タリオン錠10mg、5mgの授乳中の使用に関して、授乳への影響などを添付文書等から解説していきます。
タリオンの特徴と授乳中の使用|花粉症や蕁麻疹の薬
タリオンはベポタスチンを成分として含み抗アレルギー・抗ヒスタミン成分であり、蕁麻疹や花粉症を含むアレルギー性鼻炎、湿疹などに効果がある薬です((タリオン錠5mg/タリオン錠10mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400315_4490022F1038_1_09.pdf))。
タリオンの特徴は、効果の強さと眠気の出にくさのバランスがよく使いやすい点が挙げられます。タリオンは、アレロック、アレジオン、クラリチン、ジルテックなどの第2世代の抗ヒスタミン成分の中では抗アレルギー作用は中程度くらいとされており、眠気の副作用も比較的抑えられている薬の一つです。
タリオンには通常の錠剤であるタリオン錠10mg、タリオン錠5mgの他、水なしで飲める口腔内崩壊錠(OD錠)のタリオンOD錠10mg、タリオンOD錠5mgがあります。
タリオンは授乳中に使用する場合は少し注意が必要とされており、製薬会社からも注意喚起がされています。
タリオンの授乳の使用と影響
タリオンは授乳中の場合は授乳を避けることがメーカーからは推奨されています。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
2) 授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず本剤を投与する場合には授乳を避けさせること。〔動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。〕タリオン錠5mg/タリオン錠10mg 添付文書
上記の注意喚起がされている理由として、動物実験においてタリオンの成分が乳汁中に移行することが確認されているためです((タリオン錠5mg/タリオン錠10mg インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/400315_4490022F1038_1_130_1F))。
実際には授乳婦に対する危険性が確認されているわけではなく、使用経験が少ないため、乳児への影響についても明確には確認されていないのが現状と考えられます。
タリオンの授乳中の使用に関する専門家の見解
タリオンの授乳中の使用については、前述のとおりメーカーからは授乳を授乳を中止するよう注意喚起されていますが、専門家の見解は必ずしも中止の必要性を訴えてはいません。
専門家の見解の一例として愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、授乳での乳児への影響の報告は見当たらないという見解です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。
動物での母乳への移行が報告されているが、授乳による乳児への有害事象の報告が見あたらない
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
上記のような見解もあり、医師によっては実際には授乳中に使用するケースもある薬剤と考えられます。
タリオンの授乳中の使用は最終的には医師の判断で
タリオンの授乳中の使用については前述のとおり、最終的には処方医の先生の判断となります。
医師が授乳中である旨を知って処方するケースは安全面を考慮した上での処方と考えられるため、安心して服用しましょう。また、医師から授乳の中止指示があるケースでは指示された通りの期間、授乳を中止するようにしましょう。
実際にはタリオンを授乳中に使用してもその影響は限定的であると考えられますが、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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