亜鉛華軟膏の特徴、効能効果、使い方、副作用、薬価、市販での購入等について添付文書等から解説していきます。
Contents
亜鉛華軟膏の特徴|成分は酸化亜鉛
亜鉛華軟膏は成分として酸化亜鉛を20%含み湿疹や皮膚炎などで使用する外用剤です1)。
亜鉛化軟膏という間違った表記をされるケースもありますが、正式には亜鉛華軟膏となりまる。
亜鉛華軟膏の特徴として、皮膚のたん白質に結合又は吸着して不溶性の沈殿物や被膜を形成
し、収れん、消炎、保護並びに緩和な防腐作用を現します。また、毛細血管の透過性を減少させ、血漿の滲出や白血球の遊出を抑制するので炎症を抑える(抗炎症作用)と共に、創面又は潰瘍面などを乾燥させる作用もあります。
また、局所の収斂、分泌物の減少などの作用も有しており、酸化亜鉛の作用に加え、皮膚軟化性及び皮膚密着性を持ち、痂皮を軟化し、肉芽形成・表皮形成を促進させて皮膚疾患を改善する作用も期待できます2)。
1) 亜鉛華軟膏「ニッコー」 添付文書
2) 亜鉛華軟膏「ニッコー」 インタビューフォーム
亜鉛華軟膏は赤ちゃんでも使用できる塗り薬
亜鉛華軟膏はステロイドの塗り薬のような強い薬効はないため、赤ちゃんにもよく使われる薬です。
また、ステロイドなどの塗り薬と混ぜて処方されることもあり、赤ちゃん家庭には馴染みのある塗り薬の一つと言えます。
亜鉛化軟膏でなく亜鉛華軟膏が正式名
前述の通り亜鉛華軟膏が正式名であり、亜鉛化軟膏は間違った表記となります。
変換機能で間違った変換が先に出るケースもあるため、注意しましょう。
亜鉛華軟膏の効果
亜鉛華軟膏は湿疹や皮膚炎、やけど、外傷などの皮膚疾患に効果がある薬です。
亜鉛華軟膏の効能効果の詳細は以下の通りです。
下記皮膚疾患の収れん・消炎・保護・緩和な防腐
外傷、熱傷、凍傷、湿疹・皮膚炎、肛門そう痒症、白癬、面皰、せつ、よう
その他の皮膚疾患によるびらん・潰瘍・湿潤面亜鉛華軟膏「ニッコー」 添付文書
あせも、汗疱、とびひなどにも医師の判断で使用
前述の効能効果に明記されていないものの、あせもや汗疱、とびひなどに対しても医師の判断で使用されるケースがある外用剤です。
ただし、上記のような疾患に対しても医師からの指示がある場合を除き、自己判断で手持ちの亜鉛華軟膏を使用するのは避けましょう。
亜鉛華軟膏のにきびにへの使用|近年は別の薬剤
亜鉛華軟膏の効能効果として面皰(にきび)は明記されており、にきびは適応が認められている疾患のひとつです。
しかし、近年ではにきびに対してより効果的な薬剤が販売されており、それらが処方されるケースが多くなっています。もちろん医師から処方された場合は亜鉛華軟膏を使うことで問題ありませんが、自己判断でニキビに対しては亜鉛華軟膏を使用することは避け、受診して最適な薬をもらうようにしましょう。
亜鉛華軟膏の作用機序
亜鉛華軟膏の作用機序は局所の収れん作用、分泌物の減少作用などによるものです。また、皮膚を柔らかくしたり、密着したりすること、表皮の形成を促すことによって湿疹や皮膚炎をはじめとする症状を改善します2)。
2) 亜鉛華軟膏「ニッコー」 インタビューフォーム
亜鉛華軟膏の使い方
亜鉛華軟膏の一般的な使い方は1日1〜数回を患部に適量使用します。
亜鉛華軟膏の用法用量の詳細は以下の通りです。
通常、症状に応じ1日1~数回、患部に塗擦又は貼布する。
亜鉛華軟膏「ニッコー」 添付文書
なお、亜鉛華軟膏は他のステロイド外用剤などと混ぜて使用するケースも多くあります。その場合も医師からの指示を優先して使用するようにしましょう。
亜鉛華軟膏の顔への使用
亜鉛華軟膏はにきびに対する効能効果も含まれる薬であり、顔に使用するケースもある薬剤です。
ただし、薬の特性上、乾燥することが予想され、疾患の状態によっては亜鉛華軟膏を顔に塗ることが適さないケースもあります。
医師から顔への使用を指示されいる場合は問題ありませんが、自己判断で顔に使用するのは避けるようにしましょう。
亜鉛華軟膏の落とし方は
亜鉛華軟膏は塗るとシャワーなどでもなかなか落としにくいことがある薬です。
衛生面で問題なければ必ずしも薬を落としきる必要はなく、シャワーやお風呂の後に再度塗ることも可能です。
もし衛生面で明らかに問題があるような場合はオリブ油などで落としたりする方法やゆっくり拭き取る方法などで落としましょう。無理やり落とそうとすると疾患部位に悪影響を与える可能性があるので無理のない範囲での落とし方を心がけましょう。
重度や広範囲の火傷には使用できない
効能効果に熱傷(やけど)が含まれる亜鉛華軟膏ですが、重度又は広範囲の熱傷に対しては禁忌とされており、使用することができません。このような状態で使用すると患部を悪化される可能性もあり、火傷がひどい場合に自己判断で亜鉛華軟膏を使用することは避け、医師の診察を受けるようにしましょう。
亜鉛華軟膏の副作用
亜鉛華軟膏はあまり副作用を心配するような薬ではありません。
比較的薬効も穏やかな分副作用も多くはありません。
製薬会社から注意喚起されている副作用は過敏症状、発疹、刺激感等とされています1)。重大な副作用は特に注意喚起されておらず、基本的には使用した部位に明らかな異変がなければ副作用の心配はあまりいらないでしょう。
1) 亜鉛華軟膏「ニッコー」 添付文書
亜鉛華軟膏の相互作用
亜鉛華軟膏は一緒に使用できな塗り薬もなく、相互作用が心配されるものも基本的にありません。
亜鉛華軟膏は他の塗り薬と混ぜて使用することも多く、リンデロン、ロコイド、キンダベート、マイザーなどのステロイドと混ぜて使用することも多い薬です。
なお、ステロイドと亜鉛華軟膏がそれぞれ単剤で処方された場合の塗る順番については、「重層法」を使用する場合は①ステロイド、②亜鉛華軟膏の順番が一般的となります。ただし、順番については医師から指示が出ている場合はその内容に従うようにしましょう。
亜鉛華軟膏の薬価、ジェネリック
亜鉛華軟膏の薬価は、2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)で、10gあたり26.7円とされています。
なお、亜鉛華軟膏にはジェネリックの概念に該当する薬剤はなく、全て先発医薬品の扱いであり、各メーカーのいずれの亜鉛華軟膏も同じ薬価となります。
ただし、例外として亜鉛華軟膏貼付剤であるボチシート20%はジェネリック医薬品に分類されています。
亜鉛華軟膏の市販での購入
亜鉛華軟膏は市販でも購入できる成分であり、市販薬として入手が可能です。
亜鉛華軟膏の代表的な市販薬は「日本薬局方 亜鉛華軟膏」であり、医療用の亜鉛華軟膏と同じく、酸化亜鉛が20%含有されているため、同程度の効果が期待できます。
注意点として、医療用の亜鉛華軟膏と市販の亜鉛華軟膏では明記されている効能効果がやや異なるため、自分の疾患が効能効果に該当したものであるか確認した上で使用するようにしましょう。
市販の亜鉛華軟膏の効能効果の詳細は以下の通りです。
湿疹・皮膚炎、やけどによる潮紅、かぶれ、あせも、ただれ
日本薬局方 亜鉛華軟膏 添付文書
亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違い
亜鉛華軟膏と同じ酸化亜鉛を含む外用剤で亜鉛華単軟膏があります。
亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違いは酸化亜鉛の含有量と基剤の違いが挙げられます。
亜鉛華軟膏は酸化亜鉛を20%含み基剤は白色軟膏、亜鉛華単軟膏は酸化亜鉛を10%含み基剤は単軟膏とされています。亜鉛華軟膏の基剤である白色軟膏は水分・浸出液を吸収するため、皮膚からの分泌物が多い場合には亜鉛華軟膏の方が適していると考えられます。亜鉛華単軟膏は浸出液の吸収はほとんどしないため、あまり乾燥させたくない場合に向いています。
なお、サトウザルベに関しては酸化亜鉛を20%含むサトウザルベ軟膏20%においても基剤は単軟膏の亜鉛華単軟膏製剤であるため注意が必要です。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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