糖尿病治療薬のメトグルコに関して、一般名や効果、造影剤の注意点、薬価、ジェネリック後発品、乳酸アシドーシスなどの副作用等について、添付文書などから解説します。
メトグルコの一般名と効果
メトグルコは一般名がメトホルミンであり、ビグアナイド類というグループに分類される糖尿病の治療薬です。
メトグルコなどのビグアナイド類の薬は主に以下のような作用で血糖値を下げます。
①肝臓からの糖分の新生抑制
②末梢組織での糖分の取り込み促進
③小腸からの糖分吸収の抑制
インスリンに依存することなく血糖値を下げる作用を示すのが特徴と言えます。
一般名が同じメトホルミンの薬剤として、グリコラン、メデットがあり、基本的には同様の作用機序で効果がもたらされます。
メトグルコの薬価と後発品(ジェネリック)
メトグルコの薬価は250mgが9.9円、500mgが16.7円となります。
また、メトグルコは後発品(ジェネリック)も販売されており、一般名の「メトホルミン」が名称に含まれる、メトホルミン塩酸塩MTという販売名になります。ただし、メトグルコ250mgの薬価はジェネリックに変更しても同じ価格であり、あまりジェネリックに変更するメリットはありません。
同じ一般名のグリコランやメデット、ネルビス、「MT」が名称に含まれていないメトホルミン塩酸塩は薬価が異なり、厳密にはメトグルコやそのジェネリック医薬品とは違う薬となるため、注意が必要です。
区分 | 医薬品名 | 薬価 |
先発 | メトグルコ錠250mg | 9.9円 |
ジェネリック | メトホルミン塩酸塩錠250mgMT | 9.9円 |
先発 | メトグルコ錠500mg | 16.7円 |
ジェネリック | メトホルミン塩酸塩錠500mgMT | 9.9円 |
上記の通り、250mgでは先発医薬品でもジェネリック医薬品でも薬価は変わらず、また、250mgと500mgではジェネリック医薬品では同じ薬価になります。
メトグルコの副作用
メトグルコが含まれるビグアナイド類の糖尿病治療薬では過去に乳酸アシドーシスの副作用が問題となった経緯があります。
乳酸アシドーシスとは血中に乳酸が蓄積し、血液が酸性に著しく傾いた状態です。悪心・嘔吐、腹痛、下痢などの初期症状の他、筋肉系の症状もなど様々な初期症状が出て、死亡率は50%とも言われており、非常に危険な状態です。
ビグアナイド類の中ではメトグルコは乳酸アシドーシスになりにくい薬であり、10/10万人程度の頻度と考えられてますが、十分に注意が必要な副作用です。
一定の重症度の腎機能障害、肝機能障害、過度のアルコール摂取者、脱水状態の場合などは乳酸アシドーシスが出やすくなるため、メトグルコを使用することがはできません。
その他の副作用で、比較的頻度が高いものは、下痢、吐き気、腹痛、食欲不振などです。
メトグルコと造影剤
メトグルコは造影剤に関して以下のような注意喚起がされています。
ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤 の併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、 検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし、 緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお、 投与再開時には、患者の状態に注意すること。
メトグルコ錠250mg/メトグルコ錠500mg 添付文書
ヨード造影剤は主にCTの検査で使われる造影剤です(MRIは主にガドリニウム造影剤)。メトグルコを使用中にヨード造影剤を使用する場合は2日程度の休薬が望ましいと考えられます。休薬が必要な理由としては乳酸アシドーシスを起こしやすくなると考えられているためです。
このため、CTなどの検査を受ける場合には必ずメトホルミンを使用している旨を医師に伝えておくことが重要です。
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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