ポララミン錠の薬の特徴、効果、使い方、小児の使用、眠気などの副作用、薬価、ジェネリック、授乳中・妊娠中の使用などについて添付文書等から解説していきます。
Contents
ポララミンの特徴
ポララミンはd-クロルフェニラミンマレイン酸塩を成分とする抗ヒスタミン薬であり、蕁麻疹、湿疹、アレルギー性鼻炎、風邪に伴うくしゃみ、鼻水、咳などに効果があります1)。
ポララミンには通常の錠剤であるポララミン錠2mgの他、粉薬のポララミン散1%やポララミンドライシロップ0.2%、シロップ剤であるポララミンシロップ0.04%、注射剤のポララミン注5mgの種類があります。
ポララミンは眠気などの副作用も比較的出やすい反面、効果も強いという特徴があり、アレルギーなどの強い症状があるようなケースで向いている薬の一つです。
今回は主にポララミン錠について確認していきます。
1) ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg 添付文書
ポララミンの効果
ポララミン錠は、蕁麻疹、湿疹、アレルギー性鼻炎、風邪に伴うくしゃみ、鼻水、咳などに効果があります。
ポララミン錠の効能効果の詳細は以下の通りです。
蕁麻疹、血管運動性浮腫、枯草熱、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、薬疹)、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽
ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg 添付文書
ポララミンの作用機序
ポララミンの作用機序はヒスタミン受容体阻害による遊離ヒスタミンと受容体との結合を阻害することで効果が発揮されます2)。
アレルギー原因物質が体内に侵入すると、ヒスタミンなどのアレルギーを引き起こす物質が放出され、体内の受容体に作用することで鼻炎症状やアレルギー症状などが引き起こされます。ポララミンはこのヒスタミンの受容体を阻害して症状を和らげる働きがあるとされています。
2) ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg インタビューフォーム
ポララミンの効果時間
ポララミンは効果発現時間が15分〜60分程度、効果持続時間が4〜8時間と考えられています2)。
比較的早い段階で効果を実感することができる薬の一つと言えます。
2) ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg インタビューフォーム
ポララミンの効果は75%前後の有効率
ポララミン錠、ポララミン散の効果に関しては、臨床試験の結果として、75.7%の有効率が確認されており、疾患別では、蕁麻疹 80.5%、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹、皮膚炎、皮膚瘙痒症、薬疹)74.6%、枯草熱、アレルギー性鼻炎 75.0%であった、とされています2)。
2) ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg インタビューフォーム
ポララミンの使い方
ポララミン錠の使い方は、1回に1錠を1日1〜4回使用するのが一般的な使用法となります。
ポララミン錠の用法用量の詳細は以下の通りです。
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩として、通常、成人には1回2mgを1日1~4回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg 添付文書
ポララミンは子供でも使用できる薬
ポララミンは子供でも使用されることがある薬です。
特に小さい子供でもは粉薬であるポララミンドライシロップやポララミン散、ポララミンシロップなどが使用され、錠剤が飲める年齢であれば、厳密な用量の決まりはありませんが、大人よりも少ない用量で使用されることがあります。
ポララミン自体はかなり古くからある薬であり、市販薬としてもよく使われることがある成分であり、薬の安全面では比較的優れている薬と言えます。
子供に対して処方された場合も安心して使用できる薬の一つと言えるでしょう。
ポララミンの副作用
ポララミンの代表的な副作用は眠気です。
一般的にポララミンなどの抗ヒスタミン薬で眠い状態になっていまう理由は、ヒスタミンが脳の覚醒に影響する作用をもっており、そのヒスタミンの作用を阻害してしまうためとされています。
近年のアレグラやクラリチンといった抗ヒスタミン薬は比較的眠気が出にくいとされていますが、ポララミンは古い薬であり、眠気がやや出やすいとされています。
ポララミンの眠気の副作用の頻度は6.21%とされており、使用する際には眠気に関して注意するようにしましょう。
なお、ポララミンは眠気がでることがあるために自動車などの運転に関して注意喚起されています。
眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg 添付文書
ポララミンの飲み合わせ
ポララミンは飲み合わせに注意が必要ものが幾つかあります1)。
「中枢神経抑制剤、アルコール、MAO阻害剤、抗コリン作用を有する薬剤」および「ドロキシドパ、ノルアドレナリン」についてはポララミンと「併用注意」という位置付けであり、一緒に使用する場合は注意が必要なります。
「中枢神経抑制剤、アルコール、MAO阻害剤、抗コリン作用を有する薬剤」の代表的な薬剤はアキネトンやウリトス、ステーブラ、ベシケアなどが挙げられます。これらの薬と一緒に使用することで効果が強く出てしまう可能性があるため、注意が必要です。
また、アルコールに関しても同様であり、ポララミン使用中にお酒を摂取すると強い眠気が現れる可能性などが考えられるため、ポララミンを使用中は基本的にお酒(アルコール類)を避けるようにしましょう。
「ドロキシドパ、ノルアドレナリン」の代表的な薬剤はドプス、ドロキシドパカプセルなどが挙げられます。これらの薬とポララミンを併用すると血圧が過度に上昇する可能性があるため、注意が必要となります。
ポララミンの授乳中・妊娠中の使用
ポララミン錠の授乳中や妊娠中の使用について確認していきます。
ポララミンの授乳中の使用
ポララミンは授乳中の使用に関して、使用することは禁止されていません1)。ただし、メーカーからの情報では使用が推奨されていません。
・第一世代の抗ヒスタミン剤は抗コリン作用により乳汁分泌を阻害する。抗ヒスタミン剤の少量が乳汁中へ移行し、幼児の興奮作用を発現するため、使用は勧められない。
ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg インタビューフォーム
専門家による見解として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きがあり、使用はできるものの可能であれば他の薬剤に変更を検討するという内容です3)。
大量・長期投与時は児の眠気に注意する。可能ならば移行性の低く鎮静作用の弱い他剤への変更を検討する。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
同様に、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでは、乳児の鎮静に注意すれば使用可能という内容であり、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解です4)。
乳児の鎮静に注意すれば両立可能。新生児 や早産児では回避。潜在的に乳汁分泌を抑制する可能性がある。
母乳とくすりハンドブック
実際に授乳中にポララミンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。授乳中はポララミンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg 添付文書
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
4) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)
ポララミンの妊娠中の使用
ポララミンは妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、医師の判断によっては使用できるケースがあります1)。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg 添付文書
ただし、動物実験レベルでは、血液-胎盤関門通過性や生殖発生毒性を確認した試験において、胎仔及び新生仔への影響はみられていないとされています2)。
専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、妊婦に使用できる使用はできるという見解もあり3)、処方医の先生によっては使用するケースもあると考えられます。
実際に妊娠中にポララミンを使用するかについても、授乳中と同様に処方医の先生の判断となります。妊娠中はポララミンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) ポララミン散1%/ ポララミン錠2mg インタビューフォーム
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
ポララミンの薬価、ジェネリック
ポララミン錠2mgの薬価は2016年4月改定(2018円3月まで)の薬価は1錠あたり5.6円となります。
なお、ポララミン錠2mgにはジェネリックがあり、ネオマレルミン錠2mgという販売名で販売されています。ただし、薬価はポララミン錠と同く1錠あたり5.6円となるため、価格は変わらない点に注意しましょう。
ポララミンの市販での購入
ポララミンの成分であるd-クロルフェニラミンマレイン酸塩は市販薬でも最も使用されている成分の一つであり、数多くの総合感冒薬(いわゆる風邪薬)や鼻炎薬に含まれている成分として市販でも入手が可能です。
なお、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩とdl-クロルフェニラミンマレイン酸塩は厳密にはやや異なる成分であり、市販薬にはdl-クロルフェニラミンマレイン酸塩も多く含まれています。d-とdl-の違いは専門的な話では鏡像異性体が片側のみ含まれているか両方含まれているかの違いですが、得られる効果は大きくは変わらないケースもありますが、ポララミンと同じ成分を厳密に使用したい場合は、dl-ではなく、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩を選択するようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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