新しい貼り薬の痛み止めであるロコアテープについて、その特徴や効果、副作用、薬価、飲み薬との併用、投与制限・枚数制限、さらにはロキソニンテープやモーラステープとの違いについて添付文書やインタビューフォームから解説します。
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ロコアテープの特徴
ロコアテープは2015年に9月に承認され、2016年1月に発売(発売日:1月21日)した貼り薬です。
ひざ関節症などに対して飲み薬に匹敵する様な高い効果を持った痛み止めであり、実際に高い効き目が実感できるという評判のテープ剤です。
ロコアテープはNSAIDと言われるグループに分類される解熱鎮痛成分のエスフルルビプロフェンと鎮痛効果を補助するハッカ油を成分としています。
日本でも数多くの患者さんがいるひざ関節症を含む変形性関節症に対して効果が確認されています。変形性関節症に対する治療は解熱鎮痛剤の飲み薬と、湿布剤、テープ剤などの外用剤が使用されますが、飲み薬は高い効果が期待できる反面、胃が荒れるなどの副作用がデメリットとして言われています。また、湿布剤、テープ剤などの外用剤は飲み薬に比べて安全とされているものの、変形性関節症の原因組織までの成分移行性が十分でなく飲み薬ほどは高い効果が期待できないとされていました。
ロコアテープはテープ剤でありながら、飲み薬の様に関節症の原因患部まで有効成分が届きやすいと言われており、これがロコアテープの大きな特徴の一つと言えます。
その根拠として、ロコアテープは従来の湿布剤の一つであるフルルビプロフェンパップ剤と比較した結果があります。変形性関節症の患部である滑膜や関節液に対してロコアテープを使用した場合は、成分の移行がフルルブプロフェンパップと比較して、15倍〜30倍であることが確認されています。
ロコアテープ インタビューフォームより
また、ロコアテープは基礎実験レベルではモーラステープやロキソニンテープの成分よりも強い効果が確認されています。ロコアテープを含むNSAIDはシクロオキシゲナーゼ(COX)という痛みの原因を作り出す物質の働きを阻害することによって痛みなどに効果をもたらします。ロコアテープはこのCOXを阻害する強さが、モラーステープの成分であるケトプロフェン、ロキソニンテープの成分であるロキソプロフェンよりも強いという結果が確認されています。
ロコアテープ インタビューフォームより
このようにロコアテープは組織への高い移行性と強い効果という特徴を持った貼り薬です。
ロコアテープの適応、病名や効能効果
ロコアテープの適応は「変形性関節症における鎮痛・消炎」のみです。
適応とは病名と言い換えることもでき、基本的にはひざ関節症などの変形性関節症でしか医師が処方しないということです。
ひざ関節症などの変形性関節症に特化した薬であり、長期で使うことにより95%程度の効果が確認されています。
ロコアテープは使用を開始した1日後からその効果が確認されており、また、長期で使い続けることによって症状が改善する割合も増えるという効果が確認されています1)。
最終的な改善する割合は著明改善、中等度改善、軽度改善を全て含めると95%程度であり、非常に高い効果が期待できると言えるでしょう。
1)ロコアテープ インタビューフォーム
ロコアテープの使い方と飲み薬の併用
ロコアテープの使い方は、1日1回です。痛みの場所が複数あったとしても1日に最大で2枚までとされており、3枚以上貼ることは禁止されているのでご注意ください。また、ロキソニンなどの飲み薬の痛み止めと併用(組み合わせて使用)することも基本的には避けるべきとされていますので、こちらも自己判断で使用するようなことは避けましょう。
これらの使い方の制限はロコアテープの効果の高さ故のことであると考えられ、痛み止めの効果が強く出すぎてしまうことを避けるためと言えるでしょう。
ロコアテープの用法用量の詳細は以下の通りです。
1日1回、患部に貼付する。同時に2枚を超えて貼付しないこと。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
本剤2枚貼付時の全身曝露量がフルルビプロフェン経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は2枚を超えないこと。本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること。ロコアテープ 添付文書
ロコアテープの副作用
ロコアテープで懸念される副作用は貼った部分の異変です。皮膚炎(かぶれなど)や紅斑(赤み)、そう痒感(かゆみ)、湿疹、発疹などが比較的見られやすいとされていますので、これらにはご注意ください。
なお、テープ剤を貼っている部分の副作用を少しでも抑えるには、貼るときに汗などを拭いたり、貼る部位を清潔にしておくことで効果があるケースもあります。
また、ロコアテープのはがし方によっても副作用を抑えられる可能性があります。はがすときは周りの皮膚を手で押さえて、皮膚に沿ってゆっくりはがす様にしましょう。テープを持ち上げる様にはがすと皮膚に負担がかかり、かゆみやかぶれの原因になるとされています。
その他の副作用として、腎機能の指標である検査値の血中尿素(BUN)が増加する副作用、痛み止めの飲み薬でみられやすい胃部不快感なども見られる可能性があります。
ロコアテープを使用した場合には念のため血液検査の結果や胃腸の調子などを確認しておく様にしましょう。
ロコアテープの薬価
ロコアテープの薬の価格となる薬価は1枚あたり44.80円とされています。
新薬ですので、薬価が安くなるジェネリック医薬品は未だ販売されておりません。
ロコアテープの投与制限、枚数制限
ロコアテープは新薬であるため、2016年11月30日までは投与制限(枚数制限)があります。これは厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づいており、1回での投与は14日分、枚数としては28枚が限度となります。
ロコアテープと他の湿布剤との比較
貼り薬で現在よく使われているのはモーラステープやロキソニンテープといったところです。
これらのテープ剤との違いを確認していきましょう。なお、比較は全てロコアテープの大きさに合わせて10cm × 14cmで比較します。
成分 | 効能効果 | 薬価 | 特徴 | |
ロコアテープ | エスフルルビプロフェン、ハッカ油 | 変形性関節症における鎮痛・消炎 | 44.80 | 1日1回の使用。従来の貼り薬よりも高い組織への移行性と強い解熱鎮痛力が実験レベルで確認されている。 |
ロキソニンテープ | ロキソプロフェンナトリウム | 下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛 変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛 |
37.90 | 1日1回の使用。飲み薬のロキソニンの貼り薬版。モーラステープと並び非常によく使われている貼り薬。 |
モーラステープ | ケトプロフェン | ○下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎 腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛 ○関節リウマチにおける関節局所の鎮痛 |
40.10 | 1日1回の使用。以前より非常によく使われている貼り薬。貼った部分が日光に当たると光線過敏症になる可能性がある点がデメリット。 |
上記の通り、適応はモーラステープが最も多く様々な疾患に使われます。対してロコアテープは変形性関節症のみであり、使われる人は限定的と言えます。
また、薬価は最近発売したこともあり、ロコアテープが最も高くなっています。しかしこの点は極端な差でなく、少し高いといった程度です。
各薬剤の特徴として全て1日1回の使用で効果が認められているため、この点は差がありません。モーラステープはテープをはがした後に患部を1ヶ月程度は日に当ててはいけないとされていますので、どうしても日に当たってしまう様な部分に使用する場合はロコアテープかロキソニンテープが適していると言えます。
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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