セレコックスの飲み合わせについて、禁忌の有無、併用注意薬のそれぞれの領域の薬ごとに確認していきます。
Contents
- 1 セレコックスの特徴|禁忌の薬剤の有無
- 2 セレコックスとの飲み合わせが悪い薬、禁忌
- 3 セレコックスの飲み合わせ|併用に注意が必要な薬
- 4 セレコックスと他の鎮痛剤との飲み合わせ|カロナールやロキソニン、ボルタレン、リリカ、ノイロトロピン
- 5 セレコックスと胃薬・胃腸薬の飲み合わせ
- 6 セレコックスと咳止めの飲み合わせ|アスベリン、メジコン、フスコデなど
- 7 セレコックスと漢方の飲み合わせ
- 8 セレコックスと痰切りの飲み合わせ|ムコダイン、ムコソルバン、ビソルボンなど
- 9 セレコックスと抗炎症薬の飲み合わせ|トランサミンなど
- 10 セレコックスと鼻水・アレルギー薬との飲み合わせ|アレグラ、アレロック、ザイザルなど
- 11 セレコックスと抗ロイコトリエン薬との飲み合わせ|オノン、キプレス、シングレアなど
- 12 セレコックスと抗生物質との飲み合わせ|メイアクト、フロモックス、クラリス、ジスロマック、クラビット、ワイドシリンなど
セレコックスの特徴|禁忌の薬剤の有無
セレコックスはセレコキシブを成分として含み、腰痛や肩こり、抜歯後の鎮痛目的などで効果が認められている鎮痛剤です((セレコックス錠100mg/ セレコックス錠200mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/800126_1149037F1020_1_15.pdf))。
セレコックスは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)というグループに分類され、ロキソニンやボルタレンといった薬と同じような効果がありますが、その作用機序に特徴があります。NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)という熱や痛みの原因となるプロスタグランジンという生理活性物質の産生に関わる酵素を阻害することによって、解熱鎮痛作用を発揮します。COX-2と別にCOX-1があり、こちらは胃粘膜を保護に関連するプロスタグランジンを産生する機能がありますが、従来のNSAIDsはこのCOX-1も阻害するため、時に胃粘膜保護が阻害され、胃荒れなどの胃部不快感の副作用が問題となるケースがありました。
セレコックスはCOXのうち、COX-1阻害作用が少なく、選択的にCOX-2を阻害することによって従来のNSAIDsと同様に熱や痛みを抑え、かつ従来のNSAIDsよりも胃腸障害が少ないという特徴があります。
セレコックスには併用ができない薬(併用禁忌薬)はありませんが、併用に注意が必要な薬(併用注意薬)が何種類かあります。
セレコックスとの飲み合わせが悪い薬、禁忌
セレコックスには前述の通り、飲み合わせが悪く絶対に併用できない、併用禁忌に該当する薬はありません((セレコックス錠100mg/ セレコックス錠200mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/800126_1149037F1020_1_15.pdf))。
どの薬とでも絶対に併用できないことはないため、その点では使いやすい薬の一つですが、併用に注意が必要な薬(併用注意薬)は何種類かあるため、全く注意が必要ないわけではありません。
セレコックスの飲み合わせ|併用に注意が必要な薬
セレコックスには併用ができないわけではないものの、併用に注意が必要な薬が何種類かあります。
セレコックスの併用注意の薬剤は以下の通りです((セレコックス錠100mg/ セレコックス錠200mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/800126_1149037F1020_1_15.pdf))。
成分名等 | 代表的な薬剤等 |
ACE阻害剤 (エナラプリルマレイン酸塩 イミダプリル塩酸塩、テモカプリル塩酸塩等) アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤 (カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、ロサルタンカリウム等) |
レニベース、ブロプレス、ディオバン、ニューロタン |
フロセミド チアジド系利尿剤 (トリクロルメチア ジド、ヒドロクロロチアジド等) |
ラシックス、フルイトラン |
アスピリン | バイアスピリン |
リチウム | リーマス |
フルコナゾール | ジフルカン |
フルバスタチン | ローコール |
クマリン系抗凝血剤 (ワルファリン) |
ワーファリン |
パロキセチン | パキシル |
デキストロメトルファン | メジコン |
制酸剤 (アルミニウム製剤、マグネシウム製剤等) |
マグミット、サンカマグネシウム |
上記のような薬のうち、特に降圧剤などに関しては、実際には併用されるケースも多くあり、必ずしも避ける必要はありません。併用注意とされている理由は降圧作用を減弱させたりする恐れがあるためであり、短期間の併用であればさほど影響は大きくないと考えられます。
また、デキストロメトルファンは咳止めのメジコンなどの主成分であり、市販薬としても販売されている成分です。併用注意とされている理由はデキストロメトルファンの作用が強く出る可能性が指摘されています。こちらも実際には併用されるケースもありますが自己判断で併用するのは避けるようにしましょう。
また、その他の併用注意薬に関しても必ずしも避ける必要はありません。医師が承知の上で処方された場合にはあまり心配せず服用しましょう。ただし、自己判断でセレコックスを併用するようなことは避けましょう。
セレコックスと他の鎮痛剤との飲み合わせ|カロナールやロキソニン、ボルタレン、リリカ、ノイロトロピン
セレコックスと他の鎮痛剤に関しては、他の消炎・鎮痛剤(心血管系疾患予防の目的で使用す
るアスピリンを除く)との併用は避けることが望ましい、とされています((セレコックス錠100mg/ セレコックス錠200mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/800126_1149037F1020_1_15.pdf))。
ただし、実際にはカロナールなどの解熱鎮痛剤とは併用されるケースもあり、セレコックスが痛み止めの目的、カロナールが解熱の目的など使い分け、セレコックスが1日2回の使用、他の解熱鎮痛剤が頓服の使用などがケースとしてあります。また、飲み薬でなく、貼り薬などの外用剤であれば併用はあまり問題ないと言えます。
ただし、セレコックスと同じNSAIDs(ロキソニン、ボルタレン、ブルフェンなど)の飲み薬に関しては、特に自己判断での併用は避けるようにしましょう。なお、アスピリン製剤(製品名:バイアスピリンなど)に関しては別途、併用注意として注意喚起されており、消化性潰瘍
等の発生率が高くなることが報告されています。実際に併用する場合は医師の判断次第となります。
なお、アセトアミノフェン製剤、NSAIDs以外の鎮痛薬としてリリカやノイロトロピンなどもありますが、これらはセレコックスと作用機序が異なるため、併用されるケースも多くあり、併用における心配はあまりありません。
セレコックスと胃薬・胃腸薬の飲み合わせ
セレコックスは飲み合わせの悪い胃薬・胃腸薬はなく、基本的にはどの胃薬・胃腸薬とも飲み合わせることができます。
処方薬の例としてムコスタ(成分名:レバミピド)、セルベックス(成分名:テプレノン)の他、ネキシウムやオメプラール(成分名:オメプラゾール)、タケプロン(成分名:ランソプラゾール)、パリエット(成分名:ラベプラゾール)、タケキャブ、ガスター(成分名:ファモチジン)などがあります。
一般的にセレコックスは他のNSAIDsと異なり、胃に負担がかかりにくい薬剤であるため、胃の薬が同時に処方されるケースは多くありませんが、複数の病院、クリニックで処方が重なった場合などでセレコックスと一緒に胃の薬を飲んでも相互作用が問題となるケースはほとんどないと言えます。
セレコックスと咳止めの飲み合わせ|アスベリン、メジコン、フスコデなど
セレコックスはメジコンなどの成分であるデキストロメトルファンとは併用注意として喚起されていますが、絶対に避ける必要はありません。併用注意の理由として、デキストロメトルファン(製品名:メジコンなど)の作用が強く出る可能性が報告されているためですが、実際に問題になるケースはあまりないと考えられ、医師が併用を把握している上での判断であれば、併用しても大きな問題はないと言えます。ただし、デキストロメトルファンは市販の風邪薬や咳止め薬にも含まれている成分の一つであるため、セレコックスを使用している場合は極力市販の風邪薬や咳止めの使用を避けるのが安全であり、使用する場合も短期間に止めるのが良いでしょう。
メジコンなどの成分であるデキストロメトルファンの成分以外の咳止め薬では、飲み合わせの悪い咳止め薬はなく、基本的にはどの咳止めとも一緒に使用することができます。
一緒に使用されることが多い咳止めでは、アスベリン、フスコデ、アストミン、フスタゾールなどがありますが、いずれの薬剤もセレコックスと併用することが可能です。
ただし、カフコデに関しては、セレコックスと比較的近い解熱鎮痛成分のアセトアミノフェンの成分を含むため、自己判断では使用せず、医師が一緒に使用して良いと判断した時のみ使用するようにしましょう。
セレコックスと漢方の飲み合わせ
セレコックスは飲み合わせの悪い漢方はなく、基本的にはどの漢方薬とも一緒に使用することができます。
一緒に使用されることが多い漢方では風邪全般に使用される葛根湯や鼻水などに使用される小青竜湯、咳などに使用される麦門冬湯などありますが、いずれの漢方もセレコックスと併用することが可能です。
セレコックスと痰切りの飲み合わせ|ムコダイン、ムコソルバン、ビソルボンなど
セレコックスは飲み合わせの悪い痰切り薬はなく、基本的にはどの痰切りとも一緒に使用することができます。
一緒に使用されることが多い痰切りでは、ムコダイン(カルボシステイン)、ムコソルバン・ムコサール・ムコソレート(アンブロキソール)、ビソルボン(ブロムヘキシン)などがありますが、いずれの薬剤もセレコックスと併用することが可能です。
また、市販の痰切りとも基本的には一緒に使用できますが、いわゆる風邪薬(総合感冒薬)に関しては解熱鎮痛成分が重なる可能性があるため、自己判断では併用しないようにしましょう。
セレコックスと抗炎症薬の飲み合わせ|トランサミンなど
セレコックスは抗炎症薬であるトランサミン(トラネキサム酸)とも飲み合わせは悪くなく、非常によく併用される薬の一つです。
セレコックスと鼻水・アレルギー薬との飲み合わせ|アレグラ、アレロック、ザイザルなど
セレコックスは飲み合わせの悪い抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬はなく、基本的にはどの薬とも一緒に使用することができます。
一緒に使用されることが多い抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬として、アレグラ(フェキソフェナジン)、クラリチン(ロラタジン)、アレジオン(エピナスチン)、エバステル(エバスチン)、タリオン(ベポタスチン)、ザイザル、アレロック(オロパタジン)、ジルテック(セチリジン)、デザレックス、ビラノア、ルパフィン、ゼスラン・ニポラジン(メキタジン)、ポララミン(クロルフェニラミン)、ザジテン(ケトチフェン)、セレスタミンなどがありますが、いずれの薬剤もセレコックスと併用することが可能です。
また、市販の花粉症薬とも基本的には一緒に使用できますが、いわゆる風邪薬(総合感冒薬)に関しては解熱鎮痛成分が重なる可能性があるため、自己判断では併用しないようにしましょう。
セレコックスと抗ロイコトリエン薬との飲み合わせ|オノン、キプレス、シングレアなど
セレコックスは飲み合わせの悪い抗ロイコトリエン薬はなく、基本的にはどの薬とも一緒に使用することができます。
一緒に使用されることが多い抗ロイコトリエン薬として、オノン(プランルカスト)、キプレス・シングレア(モンテルカスト)がありますが、いずれの薬剤もセレコックスと併用することが可能です。
セレコックスと抗生物質との飲み合わせ|メイアクト、フロモックス、クラリス、ジスロマック、クラビット、ワイドシリンなど
セレコックスは抗生物質や抗菌剤との併用に関して、飲み合わせの悪い薬はなく、基本的にはどの薬とも一緒に使用することができます。
NSAIDsと飲み合わせに注意が必要なケースが多い、クラビットなどのキノロン系抗菌剤もセレコックスに関しては特別な注意喚起はありません。
具体的なその他の抗生物質・抗菌剤として、サワシリン(アモキシシリン)、オーグメンチン、メイアクト(セフジトレン)、フロモックス(セフカペン)、セフゾン(セフジニル)、クラリス(クラリスロマイシン)、ジスロマック(アジスロマイシン)、オゼックス(トスフロキサシン)、ジェニナックなどがありますが、医師の適切な診察のもと、セレコックスと一緒に処方された場合は併用して問題ないと言えるでしょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
コメント