歯痛が明記

カロナールの効能効果の詳細は以下の通りです。

1.下記の疾患並びに症状の鎮痛
頭痛,耳痛,症候性神経痛,腰痛症,筋肉痛,打撲痛,捻挫痛,月経痛,分娩後痛,がんによる疼痛,歯痛,歯科治療後の疼痛,変形性関節症
2.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
3.小児科領域における解熱・鎮痛

カロナール錠200/カロナール錠300/
カロナール錠500 添付文書

カロナールの効能効果では頭痛、月経痛(生理痛)、歯痛などが明記されており、様々な痛みに使われるほか、風邪を引いたときの解熱鎮痛、さらには小児に対しても使用できる解熱鎮痛剤です。

実際にカロナールは子供から高齢者まで幅広い年齢層の幅広い疾患に対して使用される解熱鎮痛剤です。

ロキソニンは腰痛や肩こり、歯痛、風邪での使用が明記

ロキソニンの効能効果の詳細は以下の通りです。

1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛

2.手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎

3.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書

上記の通り、ロキソニンの効能効果には頭痛や生理痛に関しては明記されていません。しかし、実際にはその作用機序から効果はあると考えられ、また、市販薬でロキソニンと同じ成分を含むロキソニンSの添付文書では頭痛や生理痛に関しても効能効果に明記されています。

○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱

ロキソニンS 添付文書

なお、ロキソニンは基本的に小児では使用されません。自己判断で15歳未満の子供に使用するのは避けましょう。

カロナールとロキソニンの強さの違い|効果はロキソニンの方が強い

個人差はあるものの、一般的に効果が強いと言われていうのはロキソニンの方です。
ただし、近年はカロナールのでも高用量(多くの量)を使用すれば、ロキソニンにも効果が劣らないという報告もあります。
カロナールを1回1000mg使用した場合に埋伏智歯抜歯後の疼痛に対する臨床効果をみた調査で、ロキソニンの成分であるロキソプロフェンの60mgよりも強い鎮痛効果がもたらされた結果が得られています1)
この点からカロナールでも高用量を使用すると、解熱鎮痛剤の中でも効果が強いロキソニンと同程度の効果が得られると考えられます。
ただし、高用量で使用するのはあくまで医師からその指示があった場合のみです。処方薬に関してはまずは処方医の先生の指示通りに使用し、効果が感じられない時はその旨を相談してみるようにしましょう。
1) 中野みゆき,他:日口診誌 2004 17:205-210.

カロナールとロキソニンの副作用の違い

カロナールとロキソニンは共に比較的安全と言える薬であり、副作用についてはあまり心配は要りません。それでも中には副作用が出てしまうケースもありますので、安全面の違いについても確認しましょう。

安全性のより高いカロナール

カロナールとロキソニンでより安全と言えるのはカロナールです。副作用は種類も少なく、可能性があるものは下痢や腹痛、吐き気といったものですが、これもほとんど経験することはないと言えます。注意点として大量の使用で肝障害が知られていますので、大量の使用や長期に使用する場合などは念のため注意しましょう。

ロキソニンは胃荒れなどに注意

ロキソニンも決して副作用が多い薬ではありません。しかし、NSAIDsの共通の副作用として知られている消化器症状(胃荒れなど)は出てしまうケースがあります。対策として食後に使用、多めの水で使用、ムコスタなどの胃薬を一緒に処方してもらうなどがあり、ある程度の対策は可能と言えます。
なお、ロキソニンでは眠気の副作用の報告もあります。0.1〜1%未満の低頻度とされており、一般的な眠くなる成分は含まれていないため、過度の心配は必要ありませんが、念のため注意しましょう。

カロナールとロキソニンの用法用量と間隔、効果時間の違い

用法用量の違いとしてカロナールの錠剤は200、300、500と規格が複数あり、また、1回量も300〜1000mgと幅広いため、指示された量を確認して使用するようにしましょう。
一方、ロキソニンは60mgの規格のみであり、60mg〜120mg(1錠〜2錠)であり、通常は1錠で使用することが多い薬です。
使用間隔はカロナールは4〜6時間空けると明記されており、ロキソニンは明記されていないものの、同程度の間隔を空けるのが安全と言えるでしょう。
効果が出るまでの時間はカロナール、ロキソニンともに15分〜60分程度と考えられますが、どちらかと言えばロキソニンの方が早いという意見が一般的です。効果が持続する時間はカロナールは2〜6時間2)、ロキソニンは平均7時間という報告3)が一例で上がっていますが、こちらも実際には個人差や1回の使用量、使用する症状によるところが大きく、大差はないという印象です。
2) カロナール錠 添付文書
3) 清水正嗣 ほか; 歯科ジャーナル; 39(6) :893-903,1994

カロナールからロキソニンに切り替えるとき、またはその逆の空けべき間隔は4〜6時間

カロナールからロキソニンに切り替えるとき、またはその逆の空けべき間隔は4〜6時間程度空けるのが望ましいと考えられます。
その根拠として、カロナールを連続して使用するときの間隔が4〜6時間以上あけるという注意喚起2)がある点、ロキソニンは明確なあける間隔の注意喚起がないものの、解熱鎮痛剤の一般的な服用間隔が3〜4時間空けるといわれている点4)から、カロナールで注意喚起されている4〜6時間以上空けるのが安全と考えられます。
2) カロナール錠 添付文書
4) 大阪府病院薬剤師会編:困ったときのくすりQ&A; 82-83, 1999

カロナールとロキソニンのインフルエンザでの使用|より推奨されるのはカロナール

カロナールとロキソニンはインフルエンザでの解熱目的でも使用されることがある薬です。
基本的にどちらの薬も問題なく使用できると考えられますが、より安全と言えるのは日本小児科学会からも推奨されているアセトアミノフェンの成分を含んだカロナールと言えます。

一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。

平成12年11月12日 日本小児科学会理事会

NSAIDsのジクロフェナクやメフェナム酸などはインフルエンザでの使用は危険性が示唆されており、同じ日本小児科学会の見解は「非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきである」です。
ただし、NSAIDsのひとつであるロキソニンに関しては、インフルエンザの使用で危険性が高まるという明確な報告があるわけではなく、実際にはロキソニンもインフルエンザ時に使われる解熱剤の一つとなっています。
ロキソニンは基本的に子供には使用されないため、インフルエンザの解熱に対しては、子供においてはカロナールなどのアセトアミノフェン製剤、大人でもカロナールなどのアセトアミノフェン製剤が推奨されるものの、医師の判断でロキソニンも使用可能と考えられます。

カロナールとロキソニンの錠剤以外の種類

カロナールとロキソニンは錠剤以外にも様々な剤型があり、この点にも違いがあります。
カロナールは主に小児が使用する粉薬の細粒やシロップ、坐剤もあり、小児でもよく使われる薬となっています。一方、ロキソニンも細粒があるものの、基本的には大人用の薬であり、ロキソニンは外用剤の種類が豊富となっています。いわゆる湿布であるパップ剤、テープ剤、ゲル剤などが販売されています。
使用できる年齢の範囲が広いのがカロナール、湿布やテープなど外用剤としてもよく使われるのがロキソニンと言えます。

カロナールとロキソニンの授乳中と妊娠中の使用

授乳中はカロナールは特別な注意喚起はありませんが、ロキソニンは使用する場合は授乳中など注意が必要とされています。
妊娠中は共に注意が必要と考えられており、特にロキソニンに関しては妊娠末期(28週以降)は使用してはいけないこととなっています。

カロナールとロキソニンの市販薬について

カロナールの代表的な市販薬はタイレノール、ロキソニンはほぼ同じ名称のロキソニンSとして市販されています。

成分名 アセトアミノフェン ロキソプロフェン
市販薬(一般用医薬品) タイレノールAなど ロキソニンSなど
処方薬(医療用医薬品) カロナールなど ロキソニンなど

※表中は代表的な商品名を記載
上記のとおり、カロナールとタイレノールは成分は同じですが、市販薬と処方薬で製品名が異なるのでご注意ください。
逆にロキソニンは市販薬だと「S」がつく点のみ違います。

カロナールや市販薬のタイレノールAは安全というメリット

カロナール、タイレノールのメリットとして、非常に安全に使用できる(副作用などが少ない)点があります。
カロナール・タイレノールの成分であるアセトアミノフェンは、その安全性からインフルエンザにかかった時の解熱目的、子供に対してや、授乳中でも使用される特徴を持っています。ただし、タイレノールは大人用のため、小児の市販薬では同じ成分の小児用バファリンなどが使用できます。

市販薬のタイレノールAとロキソニンSの使い分け

市販薬は処方薬と違い、自分でのどの薬を選ぶ必要があります。カロナールと同じ成分のタイレノールAと処方薬のロキソニンと同じロキソニンSの選択の使い分けのポイントですが、まずは処方薬で使った経験がある方を使用するのが安全と考えられます。
特にこだわりがなければ、より安全性が高いとされ、その規制区分から薬剤師のいない店舗やAmazonなどでも買うことができるタイレノールAから使用し、タイレノールがあまり効かない場合は、より強い効果が期待できるロキソニンという順番がそれぞれの特徴が活かせる使い分けの一例と言えます。
また、授乳中は基本的に医師や薬剤師に相談するのが安全と言えますが、前述のとおりタイレノールAであれば、あまり問題がないと考えられます。

カロナールとロキソニンの併用や同時に使用するのは?

カロナールとロキソニンの飲み薬を同時に併用することはあまり多くありません。
それぞれ作用機序は異なるものの、同じ解熱鎮痛剤であり、効かない場合やより強い効果を求める場合はいずれかの量を増やして使う、もしくは解熱剤の種類を変えるのが一般的な方法です。
処方医の先生によってはカロナールとロキソニンのいずれかを1日3回など決まった回数でもう片方を頓服(症状がでたときに使用)などの形でカロナールとロキソニンを同時に処方するケースもありますが、自己判断で同時に併用するようなことは避けましょう。

市販薬のタイレノールとロキソニンSの同時の併用は禁止

市販薬でカロナールと同じ成分を含むタイレノールAなどと、ロキソニンと同じ成分を含むロキソニンSなどを同時に併用するのは禁止されています。
両薬剤のに他の解熱鎮痛剤を同時に使用しないよう注意喚起されています。タイレノールA、ロキソニンSいずれの添付文書での以下の内容が記載されています。

■してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用・事故が起こりやすくなります)
2.本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も服用しないでください
他の解熱鎮痛薬,かぜ薬,鎮静薬

タイレノールA/ロキソニンS 添付文書

もし、タイレノールAからロキソニンSに切り替える、もしくはその逆の場合の空けるべき間隔は、処方薬と同様、最低でも4〜6時間程度空けて使用するようにしましょう。

カロナールとロキソニンの違いのまとめ

ここまでのカロナールとロキソニンの違いに関して、それぞれの錠剤を中心にをまとめると以下のようになります。

カロナール ロキソニン
成分 アセトアミノフェン ロキソプロフェン
分類 アニリン系
解熱鎮痛薬
NSAIDs
効果の強さ やや弱い 強い
副作用 特に少ない 少ない
1日最大回数 明記なし 3回
使用間隔 4〜6時間 明記なし
1回最大用量 1000mg 120mg
効果発現時間 15〜60分 15〜60分
効果持続時間 2〜6時間 5〜7時間
インフルエンザでの使用
(少し注意)
錠剤以外
の種類
細粒、シロップ、坐剤 細粒、テープ、パップ、ゲル
授乳中
妊娠中
妊娠末期は×
市販薬の
有無
 ◯
タイレノールAなど

ロキソニンSなど

カロナールとロキソニンの腎機能に応じた使い分け

カロナールもしくはロキソニンを腎機能が低下している患者使用する場合、より安全なのはカロナールと考えられます。
熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンターより、米国腎臓財団や米国老年医学学会のガイドラインで腎臓病患者や腎機能が低下している高齢者に対してはカロナールなどのアセトアミノフェン製剤を推奨しているという報告がありましたが、その理由はロキソニンなどのNSAIDsはプロスタグランジンの産生抑制により、腎臓への血流量も低下させ、腎機能を悪化される可能性などが指摘されているためです。
カロナールはプロスタグランジンにはほとんど影響がないことが知られており、腎機能のリスクを考えた場合は、より適しているのはカロナールと考えられます。
 
薬を使用する際には必ず説明書や添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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