クラバモックスについて、味などの特徴、効果、食前に使用する理由、ジュースや牛乳での使用可否、小児の用量、略語、オーグメンチンとの違いなどについて添付文書等から確認していきます。
Contents
クラバモックスの特徴|成分や味は?
クラバモックスは抗生物質であるアモキシシリンとβ-ラクタマーゼ阻害剤という抗生物質の効き目をよくするクラブラン酸カリウムという成分が配合された薬です。
小児用の粉薬であり、様々な感染症に対して使用されます。
クラバモックスの味はストロベリークリーム
クラバモックスの味はストロベリークリームのフレーバーとなっており、小児でも飲み易い薬となっています。
クラバモックスの略語はAMPC/CVA
クラバモックスを含めた抗生物質はしばしば略語で記載されるケースがあります。
クラバモックスの略語はAMPC/CVAとなっていますが、これはアモキシシリンの略語である「AMPC」とクラブラン酸カリウムの略語である「CVA」が合わさったものとなります。
クラバモックスとオーグメンチンは同じもの?
クラバモックスと同じ成分を含む薬にオーグメンチンがあります。
オーグメンチンにはオーグメンチン配合錠125SSとオーグメンチン配合錠250RSの2種類があり、オーグメンチン配合錠125SSにはアモキシシリンが125mg、クラブラン酸カリウムが62.5mg、オーグメンチン配合錠250RSにはアモキシシリンが250mg、クラブラン酸カリウムが125mgが含まれます。クラバモックスとは成分が同じですが、アモキシシリンとクラブラン酸カリウムの配合されている割合が異なります。
また、クラバモックスは基本的に小児に使用する粉薬、オーグメンチンは錠剤であり基本的には大人に使用するという違いもあります。
クラバモックスにワイドシリンを併用するケースも
クラバモックスの感染症に対する効果は、主にアモキシシリンの成分によるものであり、クラブラン酸カリウムは抗生物質の効き目を補助するといった位置付けです。
そのため、抗生物質としての用量を調節したい場合は、アモキシシリンの成分量を調節するために、アモキシシリンのみを成分とするワイドシリンなどの粉薬を併用するケースもあります。
クラバモックスの効果
クラバモックスは咽頭炎や気管支炎、膀胱炎、中耳炎をはじめとした幅広い感染症に対して使用される薬です。
クラバモックスの効能効果の詳細は以下の通りです。
〈適応菌種〉
本剤に感性の肺炎球菌(ペニシリンGに対するMIC≦2μg/mL)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、ブドウ球菌属、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)
〈適応症〉
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、膀胱炎、腎盂腎炎、中耳炎、副鼻腔炎クラバモックス小児用配合ドライシロップ 添付文書
クラバモックスの作用機序
クラバモックスの作用機序は、アモキシシリンによる細菌がもつ細胞壁という構造の合成阻害によるものと、クラブラン酸カリウムによる抗生物質を分解してしまうβ-ラクタマーゼという酵素の阻害です。
細胞壁は人にはない構造であり、細菌のみが持っている構造のため、アモキシシリンは人に対しては毒性が少なく、細菌に効果的に作用します。ただし、アモキシシリンなどのβ-ラクタム系に分類される抗生物質に対して、耐性をもつ細菌も確認されており、その耐性の機構のひとつとしてβ-タクタム系を分解してしまう酵素のβ-ラクタマーゼが知られています。クラブラン酸カリウムはこのβ-ラクマーゼを阻害することによって、アモキシシリンが効きにくい細菌に対しても、本来の抗生物質の作用を引き出す役割を担います。
マイコプラズマへの効果は期待できない
年によって大流行することがあるマイコプラズマ感染ですが、クラバモックスは残念ながらマイコプラズマには効果がありません。
クラバモックスの成分であるアモキシシリンが分類されるペニシリン系の抗生物質は、マイコプラズマには効果がなく、他の系統の抗生物質、抗菌剤を処方してもらう必要があります。
クラバモックスの用法と用量|食前の理由や牛乳との混合は?
クラバモックスは体重ごとに使用する用量が変わる薬です。
また、服用のタイミングとして食事の直前(食直前)に使用するという特徴があります。
クラバモックスの用法用量の詳細は以下の通りです。
通常、小児には、クラバモックスとして1日量96.4mg(力価)/kg(クラブラン酸カリウムとして6.4mg(力価)/kg、アモキシシリン水和物として90mg(力価)/kg)を2回に分けて12時間ごとに食直前に経口投与する。
クラバモックス小児用配合ドライシロップ 添付文書
クラバモックスの小児の体重別での用量
クラバモックスは予め分包された製品がよく使われます。
0.505g含むものと、1.01g含む分包品があり、体重別で使用するg数に合わせて使用する分包品が決められています1)。
体重 | 1日量(ドライシロップとして) |
6〜10kg | 1.01g |
11〜16kg | 2.02g |
17〜23kg | 3.03g |
24〜30kg | 4.04g |
31〜36kg | 5.05g |
37〜39kg | 6.06g |
1) クラバモックス小児用配合ドライシロップ 添付文書
クラバモックスを食前(食直前)に使用する理由は
クラバモックスの注意点として食事の直前に使用する点が挙げられます。
食直前に使用する理由として、クラバモックスの成分の一つであるクラブラン酸カリウムが食事の影響を受け易いという点があり、食後に服用するよりも食直前に使用した方が吸収が良いことが確認されています2)。
2) クラバモックス小児用配合ドライシロップ インタビューフォーム
クラバモックスと混ぜていいものと悪いもの|牛乳やミルクはNG
クラバモックスは基本的には水に溶かして飲む抗生物質です。
水で飲みにくい場合には、他の食べ物・飲み物と混ぜて使用することも可能です。オレンジジュース、ヨーグルト、チョコレートアイスクリームなどは相性がよく、プリンやバニラアイスクリームも飲み易いとされています。一方、アップルジュース、牛乳やミルク、乳酸菌飲料は混ぜると飲みにくくなるとされています3)。
混ぜると飲みやすくなるもの | 特に飲みやすくなるもの | オレンジジュース、ヨーグルト、チョコレートアイスクリーム |
飲みやすくなるもの | プリン、バニラアイスクリーム | |
混ぜると飲みづらくなるもの | アップルジュース、ミルク、乳酸菌飲料 |
3) クラバモックス小児用配合ドライシロップ「このお薬を正しく服用していただくために」
クラバモックスの副作用
クラバモックスの主な副作用は下痢・軟便、湿疹・発疹、嘔吐などがあります。
特に注意が必要ものに下痢があり、クラブラン酸カリウムが含まれることにより、通常の抗生物質よりも注意が必要となります。
もともと下痢をしがちな場合には、予め整腸剤や下痢止めなどを合わせて処方してもらうなど、処方医の先生ともよく相談するようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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