イグザレルトの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から確認していきます。
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イグザレルトの特徴
イグザレルトはリバーロキサバンを成分として含む抗凝固薬であり、脳卒中、塞栓症、血栓症の抑制に効果が認められています1)。
イグザレルトの特徴として抗凝固薬の中でも第Xa因子阻害剤に分類され、非弁膜症性心房細動患者と肺血栓塞栓症及び深部静脈血栓症患者に対して、日本人のみを対象とした第Ⅲ相試験を実施した初めての経口第Xa因子阻害剤とされています2)。
イグザレルトには成分を10mg含む錠剤のイグザレルト錠10mg、成分を15mg含む錠剤のイグザレルト錠15mg、成分を10mg含む粉薬のイグザレルト細粒分包10mg、成分を15mg含む粉薬のイグザレルト細粒分包15mgが販売されています。
1) イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
2) イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg インタビューフォーム
イグザレルトの効果
イグザレルトは脳卒中、塞栓症、血栓症の抑制に効果があります。
イグザレルトの効能効果の詳細は以下の通りです。
●非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
●深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
イグザレルトの作用機序
イグザレルトの作用機序は第Xa因子の阻害によるトロンビン生成の阻害によるものです。
血液が凝固するには最終的にフィブリンが作られますが、フィブリノーゲンからフィブリンを生成する際に重要な働きをするのがトロンビンです。
イグザレルトは凝固の過程において凝固因子の第Xa因子を阻害することにより、プロトロンビンからトロンビンが生成されることを阻害します。
このため、結果的にイグザレルトは血液の凝固を阻害します。
イグザレルトとPT(プロトロンビン時間)
イグザレルトは抗凝固薬であるため、使用するとプロトロンビン時間(PT)は延長する傾向があります。ただし、製薬会社からはPT-INRは標準化された指標でない旨が注意喚起されており、臨床症状も注意深く観察するよう注意喚起されています。
重要な基本的注意
プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は本剤の抗凝固作用について標準化された指標でなく、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の凝固能検査は、本剤の抗凝固作用をモニタリングする指標として推奨されない。投与にあたっては、臨床症状を注意深く観察し、出血等が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
なお、32例にイグザレルトの成分であるリバーロキサバン5、10、20 及び40mgを空腹時に単回経口投与した試験ではPTはベースラインの2.52倍に延長したとされています2)。
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イグザレルトの効果時間
イグザレルトの効果時間の参考なるデータとして、臨床試験の結果があります。
32例にイグザレルトの成分であるリバーロキサバン5、10、20 及び40mgを空腹時に単回経口投与した試験では、第 Xa 因子活性阻害率は投与後0.5~4時間に最高値に到達したとされています2)。
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イグザレルトの使い方
イグザレルトは疾患によって使用する量が異なります。
虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制は15mg錠1錠を1日1回、深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症では最初の3週間に15mg錠1錠を1日2回、その後1日1回にする使い方が一般的です。
イグザレルトの用法用量の詳細は以下の通りです。
●非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
通常,成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する.なお,腎障害のある患者に対しては,腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する.
●深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制
通常,成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し,その後は15mgを1日1回食後に経口投与する.イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
イグザレルトは腎機能に応じて減量も
イグザレルトの用法用量として、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」に対して使用する場合は、クラアチニンクリアランスが15mL/min未満の場合は禁忌、 15~29mL/minの場合は投与の適否を慎重に判断し、10mg1日1回に減量、30~49mL/minの場合は10mg1日1回に減量とされています1)。
なお、「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制」に使用する場合は、に腎機能に応じた減量を設定しておらず、30~49mL/minの場合に慎重投与、29mL/min以下の場合は禁忌とされています2)。
1) イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
2) イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg インタビューフォーム
イグザレルトの副作用
イグザレルトの主な副作用は、鼻出血(13.8%)、皮下出血(7.8%)、歯肉出血(6.3%)、血尿(3.8%)、結膜出血(3.6%)、尿中血陽性(2.8%)、貧血(2.7%)、創傷出血(2.3%)、喀血(2.2%)、口腔内出血(1.9%)、痔出血(1.7%)、便潜血陽性(1.4%)、網膜出血(1.1%)、メレナ(1.1%)、便潜血(1.1%)、出血(1.1%)等であった1)、とされています。
イグザレルトは抗凝固薬であるため、その効果を発揮すると今度は出血傾向になる可能性があり、副作用としても出血関連のものが中心となります。特にイグザレルトの飲み始めはこれらの副作用に関していつも以上に注意するようにしましょう。
1) イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
イグザレルトの飲み合わせ
イグザレルトは飲み合わせに関する注意として、併用できない薬(併用禁忌薬)、併用に注意が必要な薬(併用注意薬)が多数あり、飲み合わせに注意が必要な薬と言えます。
イグザレルトと併用できない薬(併用禁忌薬)として、HIVプロテアーゼ阻害剤、コビシスタットを含有する製剤、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾールのアゾール系抗真菌剤があります。
イグザレルトとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。
成分名等 | 代表的な薬剤 |
抗凝固剤 | ワーファリン |
血小板凝集抑制作 用を有する薬剤 |
バイアスピリン、プラビックス |
サリチル酸誘導体 | |
非ステロイド性解 熱鎮痛消炎剤 |
ボルタレン |
血栓溶解剤 | |
フルコナゾール ホスフルコナゾール |
|
クラリスロマイシン エリスロマイシン |
クラリス |
リファンピシン | |
フェニトイン カルバマゼピン フェノバルビタール セイヨウオトギリソウ(S t . J ohn ʼ sWort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
上記の併用注意薬のうち、注意したいのが抗生剤であるクラリスロマイシンであり、クラリス、クラリシッドなどの製品名でよく使用される薬の一つです。また、解熱鎮痛剤であるロキソニンやイブプロフェンなども注意が必要です。これらの薬は風邪や頭痛などの痛みの際に市販薬としても使用するケースがあるため、市販薬に関しても使用する際にはイグザレルトを使用している旨を医師や薬剤に相談するようにしましょう。
なお、同じ抗凝固薬であるワーファリン(ワルファリンカリウム)の効果を弱めてしまうことで有名な納豆ですが、イグザレルトとの飲み合わせは問題ありません。特に気にせず納豆を食べても問題ないでしょう。
イグザレルトの授乳中の使用
イグザレルトは授乳中の使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。
授乳中の女性に投与することを避け,やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること.[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている.]
イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
上記の注意喚起がされている理由として、動物実験において、乳汁への移行性が認められているためです2)。
実際に授乳中にイグザレルトを使用するかは、処方医の先生の判断となります。イグザレルトに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg インタビューフォーム
イグザレルトの妊娠中の使用
イグザレルトは妊娠中もしくは妊娠している可能性がある場合は禁忌とされており、使用することができません。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと.[動物実験で胎盤通過性(ラット)1),子宮内出血,母動物に毒性があらわれる用量で総奇形発生率の増加(ウサギ)2),死産の増加等の胚・胎児毒性,出生児の生存率低下及び一般状態の悪化(ラット)3)が報告されている.]
イグザレルト錠10mg/ イグザレルト錠15mg 添付文書
イグザレルトが妊婦に使用できない理由として、動物実験にて胎盤を通過することが確認されており、生殖発生毒性試験では催奇形性や死産の増加等が認められているためです2)。
妊娠中もしくは妊娠している可能性がある場合は必ず医師や薬剤師に伝え、また自己判断でイグザレルトを使用することのないようにしましょう。
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イグザレルトの薬価、ジェネリック
イグザレルトの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はイグザレルト錠10mgで1錠あたり383.0円、イグザレルト錠15mgで1錠あたり545.6円、イグザレルト細粒分包10mgが1包あたり413.0円、イグザレルト細粒分包10mgが1包あたり588.4円となっています。
なお、イグザレルトには現時点でジェネリック医薬品は販売されていません。通常新薬は承認されてから一定の年数がたった後に再度審査を受ける必要があり、この期間を終えるまではジェネリック医薬品は販売されません。イグザレルトの再審査期間は2012年1月18日~2020年1月17日とされており、この期間の間はジェネリック医薬品は販売されません。また、特許期間に該当する場合はその期間もジェネリック医薬品は販売できません。
イグザレルトの市販での購入
イグザレルトの成分を含む薬は市販では購入することができません。また、イグザレルトと比較的成分が近いものや、代替となるような薬も市販では買うことはできません。
イグザレルトは使い方を誤ったり自己判断で使用するととリスクがある薬でもあり、必ず医師の適切な診察を受けて処方してもらうようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
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