リザベン点眼液の特徴、効果、使い方、副作用、他の薬との併用、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
Contents
リザベン点眼液の特徴
リザベン点眼液はトラニラストを成分として含み、花粉症などを含むアレルギー性結膜炎に効果がある目薬です1)。
ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターの遊離を抑制する作用により、アレルギー性結膜炎のそう痒感(かゆみ)、眼脂(目やに)、結膜充血、結膜濾胞などの症状を改善するとされている目薬です2)。
1995年より販売されいる目薬で、劇的な効果を期待するような薬ではありませんが、一定の安全性が確立されており、子供でも使用されることのがある使いやすい目薬の一つ言えます。
1) リザベン点眼液0.5% 添付文書
2) リザベン点眼液0.5% インタビューフォーム
リザベン点眼液の効能効果
リザベン点眼液はアレルギー性結膜炎に対して効果がある目薬であり、具体的な症状としてはそう痒感(かゆみ)、眼脂(目やに)、結膜充血、結膜濾胞などの症状を改善するとされています2)。
リザベン点眼液の効能効果の詳細は以下のとおりです。
━ 効能・効果 ━
アレルギー性結膜炎リザベン点眼液0.5% 添付文書
2) リザベン点眼液0.5% インタビューフォーム
リザベン点眼液の作用機序
リザベン点眼液の作用機序は、ヒスタミンやロイコトリエンといったのケミカルメディエーター(化学伝達物質)が肥満細胞、炎症細胞などから遊離することを抑制することで抗アレルギー作用がもたらされます1)。
ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターはアレルギーの原因物質が体内に取り込まれることで遊離され、アレルギー反応に関与しますが、リザベンはこのケミカルメディエーターが遊離されることを防ぎ、結果として花粉症などをはじめとしたアレルギー性結膜年を抑えることにつながります。
1) リザベン点眼液0.5% 添付文書
リザベン点眼液の効果は70.9%の有効率
リザベン点眼液の効果は実際のアレルギー性結膜炎の患者さんに対する臨床試験にて確認されており、その効果は中等度改善以上で70.9%であったとされています1)。
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リザベンはものもらいの目薬ではない
リザベン点眼液は前述の通り、アレルギー性結膜用の薬ですので、基本的にものもらいには効果がありません。ものもらいは菌の感染が原因であるため、医師の診察を受けて抗菌剤の点眼薬を処方してもらうか、市販の目薬でもものもらい用の薬があるため、そちらを使用するようにしましょう。
リザベン点眼液の使い方
リザベン点眼液は1日4回使用するのが一般的な使い方です。
リザベン点眼液の用法用量の詳細は以下の通りです。
━ 用法・用量 ━
通常,1回1~2滴を1日4回(朝,昼,夕方及び就寝前)点眼する。リザベン点眼液0.5% 添付文書
リザベン点眼液はコンタクトを外して使用
リザベン点眼液はコンタクトレンズをつけたまま使用しないよう、メーカーより注意喚起されています3)。
リザベン点眼液にはコンタクトレンズと相性が悪い防腐剤のベンザルコニウムが入っています。リザベン点眼液を使用するときはコンタクトレンズを外して点眼し、5〜10分後につけるようにしましょう。
3) キッセイ薬品工業株式会社 医療関係者の皆様へ リザベン点眼液 Q&A
リザベン点眼液の保存
リザベン点眼液は基本的に室温保存で問題ありません。
なお、取扱上の注意として、冷蔵庫などで保存すると、結晶が析出することがあると注意喚起されているため、冷蔵庫での保存は避けましょう。
- 取扱い上の注意 -
本剤を冷蔵庫等で保存すると,結晶が析出することがあるので避けること。リザベン点眼液0.5% 添付文書
リザベン点眼液の副作用
リザベン点眼液の副作用は、刺激感・しみる(0.37%)、眼瞼炎(0.20%)、眼痒感(0.20%)、眼瞼皮膚炎(0.13%)などとされており1)、あまり頻度が高いものはありません。
リザベン点眼液を使用する際にはあまり副作用の心配はせず使用できると言えるでしょう。
その他のリザベン点眼液で報告されている副作用は以下のとおりです。
頻度不明 | 0.1~5%未満 | |
過敏症 | 接触性皮膚炎(眼周囲) | 眼瞼皮膚炎、眼瞼炎 |
眼 | 結膜充血、眼瞼腫脹 | 刺激感、掻痒感 |
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リザベン点眼液の併用
リザベン点眼液は併用に注意が必要な薬はありません1)。
基本的にどのような薬と合わせて使用しても問題ないと言えるでしょう。
なお、リザベン点眼液の他に目薬を併用する場合、基本的により効果を重視したいものを後に点眼します。また、懸濁性点眼薬や油性点眼薬や水性点眼薬よりも後にさす方が良いとされています。リザベン点眼液は水性点眼液に該当します1)。
リザベン点眼液と一緒に処方されることあるケースとして、炎症を抑える目的のフルメトロン点眼液、オドメール点眼液などがあります。この場合は先にリザベン点眼液、5分程度の間隔を空けてフルメトロン、オボメールを点眼するようにしましょう。
1) リザベン点眼液0.5% 添付文書
リザベン点眼液の授乳中・妊娠中の使用
リザベン点眼液の授乳中・妊娠中の使用について確認していきます。
リザベン点眼液の授乳中の使用
リザベン点眼液は、授乳中の使用に関して、製薬会社から特別な注意喚起はされていません1)。
基本的には授乳中でも使用可能と考えられる目薬です。
専門家の見解の一つとして、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでは、乳汁への移行が少ないため問題ないと内容であり、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解です4)。
ヒトでの評価が見当たらない。血漿蛋白結合率が高いため乳汁移行は少なく、乳児へのリスクは低いと考えられる。
母乳とくすりハンドブック
実際に授乳中にリザベン点眼液を使用するかは、処方医の先生の判断となります。リザベン点眼液に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) リザベン点眼液0.5% 添付文書
4) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)
リザベン点眼液の妊娠中の使用
リザベン点眼液は妊娠中は使用しないことが望ましいとされており、実際に使用するかは医師の判断になります。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦(特に約3カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
[動物実験(マウス)で,本剤の経口大量投与により,骨格異常例の増加が認められている。]リザベン点眼液0.5% 添付文書
妊娠中の使用を避けるのが望ましいとされている理由は、リザベン点眼液の成分の大量摂取により、骨格異常が認められているからとされています。ただし、この点に関しては、あくまで経口摂取の事例であり、目薬を使用した結果ではありません。
胎児への移行性は、動物実験で確認されている内容では経口摂取した場合でも胎盤通過性は低いことが確認されており、また、生殖発生毒性試験でも前述の骨格異常仔数が増加したほかは、生殖能力、分娩、新生仔の発育にも影響はなかった2)、とされています。
上記の通り、特に目薬においては明確な危険性は認められていないと考えられますが、実際に妊娠中にリザベン点眼液を使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断になります。リザベン点眼液に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) リザベン点眼液0.5% インタビューフォーム
リザベン点眼液の薬価、ジェネリック
リザベン点眼液の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1本5mLあたり634.0円となっています。
また、リザベン点眼液にはジェネリック医薬品があり、アレニスト点眼液や成分名であるトラニラスト点眼液などの名称で販売されています。薬価は1本あたり404.5円とされており、リザベン点眼液の2/3程度の薬価になるため、より経済的と言えます。
リザベン点眼液の市販での購入
リザベン点眼液の成分であるトラニラストを含んだ目薬は市販薬としても販売されており、代表的な製品はロートアルガードプレテクトです。
ロートアルガードプレテクトは処方薬のリザベン点眼液と同じ濃度でトラニラストの成分を含んでいるため、基本的には同じ効果が期待できる薬です。効能効果もアレルギー症状の全般的な症状が認められており、リザベン点眼液と同様の目薬を市販で購入したい場合は代わりになる薬と言えるでしょう。
ロートアルガードプレテクトの効能効果の詳細は以下の通りです。
花粉,ハウスダスト(室内塵)などによる次のような目のアレルギー症状の緩和:目の充血,目のかゆみ,目のかすみ(目やにの多いときなど),なみだ目,異物感(コロコロする感じ)
ロートアルガードプレテクト 添付文書
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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