カロナール坐剤の効果・副作用、体重ごとの使用量や使用期限|インフルエンザでの使用や先発・後発の区分、大人での使用についても

 
カロナール坐剤50、カロナール坐剤100、カロナール坐剤200、カロナール坐剤400について、その効果や副作用、体重ごとの使用量、使用期限、大人での使用、先発かジェネリックの区分、ナウゼリン坐剤やダイアップ坐剤との併用、インフルエンザでの使用などについて添付文書やインタビューフォーム等から解説していきます。

カロナール坐剤の種類とその効果

カロナール坐剤は解熱鎮痛成分のアセトアミノフェンを含む座薬であり、主に子供に対して解熱鎮痛目的で使用されます。
非常に安全面が高いことで知られている薬であり、子供でも0歳から使用されたり、インフルエンザの時も解熱鎮痛薬の中で推奨されている薬です。
カロナール坐剤の種類としてカロナール坐剤小児用50、カロナール坐剤100、カロナール坐剤200、カロナール坐剤400があり、それぞれ成分のアセトアミノフェンが50mg、100mg、200mg、400mg含まれています。
カロナール坐剤の効果は、脳において痛覚閾値(痛みの感じにくさ)を高めることや、体温調節中枢に作用して皮膚の血管を拡張させて体温を下げるためと考えられています。
カロナール坐剤の効能効果の詳細は以下の通りです。

小児科領域における解熱・鎮痛

カロナール坐剤 添付文書

カロナール坐剤の実際の効果と効果が出るまでの時間、持続時間、空ける間隔は?

カロナール坐剤の実際の効果は0歳〜8歳までの小児に対して調査した結果があり、その効果はやや有効以上で83.9%という比較的高い効果が確認されています1)
また、この調査での効果が出るまでの時間として、解熱のデータが確認されており、投与前39.18℃が投与後1時間で38.04℃、2時間後37.63℃、3時間後37.30℃と下降し、4時間後に37.56℃とやや上昇傾向を示したという結果がになっています。
効果が出るまでの時間と効果が持続する時間については、別の調査でも確認されており、その結果では、投与3時間後まで徐々に低下した後、上昇、投与前値と投与6時間後までの値に有意差を認めた2)、という結果になっています。
これらの結果から、カロナール坐剤の効果が出るまでの時間は使用後1時間以内であり、その効果は6時間程度持続することが予想できます。
また、カロナール坐剤を連続で使用する時は、間隔を4〜6時間程度空ける必要があることが添付文書にて注意喚起されており、こちらも注意が必要となります。
1) カロナール坐剤 添付文書
2) 木村昭彦ほか 小児科 42(7),1611~1617(1989)

カロナール坐剤の体重ごとの使用量|大人での使用は?

カロナール坐剤は体重ごとに使用する量が決まっています。
カロナール坐剤の用法用量は以下の通りです。

通常,乳児,幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして,体重1kgあたり1回10~15mgを直腸内に挿入する。投与間隔は4~6時間以上とし,1日総量として60mg/kgを限度とする。なお,年齢,症状により適宜増減する。ただし,成人の用量を超えない。

カロナール坐剤 添付文書

上記内容を体重別、および年齢の目安と合わせてまとめると以下のようになります。

体重 年齢の目安 カロナール坐剤
50 100 200 400
5kg 0歳 1〜
1.5個
0.5個
10kg 1〜3歳 2〜
3個
1〜
1.5個
0.5個
20kg 4〜7歳 2〜
3個
1〜
1.5個
0.5個
30kg 8〜10歳 1.5〜
2個
1個

なお、カロナール坐剤は大人で使用することはあまり想定されてないようであり、大人の用量も設定されていません。仮に使用した場合は、その成分からある程度の効果を期待することもできますが、基本的には飲み薬の解熱鎮痛剤であったり、座薬であればボルタレンなどを使用するのが一般的です。医師からの特別な指示があるような場合を除き、大人では自己判断でカロナール坐剤を使用するのは避けましょう。

カロナール坐剤の使用期限や先発・ジェネリックの区分

カロナール坐剤の使用期限の参考になる情報として、製薬会社が作成している資料のインタビューフォームに「有効期間又は使用期限」の記載があります。

有効期間又は使用期限
《カロナール坐剤小児用 50、カロナール坐剤 400》 3年(外箱に表示)
《カロナール坐剤 100、カロナール坐剤 200》 5年(外箱に表示)

カロナール坐剤 インタビューフォーム

薬局ではある程度余裕のある期限で保管しているため、薬局から薬をもらった後でも基本的には1〜2年程度は使用できるケースが多いと言えるでしょう。
また、保存条件に関しても以下のような内容がインタビューフォームに記載されており、冷蔵庫などの冷所で保存するのが一般的となります。

貯法・保存条件
《カロナール坐剤小児用 50》 室温保存(30℃以下)
《カロナール坐剤 100、カロナール坐剤 200、カロナール坐剤 400》 冷所保存

カロナール坐剤 インタビューフォーム

 
カロナール坐剤は50、100、200、400においていずれも先発医薬品という扱いであり、ジェネリック医薬品ではありません。
カロナール錠やカロナール細粒、カロナールシロップはいずれもジェネリック医薬品扱いであるとの異なり、カロナール坐剤は先発医薬品の区分となっています。
なお、カロナール坐剤50とカロナール坐剤100に関しては、複数の同じ成分量を含む坐剤があるものの、ジェネリック医薬品扱いの製品はなく、すべて同じ薬価(50、100にかかわらず19.3円)となります。
一方、カロナール坐剤200に関してはアンヒバ坐剤200とアルピニー坐剤200がカロナール坐剤200とともに先発医薬品であり、その他のアセトアミノフェン坐剤200やパラセタ坐剤200はジェネリック医薬品扱いとなります。薬価も異なり、カロナール坐剤200はジェネリック医薬品に比べやや高い薬価(ジェネリックの19.9円に対し、28.2円)となります。
カロナール坐剤400に関しては同成分量を含む坐剤はなく、アセトアミノフェンを400mg含む坐剤はカロナール坐剤400のみとなります。

カロナール坐剤のインフルエンザでの使用

カロナール坐剤はインフルエンザに対する解熱目的や頭痛などの痛みに対しても使用できます。
カロナール坐剤の成分であるアセトアミノフェンは、子供におけるインフルエンザの時でも安全に使用できる解熱鎮痛成分として知られており、日本小児科学会も以下のような見解を示し、インフルエンザの時に使用する解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンを含むカロナールなどが推奨されます。

一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。

平成12年11月12日 日本小児科学会理事会

 
インフルエンザの時に解熱鎮痛剤を使う場合、特に子供においてインフルエンザ脳症やライ症候群などでリスクが指摘されており、解熱鎮痛剤の使用に注意が必要です。
その理由として、ジクロフェナクやメフェナム酸を含む解熱鎮痛剤はインフルエンザ脳症での使用にて死亡率を上昇させたという報告があります1)。この報告からもインフルエンザの際はカロナールなどの成分であるアセトアミノフェンを使用することが安全と言えます。
インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用

全症
例数
死亡
者数
死亡率
解熱剤を使用せず 63 16 25.4
アセトアミノフェン
(カロナールなど)
78 23 29.5
ジクロフェナク 25 13 52.0
メフェナム酸 9 6 66.7
その他の解熱剤 22 5 22.7

 
1) 平成11年度厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」

カロナール坐剤とナウゼリン坐剤、ダイアップ坐剤との併用

カロナール坐剤と一緒に処方される座薬としてナウゼリン坐剤ダイアップ坐剤があります。
ナウゼリン坐剤はドンペリドンという成分を含む吐き気止めの坐剤であり、風邪を引いたときなどにカロナール坐剤とナウゼリン坐剤が一緒に出させることがあります。
ダイアップ坐剤はジアゼパムという成分を含む小児の熱性けいれんやてんかんのけいれん発作を抑える効果のある座薬です。
これらの座薬とカロナール坐剤を併用する場合には、使用する順番に注意が必要となります。
座薬を使用する順番は、①ナウゼリン坐剤 or ダイアップ坐剤、30分以上経ってから②カロナール坐剤となります。
この順番の理由として、ナウゼリンやダイアップの成分は、油に溶けやすい性質を持っており、油性の基剤が使われているカロナール坐剤を先に使ったり、時間を空けずに使用すると、ナウゼリンやダイアップの成分がカロナール坐剤の基剤に吸収されてしまい、ナウゼリンや第アップの効果が発揮されにくくなるためです2)
ナウゼリン、ダイアップ、ともに重要な役割を持った薬のため、十分な効果を発揮される必要があり、必ずこの順番や使用間隔を守るようにしましょう。
2) 沖縄県薬剤師会 http://www.okiyaku.or.jp/0_QA/kodomo/kodo03.html

カロナール坐剤の副作用

カロナール坐剤は安全性が高い座薬であり、副作用はあまりありません
その中でも報告が挙がっている副作用としては、皮疹食欲不振下痢吐き気などです。皮疹が出た場合は基本的には薬を中止、食欲不振、下痢、吐き気の場合は多少様子をみて、症状がひどい場合は医師に相談するようにしましょう。
その他の注意として、カロナール坐剤の成分であるアセトアミノフェンは市販薬でも多くの薬に含まれている成分であるため、しらないうちに成分を過剰に摂取してしまうリスクがあると言えます。
アセトアミノフェンを過剰に摂取した場合、重篤な肝障害などが出てしまうケースもあるため、カロナール坐剤を使用する時は市販薬を含めた他の薬剤にも注意を払ったり、医師の診断を受けるときや薬局で薬をもらうときに、他に併用している薬をすべて伝えるようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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