フラベリック20mgの効果、眠気などの副作用、使い方や用法用量、効かない場合の確認点、妊娠中と授乳中の使用、メジコンとの違いなどについて添付文書等から確認していきます。
フラベリックの効果と特徴
フラベリック20mgはベンプロペリンリン酸塩錠を成分とする咳止めの薬です。
フラベリックの特徴として、鎮咳薬(いわゆる咳止め)の中でも非麻薬性の鎮咳薬に分類され、依存性などの心配が少ない薬です。また、メジコンやフスコデなど他の咳止めは1回に複数錠使用するのが多い中、フラベリックは1回に1錠使用するケースが一般的であり、用法用量がわかりやすいという特徴もあります。
フラベリックは風邪などにおける咳に効果がある
フラベリック20mgの効果は上気道炎(いわゆる風邪)などにおける鎮咳作用です。
フラベリックの効能効果の詳細は以下のとおりです。
下記疾患に伴う咳嗽
感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)フラベリック20mg 添付文書
フラベリックの作用機序は咳中枢の抑制
フラベリックが咳に対して作用する機序として、咳中枢の興奮を低下させることが実験で確認されており、気管支筋弛緩の作用もあるとされています1)。
1) フラベリック錠20mg 添付文書
フラベリックの効果は69.7%〜81.3%の有効性
フラベリックの実際の咳に対する効果は、臨床試験において確認されており、風邪などの急性疾患における咳では81.3%の有効率、慢性疾患の咳に対しては69.7%の有効率が確認されています2)。
上記の結果から、フラベリックは正しく使用すれば非常に高い効果が期待できる咳止め薬です。
2) フラベリック錠20mg インタビューフォーム
フラベリックの用法用量
フラベリック20mgは1回に1錠を1日3回毎食後に使用するのが一般的な使い方となります。
フラベリックの用法用量の詳細は以下のとおりです。
ベンプロペリンとして、通常成人1回20mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。フラベリック20mg 添付文書
フラベリックの小児の使用
フラベリックの小児に対する使用に関しては、製薬会社からは事例が少ないため、安全性・有効性の面で保証されていない旨の注意喚起がなされています。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。フラベリック20mg 添付文書
このため、あまり積極的に小児に使用されることはありません。しかし、使用が禁止されているわけではなく、中には小児に対してもフラベリックが処方されるケースも見られます。製薬会社からの情報でも、75例の小児における咳に対して使用した成績が記載されており、その有効率は85.3%であったという報告もあるため2)、一定の効果は期待できると言えます。ただし、自己判断では使用せず、医師から処方された場合のみ使用するようにしましょう。
2) フラベリック錠20mg インタビューフォーム
フラベリックが効かない場合は
フラベリックが効かないと感じる場合は、まずはフラベリックの用法用量を確認しましょう。フラベリックは一般的に1日3回使用する薬であり、指示された使用回数よりも少ない回数だと十分な効果が発揮されてない可能性があります。必ず指示された回数を使用するようにしましょう。
正しい用法用量で使用しているにもかかわらず、効かないと感じる場合は薬が症状にあっていない可能性もあります。処方された期間を飲みきっても改善しない場合は再度クリニックを受診するようにしましょう。
フラベリックの妊娠中と授乳中の使用
フラベリックの妊娠中と授乳中の使用についても確認していきます。
フラベリックは医師の判断で妊娠中も使用出来る
フラベリックの妊娠中の使用は、製薬会社からは治療上のメリットが危険性を上回ると判断した場合のみ処方するという注意喚起がされています。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
フラベリック錠20mg 添付文書
上記の点から、実際に妊娠中にフラベリックを使用するかは処方医の先生の判断となります。
なお、その他の情報として、虎の門病院「妊娠と薬」相談外来における相談事例では、「限られた情報ではあるが、本剤暴露群の児の出産結果は国内における自然奇形発生率を上回る変化とは考えられない」という見解を述べています3)。
これらの内容から、医師が妊娠中であることを知った上でフラベリックを処方した場合は、治療上有益であると判断したと考えられるため、正しい用法用量で使用するようにしましょう。また、自己判断では使用するのは避けるようにしましょう。
3) 株式会社じほう 実践 妊娠と薬 第2版
フラベリックは授乳中の使用に関して注意喚起はなし
フラベリックは授乳中の使用に関して特別な注意喚起はありません。
フラベリックの製薬会社の添付文書では、授乳中の使用に関して特に記載はありません1)。
ただし、授乳中に使用しても問題がないという根拠もなく、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、データがないため他の鎮咳薬への変更を推奨しています4)。
データがなく、他の薬剤への変更を検討する。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
もし、医師が授乳中であることを知った上でフラベリックを処方した場合は、指示された通り使用しても問題ないと考えられますが、少なくとも自己判断で授乳中にフラベリックを使用するのは避けたほうが良いと言えるでしょう。
1) フラベリック錠20mg 添付文書
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
フラベリックの副作用|眠気や音の変化にも注意
フラベリックの主な副作用は口内乾燥、眠気、腹痛とされています1)。
眠気に関しては、咳止めの薬ではどれも共通して一定数の報告があり、フラベリックも例外ではなく眠気を催すケースがあるため、注意が必要です。
その他、頻度は不明とされていますが、フラベリックの特徴的な副作用に音感が変化する聴覚異常の報告もあります。フラベリックを使用する場合は、音の聞こえ方にも念のため注意してみましょう。
1) フラベリック錠20mg 添付文書
フラベリックとメジコンの違いや併用
フラベリックと同じ鎮咳薬で、よく処方されるものにメジコンがあります。メジコンについてフラベリックとの違いや、併用の可否について確認していきます。
フラベリックとメジコンの違いは成分と用法
フラベリックとメジコンは同じ非麻薬性の鎮咳薬に分類されるものの、成分は違うものであり、メジコンはデキストメトルファンという成分を含みます。
用法はメジコンの方が幅が広く、メジコン錠15mgの場合は、1回に1〜2錠を1日1〜4回使用する用法となっています。
フラベリックとメジコンは基本的に併用はしない
フラベリックとメジコンは作用がほぼ同じものであるため、特別なケースを除き併用するケースはあまりありません。
自己判断で併用するようなことは避けましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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