デザレックスの特徴、名前の由来、効果、効果が出るまでの時間、効果が持続する時間、薬価、承認日や発売日、ビラノアとの違い、クラリチンとの違い、アレグラとの違い、眠気などの副作用などについて添付文書、インタビューフォーム等から解説します。
Contents
デザレックスの特徴と効果
デザレックスはデスロラタジンを成分とし、花粉症などのアレルギー性鼻炎や蕁麻疹、皮膚炎などの皮膚アレルギー症状に対して使用される抗ヒスタミン薬の一つです。
デザレックスの成分は従来より使用されているアレルギー薬のクラリチン(成分名:ロラタジン)の主要な活性代謝物の成分であり、デザレックスはクラリチンの改良版という位置付けに当たります。
デザレックスの特徴として、他の抗ヒスタミン薬に比較し、眠気の副作用が出にくく、さらに効果も早く出る点、効果を発揮するまでの代謝の過程から効果の個人差が出にくい点が挙げられます。
花粉症や鼻炎症状、蕁麻疹まどで薬を使用したいが絶対に眠くなりたくない、車などの運転を日常的にする必要がある、といったような場合に向いている薬です。
従来でしたら上記のようなケースではアレグラやクラリチンが使用されていましたが、ここにデザレックスという選択肢が加わることになります。また、1日1回で1日中効果が持続するという点、空腹時でも使用出来る点もデザレックスの特徴と言えます。
デザレックスはMSDが製造販売、杏林が発売
デザレックスはMSD株式会社が製造販売をし、杏林製薬株式会社が発売をしている薬です。医療機関への情報提供は杏林製薬が主となって実施しています。
デザレックスの名前の由来はデスロラタジンとアレルギー
デザレックスの名前の由来は、その成分名と治療の領域から命名されています。
デザレックスの有効成分であるデスロラタジン(Desloratadine)、アレルギー(Allergy)疾患の治療薬であることから、これらを組み合わせたデザレックス(DESALEX)という名称になったとされています1)。
1) デザレックス錠5mg インタビューフォーム
デザレックスの承認は2016年9月28日、発売日は2016年11月18日
デザレックスは2016年9月28日に厚生労働省より承認を受け、発売日は2016年11月18日です。
なお、発売から1年程度は14日分までしか処方することができないため、2017年11月30日までは処方制限があります。
デザレックスは海外で120以上の国と地域で承認
デザレックスは海外においては、2016年8月時点で120以上の国と地域で承認されており、一定の実績のある薬と言え、日本では新薬となりますが、比較的安心して使用することが可能な薬です。
デザレックスの効果は鼻炎症状、花粉症、蕁麻疹など
デザレックスの効能効果の詳細は以下の通りであり、花粉症シーズンや、鼻炎症状、蕁麻疹などの皮膚症状が出た時に使われます。
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
デザレックス錠5mg 添付文書
デザレックスの疾患に対する実際の効果は、臨床試験において確認されています。
花粉症などのアレルギー性鼻炎と蕁麻疹に関しては、プラセボ(偽薬)と比較して、症状を改善することが確認され、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症に関しては、デザレックスの使用前と比較して、症状が改善されたことが確認されています2)。
デザレックスがこれらの効果を示すのは、花粉症や蕁麻疹などのアレルギーを引き起こす原因物質であるヒスタミンの作用をブロックするためです。
花粉などのアレルギー原因物質が体内に取り込まれると、体の防御反応が働き体内で免疫反応が起こりますが、この反応が過剰になってしまっているのがアレルギーであり、この際にヒスタミンが過剰に放出されることが知られています。
デザレックスなどの抗ヒスタミン薬はこれらのヒスタミンの受容体(ヒスタミンが作用する部分)を阻害することによってヒスタミンの作用を抑制します。これによりアレルギー性の鼻炎などの症状が和らぎます。
2) デザレックス錠5mg 添付文書
デザレックスの効果時間|効果が出るまでの時間と持続する時間
デザレックスは効果が出るまでの時間が速く、持続時間も比較的長い薬です。
デザレックスはクラリチンの活性代謝物(代謝され効果がある状態になったもの)を成分とした薬であり、クラリチンで必要な代謝の過程を省いたものと考えることができ、その分効果が出るまでの時間が速いと考えられます。
効果が出るまでの時間は30〜1時間?持続は24時間以上
効果が出るまでの時間として参考になるデータは、モルモットのヒスタミン誘発気道収縮に対する作用の発現時間のデータです2)。
このデータは注射による投与のデータとなりますが、クラリチンの成分と比較しており、デザレックスは投与2分後からクラリチンの成分と比較し、非常に強い効果が出ていることが確認でき、投与10分後、30分後、60分後のいずれの時間においてもクラリチンの成分より強い効果を発揮していたことが確認できます。
クラリチンの効果が出るまでの時間は服用して2時間程度とされていますが、デザレックスはこれよりもかなり速く効果が出る(30分〜1時間後程度と推察)と考えられます。
また、デザレックスの効果持続時間に関してはモルモットのヒスタミン誘発致死に対する防御作用の持続時間のデータが参考となります1)。
こちらもクラリチンの成分と比較していますが、デザレックスはクラリチンと同様24時間経っても効果が持続していたことが確認されています。このため、デザレックスの用法はクラリチンと同様1日1回となっています。
1) デザレックス錠5mg インタビューフォーム
デザレックスの薬価は1錠65.5円
デザレックスの2018年4月改定時点の薬価は1錠あたり65.5円となっています。
これは同じ日に発売の同じ抗ヒスタミン薬の新薬であるビラノアの75.6円(2018円4月改定時点)よりも安く、アレグラ60mgの57.4円よりもやや高い程度です。しかもアレグラは1日2回使用するのに対し、デザレックスは1日1回の使用のため、実際には1日かかる薬価としてはデザレックスの方が安くなります。また、デザレックスとほぼ同じ成分であるクラリチンは77.6円であり、新薬で改良版といえるデザレックスの方が安い薬価が設定されています。
上記の通り、デザレックスの薬価は患者さん側から考えると使い易い薬価に設定されていると言えます。
デザレックスとビラノア、クラリチン、アレグラの違いは?
デザレックスと同じ日に発売のビラノア、成分が類似しているクラリチン、抗ヒスタミン薬の代表格であるアレグラと比較していきます。
デザレックスとビラノアの違いは使いやすさと効果の強さ
デザレックスとビラノアは同じ2016年11月28日に発売した抗ヒスタミン薬であり、ともに眠気が出にくいという特徴を持った新薬です。
その違いをあげると使い易いさ、効果の強さがあります。
ビラノアは空腹時に使用という制限があり、食後に使用すると血中での濃度が下がることが確認されています。デザレックスは食前・食後の制限はなく、任意のタイミングで服用が可能というメリットがあります。
また、デザレックスは12歳以上であれば使用でき、15歳以上の成人でしか使用しないビラノアよりも使用出来る年齢の幅が広いという使いやすさもあります。
一方、効果の強さという面では、ビラノアの方が強いという報告があります。
2016年に報告されたデザレックスとビラノアの効果の強さは比較した調査では、ビラノアの方が効果が強かったとされています3)。この調査では18歳から40歳の24人のボランティアに対して、デザレックスの成分、ビラノアの成分、ルパタジン、プラセボ(偽薬)を投与して、ヒスタミン注射の反応の抑制を比較してます。その結果はビラノアの成分が最も抑制しているという結果でした。
ただし、2009年に報告された別の調査では、デザレックスとビラノアの効果は差がなかったという結果もあります4)。この調査では、季節性のアレルギー性鼻炎の患者に対して、デザレックスの成分、ビラノアの成分、プラセボ(偽薬)が投与され、その結果は、デザレックスとビラノアとで効果に差がなかったというものでした。
実際の効果の強さは個人差によるところも大きく影響するため、より自分にあった薬剤を処方してもらうようにするのが良いといえるでしょう。
3) Antonijoan R, et al.; Curr Med Res Opin; Oct 21:1-8, 2016
4) Bachert C, et al.; Allergy. Jan; 64(1):158-65, 2009
デザレックスとクラリチン違いは効果発現時間
デザレックスはクラリチンの成分の活性代謝物を成分とした薬であり、両者は非常に似た作用を持つ薬と言えます。
デザレックスとクラリチンの最大の違いは、その作用が出るまでの時間(効果発現時間)と言えます。
前述の通り、デザレックスはクラリチンで必要な代謝の過程を省いたものと捉えることができます。その分効果が出るまでの時間が速いと考えられ、実際に動物実験のデータではデザレックスの方がクラリチンのよりも効果が出るのが速いことが確認されています。
使用される疾患などは大きな違いはなく、両者とも花粉症シーズンや蕁麻疹、皮膚炎などの皮膚のトラブル時には非常に活躍が期待される薬です。
副作用に関してもいずれも眠気が出にくいことが特徴であり、車の運転なども注意喚起されていない点は共通です。
また、効果がでるまでの代謝の過程が少ない分、デザレックスの方が個人差による効果の振れ幅が少なく、誰に対してもより安定して効果が期待できそうです。
さらに、クラリチンは必ず食後に使用する必要があるのに対し、デザレックスは必ずしも食後の必要がないという違いもあります。
デザレックスとアレグラの違いは1日の使用回数
デザレックスはアレグラとも比較的特徴が似ている薬です。
デザレックスとアレグラの大きな違いとして、1日1回の使用か、1日2回の使用か、という点があります。
デザレックスは1日1回で1日中効果が持続すると考えられていますが、アレグラは1日2回の使用が必要となります。この点は飲み忘れ防止などの観点から、デザレックスのメリットになり得る点と言えます。
また、デザレックスは処方薬のみであるの対し、アレグラは市販でも販売されているという違いもあり、継続したいにもかかわらず処方薬がなくなってしまった時に、一時的に市販薬に切替えられるなどのメリットがアレグラにはあると言えます。
なお、デザレックスとアレグラにおいて、効果の強さや副作用の出やすは、大きな違いはないと考えられています。
デザレックスの副作用|眠気はほとんどない
デザレックスは副作用が少ない薬であり、特に抗ヒスタミン薬で問題となる眠気に関してはほとんどないとされています。
臨床試験において確認されたデザレックスの副作用の頻度は4.0%であり、主な副作用は傾眠(眠気)が1.0%、白血球数増加が0.6%、血中コレステロール増加が0.4%という結果であり、大きな問題になるような副作用はほとんど確認されていません。発疹や頭痛の副作用なども海外では認められているものの、日本の臨床試験では認められませんでした1)。
眠気の副作用に関しては、健康成人男女(18例)を対象に、路上での自動車運転能力に及ぼす影響が検討されています。この結果、デザレックスを使用した時の自動車運転能力はプラセボ(偽薬)投与時と差がないことが確認されました2)。
プラセボと差がないということは、何も薬を飲んでない場合と同程度ということであり、この結果はデザレックスを飲んでも車の運転には何も影響がない(≒眠気がほぼ出ない)という意味で捉えて良さそうです。
以上のように、デザレックスは眠気を含めた副作用が非常に少なく、安全性の高い薬と言えそうです。ただし、特に日本においてはデザレックスを使った症例が少なく、今度、新たな副作用が報告される可能性もあるため、しばらくは注視する必要がありそうです。
2) デザレックス錠5mg 添付文書
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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