ボルタレンサポの特徴、効果、効果時間、使い方、副作用、併用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
Contents
ボルタレンサポの特徴
ボルタレンサポは解熱鎮痛成分のジクロフェナクを含む座薬です。風邪を引いたときや時手術をした後に痛みが強いときなどに解熱鎮痛の効果があります1)。
ボルタレンサポの特徴として使用後約30分で血中濃度が最高になり、高い鎮痛・解熱効果を示す点であり2)、強い痛みがあるときに重用される座薬です。また、1歳以上から用量が設定されており、小児から高齢者まで幅広い年代で使われている薬です。
ボルタレンサポにはボルタレンサポ12.5mg、ボルタレンサポ25mg、ボルタレンサポ50mgの3種類の規格があり、それぞれジクロフェナクの成分を12.5mg、25mg、50mg含んでいます。
1) ボルタレンサポ 添付文書
2) ボルタレンサポ インタビューフォーム
ボルタレンサポの効果
ボルタレンサポは様々な痛みに対して使用される座薬であり、関節リウマチ、ひざ関節症などの変形性関節症、腰痛のほか、手術後の痛み、風邪をひいたときの解熱(他の解熱剤で効果が期待できない場合のみ)などに対して効果があります。
ボルタレンサポの効能効果の詳細は以下の通りです。
○下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、後陣痛
○手術後の鎮痛・消炎
○他の解熱剤では効果が期待できないか、あるいは、他の解熱剤の投与が不可能な場合の急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の緊急解熱ボルタレンサポ 添付文書
ボルタレンサポの作用機序
ボルタレンサポの主な作用機序はプロスタグランジンの合成阻害です1)。
ボルタレンサポはシクロオキシゲナーゼという酵素を阻害することによって、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の合成を阻害し、結果として解熱鎮痛作用を発揮します。
プロスタグランジンは体に刺激を受けたり、発熱の原因となる異物を取り込んだときに酵素の作用で作られる物質であり、痛みを強めたり熱を引き起こす役割を果たしますが、ボルタレンサポをはじめとしたNSAIDsなどの解熱鎮痛剤はこのプロスタグランジンの合成を阻害することによってその効力を発揮します。
1) ボルタレンサポ 添付文書
ボルタレンサポの臨床成績
ボルタレンサポの効果は実際の患者さんに対する臨床試験によって確認されています。
ボルタレンサポの各種疾患に対する有効率の例として、腰痛症には71.8%、術後の痛みなどに対しては78.1%、風邪などの急性上気道炎に対しては58.1%の有効率が確認されています。また、小児においても術後の痛みなどには79.5%、発熱に対しては91.7%と高い効果が確認されています1)。
疾患名 | 例数 | 有効 | 有効率 (%) |
|
成 人 |
関節リウマチ | 65 | 40 | 61.5 |
変形性関節症 | 84 | 49 | 58.3 | |
腰痛症 | 80 | 57 | 71.3 | |
後陣痛 | 33 | 25 | 75.8 | |
手術後の消炎・ 鎮痛 |
278 | 217 | 78.1 | |
急性上気道炎 | 31 | 18 | 58.1 | |
小 児 |
手術後の消炎・ 鎮痛 |
83 | 66 | 79.5 |
発熱疾患(主に急性上気道炎)における解熱 | 290 | 266 | 91.7 |
1) ボルタレンサポ 添付文書
ボルタレンサポの効果時間
ボルタレンサポの効果発現時間や効果持続時間は実際の患者さんに対する使用にて確認されています。
ボルタレンサポの鎮痛効果の効果時間は扁桃摘出術後疼痛患者にて確認されており、作用発現時間は10~90分、平均34.2分(胆石摘出術後疼痛患者に50mg投与)、作用持続時間は90分~18時間、平均5時間(胆石摘出術後疼痛患に50mg投与)とされています。解熱効果の効果時間は成人への使用で確認されており、作用発現時間は30分(成人に25mg投与)、作用持続時間は6時間以上(成人に25mg投与)とされています3)。
このようにボルタレンサポは効果が出るまでの時間が非常に速い薬であり、痛みを速く和らげたいときに期待できる薬です。効果の持続時間に関しても比較的長く、強い痛みが持続するときには重用される薬と言えます。
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ボルタレンサポの使い方
ボルタレンサポは痛みや熱があるときに大人では25mgもしくは50mg坐剤を1個使用、子供の場合は年齢に応じた量を使用します。基本的には1日2回までの使用となります。
ボルタレンサポの用法用量の詳細は以下の通りです。
【用法及び用量】
成人
ジクロフェナクナトリウムとして通常1回25~50mgを1日1~2回、直腸内に挿入するが、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。
低体温によるショックを起こすことがあるので、高齢者に投与する場合には少量から投与を開始すること。
小児
ジクロフェナクナトリウムとして1回の投与に体重1kgあたり0.5~1.0mgを1日1~2回、直腸内に挿入する。なお、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。
低体温によるショックを起こすことがあるので、少量から投与を開始すること。
年齢別投与量の目安は1回量として下記のとおりである。
1才以上3才未満:6.25mg
3才以上6才未満:6.25~12.5mg
6才以上9才未満:12.5mg
9才以上12才未満:12.5~25mgボルタレンサポ 添付文書
子供の使用では1〜3歳未満では6.25mgであり、12.5mg坐剤を半分にして使う必要があります。
ボルタレンサポはインフルエンザでは使用しない
ボルタレンサポはインフルエンザにおける解熱目的では使用しないのが一般的です。
特に「インフルエンザの臨床経過中の脳炎・脳症の患者」にたいしては禁忌とされており、その理由として、 インフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した患者のうち、ジクロフェナクナトリウムを投与された例で予後不良例が多いとする報告があるためです1)。
インフルエンザの解熱では基本的にカロナールなどのアセトアミノフェン製剤を使用することが、日本小児科学会においても推奨されています。
ボルタレンサポは冷所保存、使用期限は3年半
ボルタレンサポは使用しないときは冷蔵庫などの冷所で保存する必要があります。
また、ボルタレンサポの使用期限は3年半とされています。ただし、この期限は製造からの期限であり、実際には薬局でもらったタイミングによって使用期限には差があります。通常薬局では1年程度は期限に余裕があるものを保管しているため、もらってから1年程度は期限内であるケースが多いですが、気になる場合は薬局で調剤してもらう際に確認しておきましょう。
ボルタレンサポの副作用
ボルタレンサポの市販後の調査では、主な副作用として下痢・便秘・腹部不快感・悪心等の消化器症状(0.83%)、局所症状(0.21%)、低体温(0.14%)、浮腫、発疹などが認められています1)。
なお、頻度は低い(0.1%未満)ながらも眠気の副作用の報告されており、重要な基本的注意として自動車運転などに対しては注意喚起されています。
本剤投与中に眠気、めまい、霧視を訴える患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。
ボルタレンサポ 添付文書
1) ボルタレンサポ 添付文書
ボルタレンサポの併用
ボルタレンサポには絶対に併用できない薬、併用に注意が必要な薬があります。
ボルタレンサポとトリテレンなどのトリアムテレン製剤は併用禁忌であり、一緒に使用することができません。トリテレンは高血圧やむくみがあるときに使われる薬です。併用できない理由は双方の薬が腎臓に負担をかけ、急性腎不全を引き起こす可能性があるためです。
その他、ボルタレンサポと禁忌ではないものの併用に注意が必要な薬は以下の通りです1)。
成分名等 | 代表的な薬剤 |
CYP2C9を阻害する薬剤(ボリコナゾール等) | |
ニューキノロン系抗菌剤(エノキサシン等) | クラビット |
リチウム 強心配糖体(ジゴキシン等) メトトレキサート |
|
アスピリン | バイアスピリン |
非ステロイド性消炎鎮痛剤 | ロキソニン |
副腎皮質ステロイド剤(プレドニゾロン等) | |
降圧剤(β-遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤等) | |
利尿剤(ヒドロクロロチアジド、フロセミド等) | |
カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、カンレノ酸) 抗アルドステロン剤(エプレレノン) |
|
抗凝血剤及び抗血小板薬(ワルファリン、レビパリン、クロピドグレル、エノキサパリン等) | |
シクロスポリン | |
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール | |
コレスチラミン | |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(フルボキサミン、パロキセチン) | デプロメール、パキシル |
上気の中で、降圧剤やアスピリン製剤は比較的多くの人が使うケースがあるので注意が必要です。現在使用している薬がある場合は必ず医師や薬剤に伝えておくようにしましょう。
1) ボルタレンサポ 添付文書
ボルタレンサポの薬価、ジェネリック
ボルタレンサポの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はボルタレンサポ12.5mgで1個あたり40.6円、ボルタレンサポ25mgで46.8円、ボルタレンサポ50mgで57.4円となっています。
なお、ボルタレンサポにはジェネリック医薬品が販売されており、アデフロニックズポ、ベギータ坐剤、ボンフェナック坐剤、ジクロフェナクナトリウム坐剤などの製品名で販売されています。薬価は1個あたり12.mgで19.3円、25mg及び50mgで19.9円とされており、ボルタレンサポよりも安価で手に入ります。
ボルタレンサポの市販での購入
ボルタンレンサポは市販では買うことはできません。ジクロフェナクの成分としては、湿布、テープ剤などの外用剤としては市販薬として販売されていますが、座薬は処方薬のみであり、処方箋がない限りは手に入りません。必ず医師の診察の下、処方してもらうようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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