アルピニーはアセトアミノフェンを成分とする痛み止めや解熱剤として使われる座薬です。アルピニー200、100、50の種類があり、体重別の用量や使用期限、保管方法、使用する間隔、ダイアップやナウゼリンなどとの併用や使う順番、アンヒバとの違いについても添付文書などから解説します。
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アルピニーの成分と痛み止めとしての効果
アルピニー坐剤は痛み止めや解熱剤として使われる座薬です。成分としてアセトアミノフェンを含んでおり、0歳の赤ちゃんでも使用されることがあるような安全性の高い薬です。
アルピニーの効能効果は以下となります。
小児科領域における解熱・鎮痛
アルピニー坐剤 添付文書
アルピニーの成分であるアセトアミノフェンの作用の仕組みは現在も不明な部分がありますが、主に脳において痛覚閾値(痛みの感じにくさ)を高めることや、体温調節中枢に作用して皮膚の血管を拡張させて体温を下げると考えられています。
アルピニーの各疾患への効果は実際の患者さんに対する臨床試験で確認されており1)、いずれの疾患にも8割近い効果が確認されており、高い効果が期待できる座薬です。
疾患名 | 有効率(%) |
急性上気道疾患A) | 76.2 |
急性下気道疾患B) | 81.3 |
他の発熱性疾患C) | 79.1 |
計 | 77.9 |
A) 感冒、咽頭炎、上気道炎、扁桃炎、ヘルパンギナ等
B) 気管支炎、急性肺炎、異型肺炎、仮性クループ等
C) 麻疹、特発性発疹、流行性耳下腺炎、風疹、不明熱、ウイルス感染症、頸部リンパ節炎等
1) アルピニー坐剤 添付文書
アルピニーの体重別の用量、座薬の使い方、保管についても
アルピニーにはアルピニー坐剤50、アルピニー坐剤100、アルピニー坐剤200の種類があり、それぞれ成分のアセトアミノフェンを50mg、100mg、200mg含んでいます。
アルピニーの使い方(用法用量)は以下の通りであり、体重によって使用する量が異なってきます。
通常、乳児、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを直腸内に挿入する。投与間隔は4~6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、成人の用量を超えない。
アルピニー坐剤 添付文書
使用する量を体重ごとにまとめると以下のようになります。
体重 | 1回用量 | |||
アセトアミノ フェン量 |
アルピニー 坐剤50 |
アルピニー 坐剤100 |
アルピニー 坐剤200 |
|
5kg | 50- 75mg |
1-1.5個 | 0.5個 | – |
10kg | 100- 150 |
2-3個 | 1-1.5個 | 0.5個 |
20kg | 200- 300 |
– | 2-3個 | 1-1.5個 |
30kg | 300- 450 |
– | – | 1.5-2個 |
アルピニーの座薬の使うときの注意点として以下のような点が挙げられています。
(1)投与時
・本剤を使用する前は、できるだけ排便をすませておくこと。
・本剤を取り出すには、まず1個分の容器を切り離し、上端の合わせ目から引裂いて、坐剤を取り出す。なお、1/2個を用いる場合には、坐剤を斜めに切断する。
・本剤は直射日光を避けてなるべく冷所に保管すること。
(2)投与経路 本剤は直腸投与のみに使用し、経口投与はしないこと。
(3)使用方法 容器から坐剤を取り出した後、太い方から肛門内に深く入すること。
上記の(1)の内容に関しては1/2個使う場合に注意が必要です。縦や真横に半分に切るのではなく、斜めに切って使うことで座薬としての効果が発揮しやすくなります。また、保管する場合は冷蔵庫などの冷所で保管するようにしましょう。(3)の注意点は太い方からの方が肛門の構造上うまく座薬を入れることができるためです。これらの点に注意して座薬を使用するようにしましょう。
アルピニーの使用する間隔
アルピニーを使用する際に空けるべき間隔は4〜6時間とされています。
通常、乳児、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを直腸内に挿入する。投与間隔は4~6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、成人の用量を超えない。
アルピニー坐剤 添付文書
アルピニーと同じくアセトアミノフェンを主成分とするアンヒバでは、発熱に対して使用してから30分程度で熱が下がり始め、1〜2間後に効果のピークを迎え、その効果の持続時間は4時間とされているため2)、この点からも4時間以内の間隔で使用することは避けましょう。
2) アンヒバ坐剤 添付文書
アルピニーの使用期限
アルピニーの使用期限は以下のように定められており、調剤薬局では使用期限が極端に迫っている薬剤はあまり置いてないため、一般的には薬を交付されてから1〜2年程度は使用できるとケースが多いと考えられます。ただし、厳密な使用期限は調剤された後には患者さん自身では判断がつかないことがほとんどですので、正確な期限を知りたい場合はあらかじめ薬を交付された薬局に確認しておく必要があります。
有効期間又は使用期限 使用期限:3 年(安定性試験結果に基づく)
アルピニー坐剤 インタビューフォーム
アルピニーとダイアップ、ナウゼリンとの併用、順番は?
アルピニーは解熱鎮痛の座薬ですが、他の効果がある座薬と一緒に処方されるケースもあります。
一緒に処方されることが多い座薬の一つにダイアップがあります。ダイアップはジアゼパムという神経を落ち着かせる成分を含んだ座薬です。小児の熱性けいれんやてんかんのけいれん発作に使われる座薬です。
アルピニーとダイアップで使う順番に注意が必要となります。
座薬を使用する順番は、①ダイアップ坐剤、30分以上経ってから②アルピニー坐剤となります。
この理由は、ダイアップに含まれるジアゼパムの成分は油に溶けやすい性質を持っており、油性の基剤が使われているアルピニーの坐剤を先に使ったり間を空けずに使用すると、ダイアップの成分がアルピニーの基剤に吸収されてしまい、ダイアップの効果が発揮されにくくなるためです2)。
ダイアップは小児の熱性けいれんを防ぐ重要な役割を持った薬のため、十分な効果を発揮される必要があり、必ずこの順番や使用間隔を守るようにしましょう。
他にも一緒に処方されることが多い座薬のにナウゼリンがあります。ナウゼリンはドンペリドンという吐き気止めの成分を含んだ薬です。風邪を引いたときに吐き気もあるようなケースではアルピニーとナウゼリンは併用されるケースも少なくありませんが、こちらも順番には注意が必要となります。
座薬を使用する順番はやはり、①ナウゼリン坐剤、30分以上経ってから②アルピニー坐剤となります。
この理由はダイアップと基本的に同じであり、ナウゼリンの成分であるドンペリドンは油に溶けやすい性質を持っており、油性の基剤が使われているアルピニー坐剤を先に使ったり、間を空けずに使用すると、ナウゼリンの成分がアルピニーの基剤に吸収されてしまい、ナウゼリンの効果が発揮されにくくなるためです2)。
ナウゼリンの吐き気止めの効果を十分に発揮させるために、必ずこの順番や使用間隔を守るようにしましょう。
2) 沖縄県薬剤師会 http://www.okiyaku.or.jp/0_QA/kodomo/kodo03.html
アルピニーとアンヒバの違い
アルピニーと同じくアセトアミノフェンを成分としている座薬にアンヒバがあります。
アルピニーとアンヒバの違いは販売している製薬会社が異なる程度の違いであり、基本的には同じ効果が期待出来る薬と言えます。
アルピニーとアンヒバでは販売されている規格も50mg、100mg、200mgと同じラインナップであり、成分のアセトアミノフェンの含有量も同じです。
厳密に言うと、薬の価格である薬価が200mg坐剤のみアルピニーの方が0.2円安くなっていますが(アルピニー27.8円、アンヒバ28.0円)、これは保険点数の計算結果によっては差がなくなる可能性もある程度の差であり、大きな違いとは言えないでしょう。
したがって、アルピニーとアンヒバは大きな違いはなく、どちらも同じ効果が期待出来ると言えるでしょう。また、併用するのは意味がないためやめましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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