オノンの効果や副作用|眠気の有無や飲み合わせについても

オノンの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入、キプレス・シングレアとの違いについて添付文書等から解説していきます。

オノンの特徴

オノンはプランルカストを成分として含みロイコトリエン受容体拮抗剤に分類される薬であり、気管支喘息やアレルギキー性鼻炎に対して効果があります1)
オノンの特徴として、ロイコトリエン受容体拮抗剤という性質からアレルギー症状に効果が期待でき、また、アレルギーに対してよく使用される抗ヒスタミン薬とは別の作用を持つため、併用することで相乗効果が期待できます。また、花粉症などによるアレルギー性鼻炎に対しては、鼻炎症状のうち特に鼻づまり対して効果が期待できる薬です。
オノンにはプランルカストの成分を112.5mg含むカプセル剤のオノンカプセル112.5mgの他、主に子供に対して使用される粉薬のオノンドライシロップ10%が製品として販売されています。
今回は主にオノンカプセルについて確認していきます。
1) オノンカプセル112.5mg 添付文書

オノンの効果

オノンカプセルは気管支喘息とアレルギー性鼻炎に対して効果がある薬です。
オノンカプセルの効能効果の詳細は以下の通りです。

気管支喘息
アレルギー性鼻炎

オノンカプセル112.5mg 添付文書

オノンの作用機序はLT受容体拮抗作用|効果時間はゆっくり

オノンカプセルの作用機序はロイコトリエン(LT)受容体拮抗作用によるものです。
ロイコトリエンとは、気管支の収縮やアレルギー反応に関与する物質であり、オノンはこのロイコトリエンが受容体に結合するのを抑制し、気道の炎症を抑え、気管支喘息の症状を起こりにくくしたり、鼻炎の症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)を抑えます。
また、オノンはどちらかと言うと即効性がある薬ではありません。一部の効果は即時的に実感できるケースもありますが、一般的に効果を実感するには通常2〜4週程度はかかるとされており、継続して使用することが重要となります。

オノンは鼻炎症状の中でも鼻づまりに有効

オノンカプセルは鼻水、鼻づまり、くしゃみといった鼻炎症状の中でも特に鼻づまりに対して効果が高いとされています。
その理由として、オノンの作用点であるロイコトリエンは、鼻粘膜血管の拡張などに大きく関与しており、オノンにより鼻粘膜の血管を収縮させることによって鼻づまりが改善します。
実際の臨床試験においても、鼻閉(鼻づまり)を含む病型では61 . 2%の改善率、鼻閉を含まない病型では 54 . 5%の改善率であったとされており、鼻づまりがある鼻炎に対して効果が高いことが窺えます。また、症状別の改善率は、鼻閉では 71.8%、鼻汁(鼻水)では60.3%、くしゃみでは 54.4%とされており、症状別でも特に鼻づまりに有効であることがわかります1)
1) オノンカプセル112.5mg 添付文書

オノンの使い方

オノンカプセルは1回に2カプセルを朝食後と夕食後に使用するのが一般的な使い方となります。
オノンカプセルの用法用量の詳細は以下の通りです。

通常、成人にはプランルカスト水和物として1日量450mg(本剤4カプセル)を朝食後及び夕食後の2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

オノンカプセル112.5mg 添付文書

オノンは小児でも使用されるケースも

オノンカプセルは基本的には15歳以上の成人に対して使用されることを想定している薬剤ですが、医師の判断によっては15歳未満の小児でも使用されるケースがあります。また、乳幼児においては粉薬であるオノンドライシロップの方が使用されるのが一般的です。

オノンは食後に使用した方が効果が高い

オノンは食後に使用した方が薬の濃度が高くなることが確認されており、食後に使用することによって高い効果が得られると考えられます。
オノンを食前と食後に使用した場合の比較の調査が行われており、その結果は、食後投与の方が最高血漿中濃度(Cmax)、薬物血漿中濃度推移曲線下面積(AUC)の増加が認められたという結果でした2)
食前に使用すると十分な効果が得られない可能性もあるため、特別な理由がない限りは食後に使用するようにしましょう。
2) オノンカプセル112.5mg インタビューフォーム

オノンの副作用

オノンカプセルの主な副作用は気管支喘息に使用した場合は、主なものは発疹・そう痒等(0.6%)、腹痛・胃部不快感(0.6%)、下痢(0.4%)、嘔気(0.3%)、アレルギー性鼻炎に対して使用した場合は下痢(1.0%)、腹痛・胃部不快感(0.8%)、発疹・そう痒等(0.6%)、眠気(0.4%)、嘔気(0.3%)などされています1)
前述の通り、オノンには特別に頻度が高い副作用はなく、比較的安全に使用出来る薬の一つです。花粉症などに使用する薬の副作用の定番である眠気についても、0.4%という頻度であり、実際に経験することはあまりないと言えるでしょう。
花粉症などで薬を使用した時に眠気がでる原因はアレロック、ジルテック、タリオンなどのいわゆる抗ヒスタミン薬に分類される薬が原因であるケースが多いと考えられます。オノンについてはその作用機序からも眠気が高頻度で出るような薬ではないため、基本的に眠気の心配はあまり必要ないと言えるでしょう。
1) オノンカプセル112.5mg 添付文書

オノンの飲み合わせ

オノンカプセルは他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)
飲み合わせに注意が必要なものは以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
主に CYP3A4によって代謝される薬剤
CYP3A4 を阻害する薬剤
(イトラコナゾール、エリスロマイシン等)
エリスロシン、イトリゾール

専門的な知識がない人であれば判断が難しいケースがほとんどですので、基本的に他の薬を使用している場合使用には事前に医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。

1) オノンカプセル112.5mg 添付文書

オノンの授乳中・妊娠中の使用

オノンの授乳中、妊娠中の使用に関して確認していきます。

オノンの授乳中の使用

オノンカプセルは授乳中の使用に関しては特別な注意喚起はされていません1)
動物実験でプランルカストの乳汁中への移行を確認した実験でも、移行はほとんどなかったとされています2)
また、プランルカストは粉薬のドライシロップ(DS)にて子供でもよく使われる薬であり、1歳未満でも安全性に問題はないといった報告もあり3)、仮に母乳経由で乳児が摂取してもあまり問題にならない成分と考えられます。
その他、専門家による見解も以下の通り、授乳中の使用は問題ないという内容となっています4,5)

授乳による乳児への有害事象の報告が見あたらない。小児にも適応があり、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

ヒトでの評価が見当たらない。血漿蛋白結合率が95%以上で乳汁中へ移行しにくい。

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にオノンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。オノンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

1) オノンカプセル112.5mg 添付文書
2) オノンカプセル112.5mg インタビューフォーム
3) 岩田力; 小児科臨床 62(5); 987-1000, 2009
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
5) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

オノンの妊娠中の使用

オノンカプセルは妊娠中の使用に関して、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕

オノンカプセル112.5mg 添付文書

動物実験においては血液―胎盤関門通過性を確認した試験、生殖発生毒性試験においていずれも大きな影響は確認されていません。また、オノンの市販後に妊婦への使用症例が16例報告されたうち、7例の出産が確認され、母体、児とも異常は認められていないことが確認されています2)。このような点から、実際にオノンを妊娠中に使用しても影響は限定的と想定されます。

専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、催奇形性を示すデータがなく、妊婦にも使用可能という内容です4)

催奇形性、胎児毒性を示唆するデータなし。妊婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

実際に妊娠中にオノンを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。オノンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) オノンカプセル112.5mg インタビューフォーム
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)

オノンの薬価、ジェネリック

オノンカプセルの薬価は、2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)で1カプセルあたり53.7円とされています。
また、オノンカプセルにはジェネリック医薬品があり、プランルカストカプセルの名称で販売されています。プランルカストカプセル112.5mgの薬価は1カプセルあたり28.7円であり、オノンカプセルよりも経済的と言えます。また、ジェネリック医薬品には、先発医薬品のオノンにはない225mgの規格も販売されており、プランルカスト錠225は1カプセルあたり52.8円となり、よりオノンカプセル2カプセル分の量が1カプセルで使用出来るため、より経済的と言えます。
なお、オノンのジェネリック医薬品には先発医薬品と異なり、錠剤の剤型も販売されています。薬価はカプセルのジェネリック医薬品と同じ薬価であり、もし錠剤を希望する場合は考慮してもらえる可能性もあるため、医師や薬剤師にあらかじめ伝えましょう。

オノンの市販での購入

オノンの成分であるプランルカストは市販薬としては販売されていません。また、オノンが分類されるいわゆる抗ロイコトリエン薬は市販薬としては販売されていない系統の薬であり、基本的には市販では購入できない薬となるのでご注意ください。

オノンとキプレス・シングレアの違い

オノンと同じ抗ロイコトリエンの薬として、キプレス・シングレア(成分名:モンテルカスト)があります。
オノンとキプレス・シングレアの最も大きな違いはその用法です。オノンは1日2回使用するに対し、キプレス・シングレアは1日1回の使用が一般的です。この点から自分の生活にあった方を選ぶのが使い分けのひとつのポイントとなります。
効果の強さや副作用の出やすさという面では個人による差もあり、一概にどちらが優れていると言えない面もあるため、基本的には医師の判断による処方に従って使用するようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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