アラミストの特徴、効果、使い方、副作用、併用、授乳・妊娠への影響、薬価、ジェネリック、市販での購入可否、ナゾネックスとの違いなどについて添付文書等から解説していきます。
Contents
アラミストの特徴
アラミストはフルチカゾンフランカルボン酸エステルを成分とするステロイドの点鼻薬です。アレルギー性鼻炎に効果があり1)、花粉症シーズンなどにも非常によく使われる薬の一つです。
15歳未満の小児でも使用できる点鼻薬であり、子供でもよく使われる点鼻薬です。
また、1日1回の使用で効果があることも特徴の一つです。
1) アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
アラミストの効果
アラミストはステロイドの成分が含まれており、アレルギー性鼻炎のくしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみなどに効果があります。
【効能・効果】
アレルギー性鼻炎アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
アラミストの作用機序
アラミストの作用機序はステロイド成分による抗炎症作用です。鼻粘膜のヒスタミンを減少させることにより炎症やアレルギー反応を抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を改善することが期待できます2)。
2) グラクソ・スミスクライン株式会社 アラミストのQ&A
アラミストの効果時間
アラミストの効果が出るまでの時間は24時間以内とされており、さらに個人差があるため、効果を実感できるまでに数日かかる場合もあるとされています2)。
その他、効果発現時間と効果持続時間の参考になるデータとして、動物実験の結果があり、アレルギー性鼻炎モデルのラットに対してアラミストの成分を使用した場合、3時間後にはくしゃみ、鼻掻き行動を統計学的に有意に減少させ、さらにその効果は12時間後も持続していたという結果があります3)。
2) グラクソ・スミスクライン株式会社 アラミストのQ&A
3) アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 インタビューフォーム
アラミストの臨床効果
アラミストの実際の患者さんに対する効果は、アレルギー性鼻炎の患者さんに対する臨床試験にて確認されています。
国内においては、プラセボ(偽薬)との比較した試験や、同じ点鼻薬の成分であるフルチカゾンプロピオン酸エステルと比較した試験などが実施されており、鼻水、鼻づまり、くしゃみの症状がプラゼボ(偽薬)と比較し、統計学的に有意に改善させることが確認されています1)。
1) アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
アラミストの使い方
アラミストは1日1回、各鼻に使用し、大人と子供で使用する量が異なります。大人では各鼻に2噴霧(2プッシュ)ずつを、15歳未満の小児では各鼻に1噴霧(1プッシュ)ずつを使用します。
アラミストの用法用量の詳細は以下のとおりです。
成人には、通常1回各鼻腔に2噴霧(1噴霧あたりフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして27.5μgを含有)を1日1回投与する。
小児には、通常1回各鼻腔に1噴霧(1噴霧あたりフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして27.5μgを含有)を1日1回投与する。アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
アラミストを使用する前には鼻をかんで薬の通りをよくしておきましょう。鼻にさすときは俯き加減で使用する方が良いとされています。
また、アラミストは使用する前によく振り、初回に使用するときに空打ちを6回程度してから使用するようにしましょう。
アラミストは1キットで大人2週間分、子供1ヶ月分
アラミストはで大人の場合は1キットで2週間分、15歳未満の小児の場合は1キットで1ヶ月分となります。
アラミストの副作用
アラミストを含めたステロイド点鼻薬は、全身性の副作用はほとんどでないとされています。アラミストの主な副作用は、鼻の出血や、鼻の不快感、その他は血液検査での異常(血中コルチゾール減少、白血球数増加など)が報告されていますが、いずれも頻度は0.3%未満であり1)、実際に経験するケースは少ないと言えるでしょう。
1) アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
アラミストの併用
アラミストは併用に注意が必要な薬があり、抗ウイルス剤であるリトナビルなどの「CYP3A4阻害作用を有する薬剤」とは併用注意とされています1)。
上記のリトナビルなどの薬を併用することで、ステロイドの飲み薬を使用したような症状が現れる可能性があるとされており、実際にアラミストの類薬であるプロピオン酸エステル製剤をリトナビルを併用した試験で、全身性のステロイド作用が認められたとされています。
HIVやC型肝炎の治療としてリトナビルを含む薬剤(ノービア、カレトラ、ヴィキラックスなど)を使用している場合は注意が必要となります。
1) アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
アラミストの授乳中・妊娠中の使用
アラミストは授乳中、妊娠中の使用に関してそれぞれ確認していきましょう。
アラミストの授乳中の使用
アラミストの授乳中の使用に関しては、製薬会社からは特に注意喚起がなく1)、使用可能な薬剤と考えられます。
アラミストを含めたステロイド点鼻薬は、基本的に局所的な作用のみであり、母乳への影響はほとんどないと考えられます。
なお、専門家による見解でも、アラミストは授乳をしている場合でも使用できるという内容があり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、局所作用なので、使用可能と考えられる4)、という見解です。
実際に授乳中にアラミストを使用するかは、処方医の先生の判断となります。アラミストに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
アラミストの妊娠中の使用
アラミストの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、医師の判断によっては使用されるケースがあります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[グルココルチコイドは実験動物で催奇形性を示すとされているが、本薬を吸入投与したラット(91μg/kg/日まで)及びウサギ(8μg/kg/日まで)において催奇形作用はみられず、ラットの出生前後の発生に影響は認められていない。なお、高用量の吸入曝露により、ラットの胎児において低体重に関連した胸骨の不完全骨化の発現率増加がみられ、ウサギでは流産が認められている。]
アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 添付文書
上記のような注意喚起がされていますが、実際にはヒトにおいてアラミストの胎盤通過性や催奇形性、乳汁中への移行等に関し検討された報告はない5)、とされています。
実際に妊娠中にアラミストを使用するかについても、授乳中と同様、処方医の先生の判断となります。アラミストに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
5) アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 インタビューフォーム
アラミストの薬価、ジェネリック
アラミストの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1キット(大人だと2週間分)あたり2017.1円です。
なお、アラミストは現時点ではジェネリック医薬品は販売されていません。
アラミストの市販
アラミストの成分であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルは市販薬としては販売されていない成分です。残念ながら現在は市販薬としては購入できません。
ステロイド成分が含まれる点鼻薬ではベクロメタゾンプロピオン酸エステルの成分が市販薬として販売されており、代表的な製品はナザールAR、コンタック鼻炎スプレー、パブロン鼻炎アタックなどです。いずれも同じ成分を含むため、同様の効果が期待できますが、パブロン鼻炎アタックは他の製品よりも成分の濃度が高くなっています。
アラミストとナゾネックスの違い
アラミストと同じステロイド点鼻薬にナゾネックスがあります。
ナゾネックスの成分はモメタゾンフランカルボン酸エステルであり、アラミストとは異なる成分ですが、ステロイドという点では共通です。
作用の強さという点でも、両者に大きな違いはないと考えられ、どちらがより効果を感じられるかは個人差によるところも大きいと言えます。また、ともに1日1回の使用であり、使用回数の面での使いやすさも大きな違いはありません。
成分以外で違いをあげると、ナゾネックスには112噴霧用があり、大人でも4週間使える規格があります。また、薬価を比較すると同じ56噴霧用ではナゾネックスの薬価が1912.3円であり、アラミストの2017.1円よりも若干経済的と言えます。
なお、アラミストとナゾネックスを併用するようなことは基本的にはありません。医師からの特別な指示があるようなケースを除き、自己判断で併用するようなことは避けましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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