フロモックスの授乳・妊婦への影響は?|授乳中・妊娠中の使用について

 
フロモックスについて、授乳中、妊婦・妊娠中の使用について確認していきます。

フロモックスの特徴|膀胱炎や副鼻腔炎、抜歯でも使用|カロナールやロキソニンとの併用も

 
フロモックスはセフカペンを成分とする抗生物質であり、膀胱炎や副鼻腔炎、抜歯後の炎症、風邪が悪化した際の咽頭・喉頭炎などに使用される薬剤です((フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_6132016F1023_1_15.pdf))。
フロモックスの特徴は幅広い菌に効果が期待でき、小児に対しても使用できる安全面などが挙げられます。
また、飲み合わせに特別な注意が必要な薬もなく、カロナールやロキソニンなどの解熱鎮痛剤と併用されるケースも多い薬剤です。
フロモックスには錠剤のフロモックス錠75mg、フロモックス錠100mg、主に小児で使用されるフロモックス小児用細粒100mgの種類があります。

フロモックスの授乳中の使用|授乳への影響は

フロモックスの授乳中の使用に関して、製薬会社からは特別な注意喚起はなく((フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_6132016F1023_1_15.pdf))、基本的に授乳中でも使用できると考えられます。
フロモックスの授乳への影響を検討した結果として、産褥婦人にフロモックスの成分を投与した際、乳汁におけるフロモックスの成分の濃度はいずれも検出限界以下であったことが確認されています((フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg インタビュフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340018_6132016F1023_1_012_1F))。
この点から、フロモックスを授乳中に使用してもほとんど乳汁中に移行されないことが想定されます。
また、フロモックスには細粒剤もあり、生後1ヶ月の0歳の乳児でも使用されることがある薬です。仮に母乳経由で乳児が少量摂取したとしても影響は限定的と言えるでしょう。

フロモックスの授乳中の使用に関する専門機関の見解は

上記の通り、フロモックスの授乳中の使用は製薬会社からの特別な注意喚起なく、使用できると考えられますが、専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、小児にも適応があるため授乳婦に使用可能という内容((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでは、母乳への移行量が少なく、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤 / 母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさない」という見解です((大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)))。

小児にも適応があり、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

海外での評価なし。600mg/日投与で母乳中に検出されず、移行量は少ない。

母乳とくすりハンドブック

フロモックスを実際に授乳中に使用するかは、最終的には処方医の先生の判断となります。フロモックスに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

フロモックスで授乳を中止した際の再開する時間は

フロモックスの授乳中の使用に関しては前述の通り、基本的に授乳の中止は必要ないケースがほとんどです。しかし、医師の判断により授乳を中止するような場合、授乳を再開するタイミングについても医師の指示通りにしましょう。
参考になるデータとして、フロモックスの薬物動態のデータがあり、薬物の血中の濃度が半分になる時間である半減期(t1/2)が約1時間となっています((フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_6132016F1023_1_15.pdf))。体内から薬がなくなる目安が半減期の4〜5倍とされているため、フロモックスの服用から5時間程度経てばフロモックスの成分は体内にほとんど残っていないと考えられます。ただし、上記は血中濃度の指標であり、乳汁中のデータとは異なる点は注意が必要です。乳汁中の濃度のデータはいずれも検出限界以下であったとされています((フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_6132016F1023_1_15.pdf))。

フロモックスの妊婦・妊娠中の使用

フロモックスは妊婦・妊娠中の使用に関して、治療上のメリットが危険性を上回る場合に使用するとされており、実際に使用するかは処方医の先生の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また,妊娠後期にピボキシル基を有する抗生物質を投与された妊婦と,その出生児において低カルニチン血症の発現が報告されている。]

フロモックス小児用細粒100mg 添付文書

上記のような注意喚起がされている理由として、妊娠中の使用に対する明確な安全性が確認されていない点と、フロモックスと同様に化合物としてピボキシル基を含む抗生物質を妊娠後期に使用した際に、低血糖などの症状を引き起こす低カルニチン血症の発現が報告されている点が挙げられます。
特にピボキシル基による低カルニチン血症のリスクは比較的最近になって注意喚起されるようになっており、注意が必要な項目です。
なお、胎盤の通過性を確認した動物実験では、胎盤通過性、胎児移行性は共に低いと考えられ、生殖発生毒性試験でも催奇形性は認められていないことが確認されています((フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg インタビュフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340018_6132016F1023_1_012_1F))。

フロモックスの妊婦・妊娠中の使用に関する専門機関の見解は

上記の通り、フロモックスの妊婦・妊娠中の使用は製薬会社から注意喚起されていますが、専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、リスクを示唆するデータがないため、妊婦に使用可能と考えられる、という見解です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。

催奇形性、胎児毒性を示唆するデータなし。
セフェム系抗生物質は妊婦に使用可能と考える。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

また、その他の見解として、虎の門病院「妊娠と薬」相談外来における相談事例では、「認められた異常に共通性はなく、国内における自然奇形発生率を上回る変化とは考えられない」と結論付けています((株式会社じほう 実践 妊娠と薬 第2版))。
フロモックスを実際に妊婦・妊娠中に使用するかは、最終的には処方医の先生の判断となります。フロモックスに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中、妊娠している可能性がある旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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