エクラーの特徴、効果、使い方、副作用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
Contents
エクラーの特徴と強さ
エクラーはステロイドの成分であるデプロドンプロピオン酸エステルを含んだ外用剤であり、湿疹、皮膚炎、虫刺されなど幅広い皮膚疾患の効能を有している薬です1)。
エクラーには塗り薬である軟膏、クリーム、ローションの他に、エクラープラスターという貼り薬の形状のものがあり、ステロイド外用剤では比較的珍しい貼り薬がある点はエクラーの特徴の一つと言えます。
今回は主にエクラー軟膏、エクラークリームについて確認していきます。
1) エクラー軟膏0.3%/エクラークリーム0.3% 添付文書
エクラーの強さは上から3番目|ロコイドより強くアンテベートより弱い
エクラーのステロイド外用剤としての強さは上から三番目の強さであるⅢ群(Strong)に分類され、中程度の強さとなります。
ステロイドの外用剤は効果の強さにより、Ⅰ〜Ⅴ群に分類されます。Ⅰ群(Strongest)が最強であり、数が大きくなるにつれ効果が弱くなり、Ⅴ群(Weak)が最も弱い分類となります。
エクラーは中程度の強さであるため、様々な皮膚疾患、体の色々な部位、幅広い年齢層に使用される、使い勝手の良い外用剤と言えます。
他のステロイド剤と強さを比較すると、ロコイドやキンダベート(それぞれⅣ群)よりは強く、リンデロンV・VGやメサデルム(それぞれⅢ群)と同等の強さ、アンテベートやマイザー(それぞれⅡ群)、デルモベート(Ⅰ群)よりは弱いという位置付けになります。
エクラーの効能効果
エクラーは湿疹や皮膚炎、虫刺されなど幅広い皮膚疾患に対する効能を有する薬です。
エクラー軟膏、エクラークリームの効能効果の詳細は以下の通りです。
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、脂漏性皮膚炎を含む)、薬疹・中毒疹、虫さされ、痒疹群[蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、結節性痒疹(固定蕁麻疹)を含む]、乾癬、紅皮症、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)、ジベル薔薇色粃糠疹、掌蹠膿疱症、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーグ病)、円形脱毛症
エクラー軟膏0.3%/エクラークリーム0.3% 添付文書
エクラーの作用機序
エクラーが湿疹、皮膚炎などの皮膚疾患に対して効果を示すのは、ステロイド成分による抗炎症作用が働くためです。
ステロイドの成分は一般的に抗炎症蛋白のリポコルチンを産生を促進させ、ホスホリパーゼA2を阻害し、結果として抗炎症作用を示すとされています。
エクラーの効果は46.9〜95.5%の有効率
エクラーの実際の患者さんに対する効果として臨床試験の結果が公表されています1)。
エクラー軟膏、エクラークリームは各疾患における有効率を確認しており、湿疹や皮膚炎症では90%前後、その他の疾患でも46.9〜95.5%の有効率が確認されています。
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疾患名 有効率(%)
(かなり軽快以上/評価例数)
軟膏有効率(%)
(かなり軽快以上/評価例数)
クリーム湿疹・皮膚炎群 91.4(352/385) 88.8(310/349) 薬疹・中毒疹 95.0(38/40) 92.1(35/38) 虫さされ 95.5(42/44) 88.6(39/44) 痒疹群 82.6(38/46) 71.4(30/42) 乾癬 69.7(106/152) 69.2(92/133) 紅皮症 85.2(23/27) 81.3(13/16) 紅斑症 91.2(31/34) 94.7(36/38) ジベル薔薇色粃糠疹 84.4(27/32) 95.0(38/40) 掌蹠膿疱症 75.7(28/37) 59.5(22/37) 特発性色素性紫斑 80.8(21/26) 78.8(26/33) 円形脱毛症 46.9(15/32) 50.0(23/46) 計 84.3(721/855) 81.4(664/816)
1) エクラー軟膏0.3%/エクラークリーム0.3% 添付文書
エクラーの使い方
エクラー軟膏、エクラークリームは1日1〜数回患部に塗って使用します。
エクラー軟膏、エクラークリームの用法用量の詳細は以下の通りです。
通常1日1~数回、適量を患部に塗布する。
エクラー軟膏0.3%/エクラークリーム0.3% 添付文書
エクラー軟膏、エクラークリームの顔や陰部への使用
エクラー軟膏、エクラークリームは場合によっては顔や陰部に使用することもあります。一般的に顔や陰部は他の皮膚の部分よりも薬をよく吸収されることが知られており、同じ量を使用してもかなり効果が強く出る傾向があります。また、同じ顔でも目の周りは特に吸収されやすく、顔や陰部に使用する場合は医師からの指示であっても十分に注意して使用するようにしましょう。
エクラーの子供や赤ちゃんの使用
エクラー軟膏、エクラークリームは子供や赤ちゃんに対しても使用できない薬ではありません。
ただし、子供や赤ちゃんは一般的に大人に使用するよりも効果が強く出てしまう傾向があります。子供や赤ちゃんでも医師からの指示であればエクラー軟膏、エクラークリームを使用しても問題ないと考えられますが、大人よりも慎重に使用するようにしましょう。また、必ず医師から指示があった場合のみ使用するようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
エクラーの副作用
エクラーはステロイドの一つであり、副作用が心配という人もいるかと思いますが、正しい使用法で使用する分にはあまり心配は必要ないと言えます。
副作用の頻度として参考になるものとしてエクラー軟膏を例に挙げると、刺激感(0.11%)、瘙痒感(0.11%)、接触皮膚炎(0.11%)、毛のう炎(0.11%)などとされています1)。
起こりうる副作用は基本的には塗布した部分におけるものがほとんどであり、塗った部位を様子を見ながら使用すれば副作用が問題になるようなことはあまりないと言えるでしょう。
なお、頻度はまれですが、報告されている重大な副作用として目に関わる副作用もあり、眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障が報告されています。これらは目の周辺に使用した場合や、特に長期にステロイドを使用している際に可能性があるため、目の周辺や長期で使用しているような場合は念のため、定期的に目にも異常がないか確認するようにしましょう。
その他、ステロイドは免疫を弱めてしまう傾向があるため、皮膚の感染症を起こしてしまうリスクが共通してあることも念のため覚えておきましょう。
1) エクラー軟膏0.3%/エクラークリーム0.3% 添付文書
エクラーの薬価、ジェネリック
エクラーの薬価は、2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)で、軟膏、クリーム共通して1gあたり22.2円とされています。軟膏やクリームでは1本あたり5gのものでは111円、1本あたり10gのものでは222円となります。
なお、エクラーにはジェネリック医薬品があり、アロミドン軟膏、アロミドンクリームの商品名で販売されています。薬価は1gあたり10.6円であり、エクラーよりもジェネリック医薬品の方が経済的と言えます。
エクラーの市販での購入
エクラーの成分であるデプロドンプロピオン酸エステルは残念ながら市販では販売されていない成分であり、市販薬としては購入することはできません。
ただし、同じⅢ群(strong)の成分で市販されているものとして、ベタメタゾン吉草酸エステルがあり、ベトネベートクリームSとベトネベートN軟膏ASという商品名で販売されています。
ベトネベートクリームSはステロイド成分のベタメタゾン吉草酸エステルのみ、ベトネベートN軟膏ASはステロイドの他にフラジオマイシン硫酸塩という抗生物質が含まれているため、患部が化膿しているような場合はベトネベートN軟膏ASが適しています。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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