スルガムの効果や副作用|ロキソニンやカロナールとの違いや併用についても

スルガムについて特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、薬価、ジェネリック、市販での購入、ロキソニンやカロナールとの違い・併用などについて添付文書等から解説していきます。

スルガムの特徴

スルガムはチアプロフェンを成分とし、風邪などの上気道炎における解熱鎮痛、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛、肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群(肩こり)などに対して効果がある解熱鎮痛薬です1)
解熱鎮痛薬の中でもNsaids(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug;非ステロイド性抗炎症薬)に分類され、その特徴として、プロスタグランジン(PG)I2の抑制作用が弱く、胃粘膜刺激作用が弱いことが知られています2)
スルガムにはチアプロフェンの成分を100mg含んだスルガム錠100mgと成分を200mg含んだスルガム錠200mgが販売されています。
1) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書
2) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg インタビューフォーム

スルガムの効果

スルガムは風邪などの上気道炎における解熱鎮痛、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛、肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群(肩こり)などに効果がある薬です。
スルガムの効能効果の詳細は以下の通りです。

1.  下記疾患ならびに症状の消炎・鎮痛関節リウマチ、変形性関節症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腰痛症
2. 下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
3. 手術後及び外傷後の消炎・鎮痛

スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書

スルガムの作用機序

スルガムの主な作用機序はシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害によるプロスタグランジン生合成の抑制です2)
スルガムはCOXという酵素を阻害し、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の生合成を阻害することによって鎮痛効果がもたらされます。
また、スルガムの特徴として、胃粘膜でPGE2の生合成をインドメタシン同様に抑制するが、PGI2の抑制作用が弱く1)、胃粘膜刺激作用が弱いとされています。
1) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書
2) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg インタビューフォーム

スルガムの効果時間

スルガムの効果時間については、製薬会社が後悔している動物実験の結果が参考となります。
抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を確認している動物実験では、いずれも数時間後には薬を使用していない群と効果の差が現れており2)、早ければ30分程度で効果が現れることが想定されます。
スルガムは使用後は比較的速やかに効果が実感することができると考えられます。
2) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg インタビューフォーム

スルガムの効果は31.3〜91.9%の有効率

スルガムの効果は実際の患者さんに対する臨床試験において確認されています。
代表的な疾患に対する有効率として、やや有効以上を含めたものでは関節リウマチに対してはは73.2%、頚肩腕症候群に対しては86.8%、腰痛症に対しては86.8%、風邪などの急性上気道炎に対しては89.6%とされています1)

疾患名 有効率:有効以上(%) 有効率:やや有効以上(%)
関節リウマチ 70/224
(31.3)
164/224
(73.2)
変形性関節症 88/152
(57.9)
132/152
(86.8)
頚肩腕症候群 69/128
(53.9)
93/128
(72.7)
肩関節周囲炎 30/68
(44.1)
53/68
(77.9)
腰痛症 65/136
(47.8)
107/136
(78.7)
外傷後の消炎・鎮痛 78/172
(45.3)
158/172
(91.9)
手術後の消炎・鎮痛 49/68
(72.1)
60/68
(88.2)
急性上気道炎 110/173
(63.6)
155/173
(89.6)

1) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書

スルガムは生理痛の薬ではない

スルガムの効能効果として、厳密には生理痛に関しては明記されていません。自己判断で生理痛には使用しないようにしましょう。
ただし、その作用機序からは実際には生理痛に対しても効果があることが予想されます。スルガムの成分であるチアプロフェンは前述の通り、シクロオキシゲナーゼという酵素を阻害することによって痛みや熱の元となるプロスタグランジンという物質の産生を阻害し、解熱鎮痛作用を発揮しますが、生理痛においてもプロスタグランジンが関連しているため、一定の効果は期待できると言えます。医師からの指示があるような場合にはその指示にしたがって使用するようにしましょう。

スルガムの使い方

スルガムは1回に200mg(200mg錠の場合は1錠、100mg錠の場合は2錠)を1日2〜3回使用するのが一般的な使い方となります。
スルガムの用法用量の詳細は以下の通りです。

1.関節リウマチ、変形性関節症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腰痛症の場合
スルガム錠100mg
通常、成人1回2錠(チアプロフェン酸として200mg)、1日3回経口投与する。
頓用の場合は1回2錠経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
スルガム錠200mg
通常、成人1回1錠(チアプロフェン酸として200mg)、1日3回経口投与する。
頓用の場合は1回1錠経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
2.急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の解熱・鎮痛の場合
通常、成人にはチアプロフェン酸として1回量200mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大600mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
3.手術後及び外傷後の消炎・鎮痛の場合
スルガム錠100mg
通常、成人1回2錠(チアプロフェン酸として200mg)、1日3回経口投与する。
頓用の場合は1回2錠経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
スルガム錠200mg
通常、成人1回1錠(チアプロフェン酸として200mg)、1日3回経口投与する。
頓用の場合は1回1錠経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する

スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書

スルガムのインフルエンザでの使用

スルガムはインフルエンザにおける解熱目的では推奨も禁止もされていません。
インフルエザの際に最も推奨されている解熱剤はカロナールなどのアセトアミノフェン製剤です。逆にインフルエンザ脳症やライ症候群のリスクから使用するのが望ましくないとされているのが、ボルタレンなどのジクロフェナク製剤、ポンタールなどのメフェナム酸製剤、アスピリンなどです。
スルガムは積極的な推奨はされていませんが、禁止もされていないため、医師からの指示であればインフルエンザでも使用して問題ないといえるでしょう。ただし、自己判断では使用しないようにしましょう。

スルガムの副作用

スルガムの主な副作用は腹痛(1.21%)、悪心及び嘔吐(0.37%)、消化不良(0.30%)、胃腸障害(0.27%)、食欲不振(0.22%)などのいわゆる消化器症状がメインであり、その他、浮腫(0.39%)、発疹(0.28%)などとされています1)
いずれも頻度は高いといえず、正しい使用法であれば副作用は大きな心配はいらないと言えるでしょう。
なお、薬の副作用の定番と言える眠気に関しては、スルガムでは0.1%未満の頻度とされており1)、実際に経験することはあまりないと言えます。スルガムの成分はいわゆる眠気を引き起こす成分とは言えないため、基本的には眠気に関する心配は必要ないでしょう。
1) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書

スルガムの飲み合わせ

スルガムは他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)
併用注意が必要なものは以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
抗凝固剤
ワルファリン
ダビガトランエテキシラート 等
ワーファリン、プラザキサ
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
クロピドグレル 等
プラビックス
カリウム製剤 スローケー
炭酸リチウム リーマス
ニューキノロン系抗菌剤
オフロキサシン 等
クラビット
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
フルボキサミン
パロキセチン 等
デプロメール、パキシル
チアジド系利尿降圧剤 フルイトラン
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン 等
アルダクトン
エプレレノン セララ
ACE阻害剤
A-Ⅱ受容体拮抗剤
直接的レニン阻害剤
レニベース、ブロプレス

上記の中のような薬を使用している場合には必ず事前に医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。

1) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書

スルガムの授乳中・妊娠中の使用

スルガムの授乳中、妊娠中の使用に関して確認していきます。

スルガムの授乳中の使用

スルガムは授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。

ラットで乳汁への移行が報告されているので、授乳婦への投与は避け、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。

スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書

上記の注意喚起の理由として、動物実験においてスルガムの成分が乳汁中に移行することが確認されている2)ためです。

実際に授乳中にスルガムを使用するかは、処方医の先生の判断となります。スルガムに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg インタビューフォーム

スルガムの妊娠中の使用

スルガムは妊娠中の使用に関して、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、実際に使用するかは医師の判断となります。また、妊娠末期に関しては使用できません。

1.妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
2.妊娠末期のラットに投与した実験で、分娩遅延及び胎児の動脈管収縮が報告されているので、妊娠末期の婦人には投与しないこと。

スルガム錠100mg/スルガム錠200mg 添付文書

動物実験においてはスルガムの成分は胎盤を通過し、胎児へ移行することが確認されていますが、生殖発生毒性試験では受精、繁殖能、胎児の催奇形性、新生児の行動、発育、分化並びに新生児の受精・繁殖能に影響は認められなかった2)、とされており、影響限定的と考えられます。

実際に妊娠中にスルガムを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。スルガムに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) スルガム錠100mg/スルガム錠200mg インタビューフォーム

スルガムの薬価・ジェネリック

スルガムの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はスルガム錠200mgで1錠あたり15.6円、スルガム錠100mgで9.3円となっています。
なお、スルガムにはジェネリック医薬品が販売されており、チオガムという製品名で販売されています。薬価は1錠あたり200mg錠で8.7円、100mg錠で5.8円とされており、スルガム錠よりも安価で手に入ります。

スルガムの市販での購入

スルガムの成分であるチアプロフェンは市販薬の成分としては販売されておらず、市販では購入できません。
痛み止めを市販で購入したい場合はロキソニンの成分であるロキソプロフェン、それに近い成分であるイブプロフェン、カロナールの成分であるアセトアミノフェンなどを含んだ市販薬が一般的となります。

スルガムとロキソニンの違いや併用

スルガムと同じNsaidsの代表的な薬剤としてロキソニンがあります。
スルガムとロキソニンは比較的近い薬であり、効能効果も大きな違いはありません。使い方も似ており、明確な使い分けはあまりないと言えるでしょう。強いて違いを挙げるとロキソニンの方がより効果が発現が早いと考えられている点や、ロキソニンは市販薬としても販売されている点が挙げられます。
スルガムとロキソニンは基本的に同じような薬であるため、併用するようなことは基本的にありません。自己判断での併用は避けましょう。

スルガムとカロナールの違いや併用

スルガムと同じ解熱鎮痛薬としてカロナールも比較的よく使われる薬です。スルガムとカロナールの違いとして、効果の強さや使用する年齢、市販薬の有無が挙げられます。スルガムは15歳未満の小児に対してはあまり使用することがない薬ですが、カロナールは子供でも非常によく使われる薬の一つです。カロナールは厳密にはNSAIDsには分類されない解熱鎮痛薬であり、抗炎症作用はほとんどないと考えられています。痛みに対する効果はカロナールは一般的にあまり強くないとされており、痛み止めとしてはスルガムの方が効果が期待できるでしょう。市販薬としてはスルガムの成分は販売されていませんが、カロナールの成分であるアセトアミフェノンは多くの市販薬に含まれる成分であり、この点も両者の違いの一つと言えます。
カロナールはスルガムよりも効果が弱い反面、副作用などの安全面は高いとされており、その面からも幅広い年齢で使われ、市販薬としても購入できるという違いがあると言えます。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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