アセトアミノフェンの作用機序や頭痛、生理痛に対する効果、市販薬の有無、アルコールとの飲み合わせ、小児の使用や、インフルエンザでの使用、ロキソニンとの違いや併用に関して添付文書などから解説します。
アセトアミノフェンは非常によく使われている解熱鎮痛成分の一つであり、熱が出た時や頭痛や生理痛など様々な種類の痛みに対して大人、成人から子供、小児に対して使われています。処方薬ではカロナールのほか、コカール、アンヒバ、アルピニーなどの名称で販売されおり、錠剤の他、粉薬やシロップ、坐剤など様々な形で販売されています。また、市販薬でも様々な風邪薬の成分として含まれている外、タイレノールや小児用バファリンなど、単一成分としても販売されています。
<目次> 1. アセトアミノフェンの作用機序は脳に作用 2. アセトアミノフェンの頭痛や生理痛などに対する効果は70%前後 3. アセトアミノフェンの市販薬はタイレノールや小児用バファリン 4. アセトアミノフェンとロキソニン 5. アセトアミノフェンの小児に対する使用 6. アセトアミノフェンのインフルエンザに対する使用 7. アセトアミノフェンとアルコール
Contents
アセトアミノフェンの作用機序は脳に作用
アセトアミノフェンの作用機序(効果がもたらされるメカニズム)は、詳細は不明と言われていますが、製薬メーカーからの情報では、解熱の作用は脳の視床下部の体温調節中枢に作用して皮膚血管を拡張させて体温を下げ、鎮痛の作用は痛みの感覚の閾値を高める(痛みを感じにくくする)ことによると推定される1)としています。
また、アセトアミノフェンは平熱時にはほとんど体温に影響を及ぼさずに、発熱時には投与3時間当たりで、最大効果を発現し、その鎮痛作用はアスピリンと同じく緩和な痛みに限られ、抗炎症作用はほとんどない2)とされています。
ロキソニンなどのいわゆるNsaidsと言われる種類の解熱鎮痛薬は、シクロオキシゲナーゼ(COX)という痛みや熱を生み出す作用を及ぼす酵素を阻害することによって鎮痛や解熱作用を現すとされていますが、アセトアミノフェンはこのCOXに対してはほとんど作用を及ぼさないと考えられています。
このようにアセトアミノフェンは独特の作用機序を持っており、炎症を鎮める効果はあまりないものの、平熱時にはほとんど体温に影響を及ぼさないという使い易い薬と言えます。
アセトアミノフェンの作用機序は以下の図も参考にしてください。
1)カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
2)カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 インタビューフォーム
アセトアミノフェンの頭痛や生理痛などに対する効果は70%前後
アセトアミノフェンは頭痛や生理痛、歯痛などに対する鎮痛効果や、風邪などをひいたときやインフルエンザでの熱が出た時など対する解熱効果がある薬です。
その効果の有効率は実際の患者さんで確認されている結果では解熱効果が71.4%、鎮痛効果が70.6%であったと確認されています。また、歯痛などに対する歯科領域では有効率が59.4%、やや有効も含めると90.6%であったという結果もあります1)。
ただし、上記の結果は用量が200mg錠を2錠使用した結果であり、より高い用量を使用した場合は、さらに高い効果を得ることも可能と考えられます。
使用する用量については、処方薬は医師の指示通りに、市販薬では薬の説明書通りに使用するようにしましょう。
アセトアミノフェンが頭痛などに対して効かないと感じる場合は、まずは正しい用法用量で使用できているかを確認しましょう。1回で使用する量が間違っていないか、1日何回使用するかなどを確認してみましょう。
それでも効かないという場合はにはより効果が強いと考えられれているロキソニンやイブプロフェンを成分として含む薬を使用するのも手です。
また、アセトアミノフェンは子供に対しても比較的安全に使用出来る薬であり、子供に対しても同程度の効果があると想定できます。
子供は使用する用量が体重や年齢によって決められていますので、よく確認して正しい用量で使用しましょう。
1)カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
アセトアミノフェンの市販薬はタイレノールや小児用バファリン
アセトアミノフェンは市販薬でも非常によく使われている成分です。様々な風邪薬の解熱鎮痛成分として含まれているほか、単一成分の鎮痛剤として販売されている商品の代表としてタイレノールAがあります。
このタイレノールAはアセトアミノフェンを1錠中に300mg含んでおり、処方薬ではカロナール300などと同じ成分量となります。
妊婦はアセトアミノフェンの市販薬は注意が必要
妊婦の場合はアセトアミノフェンの市販薬を使用する場合は注意が必要です。医師や薬剤師に必ず相談するようにしましょう。特に妊娠後期では動物実験では胎児に影響が出たという報告もあるため、妊娠後期の妊婦では特に注意が必要です。
授乳中はアセトアミノフェンの市販薬は基本的に問題無し
授乳をしている間もアセトアミノフェン単一成分の市販薬に関しては特に注意喚起はありません。あまり心配せずに使用出来ると言えます。ただし、使用は必要最低限にするのがより安全といえるでしょう。
子供でアセトアミノフェンの市販薬を使用する場合は小児用バファリンなど
子供でもアセトアミノフェンの市販薬は問題なく使用できます。ただし、タレノールなどはあくまで大人の用量を想定しているため使用できません。子供用として小児用バファリンなどがあります。小児用バファリンは3才以上から使用することができ、年齢によって使用する錠数がことなるため、ご注意ください。
他にも1歳から使用出来るアセトアミノフェンの市販薬としてこどもパブロン坐薬などもあります。
インフルエンザとアセトアミノフェンの市販薬
アセトアミノフェンはインフルエンザの時も使用出来る解熱剤とされています。ただし、インフルエンザそのものを治す効果は当然持っていないため、インフルエンザが疑われる場合はやはり病院やクリニックに行くのが基本となります。アセトアミノフェンを市販薬を使用する場合はあくまで病院やクリニックに行くまでの一時的な処置として考えましょう。
アセトアミノフェンとロキソニン
アセトアミノフェンとロキソニンは同じ解熱剤(もしくは解熱鎮痛剤)という分類になりますが、先述の通り、その作用のメカニズムには違いがあります。違いの比較としては、より安全に使用出来るのがアセトアミノフェン、一般的に効果が強いとされているのがロキソニンと言えます。また、アセトアミノフェンとロキソニンは飲み合わせが悪いという報告はあまりありませんが、そもそもが同じ解熱鎮痛薬のため、相乗効果のようのあものは期待できずあまり同時に使用するのは良いと言えません。場合によっては1回の処方でアセトアミノフェンとロキソニンが両方処方されるケースもあるようですが、基本的には同時に使用する場面はほとんどなく、自己判断で併用するのはやめましょう。
同じく解熱剤としてボルタレンやイブプロフェンなどもありますが、これらもロキソニンとの違いと同様であり、アセトアミノフェンと飲み合わせが悪いというわけではありませんが、あまり同時に使用する必要はないと言えるでしょう。
ただし、市販の風邪薬や解熱剤などにはアセトアミノフェンとイブプロフェンが一緒に配合されているものもあり、それらの市販薬は用法用量通りに使用すれば問題ないと考えられます。
アセトアミノフェンの小児に対する使用
アセトアミノフェンの成分は小児に対しても安全に使用することができます。処方薬では飲み薬と座薬共には体重1kgあたり1回10~15mgの用量を使用するのが一般的です。
また、OTC(市販薬)では前述の通り、アセトアミノフェンの成分として小児用バファリンなどが販売されています。
小児に使用するときに気になるのが副作用ですが、アセトアミノフェンはほとんど副作用の心配はありません。強いて言えば吐き気や発疹などに注意が必要なくらいです。インフルエンザに使用する場合も含め用法用量をしっかり守って使用すればほとんど副作用に心配は要らないでしょう。
アセトアミノフェンのインフルエンザに対する使用
アセトアミノフェンはインフルエンザの時の解熱でも使用される薬です。インフルエンザの時はジクロフェナクやメフェナム酸はインフルエンザの解熱の際に使用するとインフルエンザ脳症やライ症候群のリスクがあるとされており、日本小児科学会ではインフルエンザのときの解熱剤はアセトアミノフェンが良いという考えを表明しています。
これらのリスクは特に小児に関するものですが、成人に関しても安全面を考慮しインフルエンザの際はアセトアミノフェンを使用するケースが多いようです。
また、アセトアミノフェンは解熱のみならずインフルエンザの時の頭痛に関しても当然効果が期待でき、タミフルやイナビルといったインフルエンザの薬と飲み合わせの問題もなく併用できる薬です。
市販薬に関しては前述の通り、アセトアミノフェンの成分としてタイレノールAなどがインフルエンザの時も使用出来ると考えられますが、基本的には医師の診察を受けるまでの一次的なしのぎとしての使用に留め、なるべく早く病院やクリニックに行きましょう。
なお、アセトアミノフェン以外にもイブプロフェンやロキソニンに関しては比較的インフルエンザでも使用されるようです。医師の適切な診察にて処方された場合はあまり心配せず使用しましょう。
アセトアミノフェンとアルコール
アセトアミノフェンはアルコールとは相互作用の可能性があり、アルコールとの飲み合わせは良くないとされています。この理由は肝障害が起きるリスクがあるとされているからです。アルコールの常飲により、アセトアミノフェンが肝臓に対して毒性を持つ成分への代謝が促進されるようになり、肝臓にダメージを与える可能性が考えられています。
普段からアルコールの量には気をつけ、特にアセトアミノフェンを使用している期間だけでもアルコールを控えるもしくは量を減らす、薬とアルコールの時間を空けて飲むなどの工夫をするようにしましょう。
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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