アルファロールの効果や副作用|エディロールとの違いや薬価、一般名についても

アルファロールの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

アルファロールの特徴|一般名はアルファカルシドール

アルファロール(一般名:アルファカルシドール)は、ビタミンD代謝異常の症状や骨粗鬆症に対して効果があるビタミンD製剤です1)
アルファロールの特徴は、骨粗鬆症における骨量の減少を改善し、腰背痛などの自覚症状をとり除ことが認められており、新たな骨折の発生を抑制します。また、活性型ビタミン D3 を生理的な経路で補給し、小腸でのカルシウム吸収を促進します2)
アルファロールにはカプセル剤の0.25μgカプセル、0.5μgカプセル、1μgカプセル、3μgカプセル、液剤の内用液0.5μg/mL、粉薬の散1μg/gがあります。なお、3μgカプセルには骨粗鬆症の適応がなく、基本的に骨粗鬆症には使われません。
今回は主にアルファロールの0.25μgカプセル、0.5μgカプセル、1μgカプセルについて確認していきます。
1) アルファロールカプセル0.25μg/アルファロールカプセル0.5μg/アルファロールカプセル1μg 添付文書
2) アルファロールカプセル インタビューフォーム

アルファロールとエディロール、ロカルトロールとの違いは

アルファロールと同じくビタミンD製剤に分類される薬に、エディロール、ロカルトロールなどがあります。アルファカロールは肝臓で代謝されることにより薬剤の効果を発揮しますが、エディロールやロカルトロールはすでに最終の活性型であるという点が異なります。
また、アルファロールは小腸でのカルシウム吸収の促進が主な作用となりますが、エディロールはこれに加え、骨代謝の改善に対しても高い効果が期待できます。

アルファロールの効果

アルファロールはビタミンD代謝異常の症状や骨粗鬆症に対して効果がある薬です。
アルファロールカプセル0.25μg、0.5μg、1μgの効能効果の詳細は以下の通りです。

◯下記疾患におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、テタニー、骨痛、骨病変等)の改善
慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症
◯骨粗鬆症

アルファロールカプセル0.25μg/アルファロールカプセル0.5μg
/アルファロールカプセル1μg 添付文書

アルファロールの作用機序

アルファロールの主な作用機序は、小腸からのカルシウム吸収促進作用です。
骨形成においてカルシウムは重要な役割を果たしますが、カルシウムの吸収や代謝においてビタミンDが必要となります。アルファロールは肝臓で代謝を受けることにより、活性型ビタミンD3として作用し、小腸でのカルシウム吸収を促進し、骨の形成を促進します。

アルファロールの実際の効果は52.4〜96.2%

アルファロールの実際の患者さんに対する効果は臨床試験において確認されています。
骨粗鬆症に対しては52.4%、慢性腎不全に対しては78.0%、副甲状腺機能低下症に対しては96.2%、ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症に対しては91.2%、未熟児に対しては56.3%の有効率が確認されています2)
2) アルファロールカプセル インタビューフォーム

アルファロールの使い方

アルファロールの使い方は、疾患によって異なっており、慢性腎不全、骨粗鬆症の場合は0.5μgもしくは1.0μgカプセルを1日1回1カプセル使用し、副甲状腺機能低下症、その他のビタミンD代謝異常に伴う疾患では1〜4.0μgを1日1回使用します。
アルファロールの用法用量の詳細は以下の通りです。

本剤は、患者の血清カルシウム濃度の十分な管理のもとに、投与量を調整する。
◯慢性腎不全、骨粗鬆症の場合
通常、成人1日1回アルファカルシドールとして0.5~1.0μgを経口投与する。
ただし、年齢、症状により適宜増減する。
◯副甲状腺機能低下症、その他のビタミンD代謝異常に伴う疾患の場合
通常、成人1日1回アルファカルシドールとして1.0~4.0μgを経口投与する。
ただし、疾患、年齢、症状、病型により適宜増減する。
(小児用量)
通常、小児に対しては骨粗鬆症の場合には1日1回アルファカルシドールとして0.01~0.03μg/kgを、その他の疾患の場合には1日1回アルファカルシドールとして0.05~0.1μg/kgを経口投与する。
ただし、疾患、症状により適宜増減する。

アルファロールカプセル0.25μg/アルファロールカプセル0.5μg
/アルファロールカプセル1μg 添付文書

アルファロールの副作用

アルファロールを骨粗鬆症に使用した場合の主な副作用はBUNの上昇(0.2%)、嘔気(0.2%)、食欲不振(0.1%)、胃痛(0.1%)、AST(GOT)の上昇(0.09%)であった、とされています1)
なお、頻度は稀であると考えられますが、重大な副作用として、急性腎不全、肝機能障害、黄疸の報告もあるため、アルファロールを使用している期間は定期的に血液検査等で様子を見ることも必要です。
1) アルファロールカプセル0.25μg/アルファロールカプセル0.5μg/アルファロールカプセル1μg 添付文書

アルファロールの飲み合わせ

アルファロールには禁止でないものの、飲み合わせに注意が必要な薬がいくつかあります1)
アルファロールとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
マグネシウムを含有する製剤 酸化マグネシウム
ジギタリス製剤 ラニラピッド
カルシウム製剤 ポリフル
ビタミンD及びその誘導体 エディロール、ロカルトロール
PTH 製剤 フォルテオ

上記の併用注意薬のうち、酸化マグネシウムなどのマグネシウムを含有する薬は比較的使用するケースも多く注意が必要です。マグネシウム製剤との注意が必要な理由として高マグネシウム血症が起きたとの報告があるためです。慢性的にマグネシウム製剤を使用している場合には注意するようにしましょう。また、高カルシウム血症が現れることがあるためPTH製剤であるフォルテオなども併用注意とされていますが、実際には併用されるケースもあり、こちらも検査結果などを注意しながら使用するようにしましょう。
1) アルファロールカプセル0.25μg/アルファロールカプセル0.5μg/アルファロールカプセル1μg 添付文書

アルファロールの授乳中の使用

アルファロールは授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。

授乳中は投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[授乳婦への投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で授乳による新生児への移行率は、母動物投与量の1/20に相当する。]

アルファロールカプセル0.25μg/アルファロールカプセル0.5μg
/アルファロールカプセル1μg 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、授乳婦に使用した経験が少なく、安全性が不確定な部分があるためです。

なお、動物実験では乳汁中にはあまり移行されないことが確認されています2)

また、専門家による見解として、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでは、長期で使用する場合は乳児の血中カルシウム濃度のチェックが必要としているものの、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解であり3)、授乳中の使用に関して否定的ではありません。

母親に長期投与する場合 、乳児の血中カルシウム濃度をチェックする

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にアルファロールを使用するかは処方医の先生の判断が必要です。アルファロールに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) アルファロールカプセル インタビューフォーム
3) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

アルファロールの妊娠中の使用

アルファロールの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[ヒト妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で大量投与の場合、胎児化骨遅延等がみられている。]

アルファロールカプセル0.25μg/アルファロールカプセル0.5μg
/アルファロールカプセル1μg 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、生殖発生毒性試験における動物への大量投与で胎児化骨遅延等が認められたためとされています2)

実際に妊娠中にアルファロールを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。アルファロールに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) アルファロールカプセル インタビューフォーム

アルファロールの薬価、後発品・ジェネリック

アルファロールの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はアルファロールカプセル0.25μgで1カプセルあたり20.2円、アルファロールカプセル0.5μgで38.4円、アルファロールカプセル1μgで70.5円とされています。
アルファロールにはジェネリック医薬品(後発品)があり、トヨファロールカプセル、ワークミンカプセル、アルファカルシドールカプセルなどの販売名で販売されています。また、剤型が異なりますが、かルフィーナ錠も同じ成分を含むジェネリック医薬品です。これらの薬価は0.25μgで5.8〜13.8円、0.5μgで5.8〜24.9、1μgで8.9〜42.5円となっており、アルファロールよりも安価な薬価となっています。

アルファロールの市販での購入

アルファロールの成分を含む薬は市販では購入することができません。また、アルファロールと比較的成分が近いものや、代替となるような薬も市販では買うことはできません。
アルファロールは専門的な知識が必要な疾患に対して使用する薬であり、必ず医師の適切な診察を受けて処方してもらうようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。

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