ロラタジンの効果や副作用|市販での購入や眠気の頻度、授乳中の使用など

ロラタジンの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

ロラタジンの特徴

ロラタジンは抗アレルギー・抗ヒスタミン成分であり、蕁麻疹や花粉症を含むアレルギー性鼻炎、湿疹などに効果がある薬剤です1)
ロラタジンを成分として含む薬剤の代表例としてクラリチン錠の他、ジェネリック医薬品であるロラタジン錠、ロラタジンOD錠などがあります。
ロラタジンの特徴は、1日1回の使用で優れた臨床効果が期待でき、眠気などの運転能力に影響を及ぼす副作用がほとんどなく日常活動への影響は少ない点などが挙げられます2)
ロラタジンは、第2世代の抗ヒスタミン成分の中では効果は穏やかな部類になりますが、眠気の副作用がほとんど見られず日常的に運転などをする人でも使いやすい薬です。
ロラタジンの製剤には通常の錠剤である10mg錠、水なしで飲める口腔内崩壊錠(OD錠)、主に小児で使用されるドライシロップ1%剤などがあります。なお、ロラタジンの代表製剤であるクラリチンはOD錠ではないく、レディタブ錠になります。
今回は主にロラタジンの普通錠、OD錠について確認していきます。
1) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg 添付文書
2) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg インタビューフォーム

ロラタジンはクラリチンのジェネリック医薬品もしくは成分名を指す

「ロラタジン」には2種類の意味があり、
①クラリチンのジェネリック医薬品を指す場合
②クラリチンの成分名(一般名)を指す場合
があります。
近年ではジェネリック医薬品の販売名は、薬の成分名で統一させる方針となっており、成分名がそのままジェネリック医薬品の販売名となります。
したがって、ロラタジンとはクラリチンのジェネリック医薬品の販売名もしくはクラリチンの成分名を指すことになります。

ロラタジンとクラリチンの違い

ロラタジンは上記の通り、クラリチンのジェネリック医薬品もしくは成分名を指すため、ロラタンジンとクラリチンの違いは
①ジェネリック医薬品と先発医薬品の違い
②成分名(一般名)と販売名の違い
と言えます。
なお、ジェネリック医薬品の場合は、厳密にはロラタジンの後に製薬会社名が販売名として加えられるため、ロラタジン錠10mg「サワイ」、ロラタジンOD錠10mg「トーワ」などがジェネリック医薬品の正式な販売名となります。

ロラタジンの先発医薬品はOD錠の代わりにレディタブ

ロラタジンの先発医薬品であるクラリチンにはOD錠という名称の製品はありませんが、口腔内崩壊錠のレディタブ錠というものがあり、これが実質的にOD錠に該当します。
また、ロラタジンのジェネリック医薬品では数多くのOD錠が販売されているため、水なしで飲める錠剤が良い場合は先発医薬品とジェネリック医薬品いずれも選択肢があります。

ロラタジンの効果

ロラタジン錠は蕁麻疹、花粉症を含むアレルギー性鼻炎(鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状)、湿疹・皮膚炎などに伴うかゆみに対して効果がある薬剤です。
ロラタジン錠の製品例の効能効果は以下の通りです。

アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

ロラタジン錠「サワイ」 添付文書

ロラタジンの作用機序

ロラタジンの主な作用機序はアレルギーを引き起こす原因物質であるヒスタミンに対しての拮抗作用です1)
花粉などやアレルギーなどでアレルギー原因物質が体内に取り込まれると、体の防御反応が働き体内で免疫反応が起こりますが、この反応が過剰になってしまっているのがアレルギー状態であり、この際にヒスタミンが過剰に放出されることが知られています。
ロラタジンなどの抗ヒスタミン薬はこれらのヒスタミンの受容体(ヒスタミンが作用する部分)を阻害することによってヒスタミンの作用を抑制します。これにより鼻水・鼻づまり・くしゃみなどが症状となるアレルギー性の鼻炎や蕁麻疹、皮膚炎などの症状が和らぎます。
1) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg 添付文書

ロラタジンの効果時間

ロラタジンの効果時間について、効果発現時間、効果持続時間がそれぞれ確認されています。
効果発現時間はヒトにおいて錠剤10㎎の単回投与した試験にて、膨疹に対しては使用後1時間後から、紅斑に対しては使用後2時間後から効果が認められています2)。この点からロラタジンは比較的早期に効果が現れることが想定されます。
また、ロラタジンの効果持続時間については、ラットのヒスタミン誘発皮膚血管透過性亢進に対する試験にて、ロラタジンの抑制作用はが経口投与後12時間においても認められている点、
ヒトにおいて錠剤10㎎の単回投与後14時間以上でもヒスタミン誘発皮内反応(膨疹及び紅斑)を抑制している点からも高い持続性が確認されており1)、1日1回の使用で効果が持続することが考えられます。

作用発現時間 2時間
作用持続時間 14 時間

1) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg 添付文書
2) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg インタビューフォーム

ロラタジンの実際の患者さんへの効果

ロラタジンの実際の患者さんへの効果として、先発医薬品であるクラリチンの臨床試験結果が参考となります。
クラリチンの効果は実際の患者さんに対して薬を使用した臨床試験で確認されており、通年性アレルギー性鼻炎に対しては52.7%、慢性蕁麻疹、湿疹・皮膚炎及び皮膚そう痒症に対しては、それぞれ77.7%、60.7%、61.5%の全般改善率であったことが確認されています1)

疾患名 全般改善率
「中等度改善」以上の
症例/総症例
通年性アレルギー性鼻炎 52.7%(146/277)
慢性蕁麻疹 77.7%(310/399)
湿疹・皮膚炎 60.7%(105/173)
皮膚そう痒症 61.5%(56/91)

1) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg 添付文書

ロラタジンの風邪への効果

ロラタジン錠は風邪における鼻炎症状に対しては基本的に効能効果の範囲外となります。
ただし、風邪をひいたときの鼻炎症状でもアレルギー性の要因が関わっているようなケースでは一定の効果が期待でき、医師によっては処方するケースがあります。
また、比較的ロラタジンと近い系統であるペリアクチンなどは「感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽」が効能効果として認められています。
鼻炎の症状で風邪と思ってクリニックにかかってロラタジンを処方された、というケースでは指示された通り使用して問題ないと言えるでしょう。ただし、自己判断で手持ちのロラタジンを風邪で使うようなことは避けましょう。

ロラタジンの使い方・飲み方

ロラタジン錠、ロラタジンOD錠は1回1錠、1日1回使用するのが一般的な飲み方となります。
ロラタジン錠の製品例の用法用量の詳細は以下のとおりです。

成人:通常、ロラタジンとして1回10mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
小児:通常、7歳以上の小児にはロラタジンとして1回10mgを1日1回、食後に経口投与する。

ロラタジン錠「サワイ」 添付文書

ロラタジンが効かない場合は

ロラタジンの効果を感じないといった時にまず確認したいのが、正しい用法用量でロラタジンを使用できているかという点です。
ロラタジンは1日1回の使用で効果が持続する薬ですが、前回の使用から極端に間隔が長くなったりした場合はその間に効果が切れてしまう可能性もあります。逆に間隔が近すぎる場合は、次の日まで効果が持続しない可能性も考えられるため、適切な使用間隔で使用できているかを確認しましょう。
正しい飲み方で使用できている場合は、ロラタジンが症状にあっていない可能性もあります。ロラタジンは第二世代の抗ヒスタミン薬の中では効果が穏やかな方であり、他の抗アレルギー薬ではより高い効果が得られるというケースもあるため、正しい用法用量でも効果を感じない場合は処方医に相談してみるようにしましょう。

ロラタジンの副作用|眠気はプラセボと変わらず

ロラタジンの副作用の頻度として、先発医薬品であるクラリチンの臨床試験、市販後の製造販売後調査の結果が参考になります。
クラリチンの臨床試験における主な副作用は、眠気(6.4%)、倦怠感(1.4%)、腹痛(0.9%)、口渇(0.9%)、嘔気・嘔吐(0.5%)、製造販売後調査における主な副作用は眠気(0.7%)、腹痛(0.1%)、口渇(0.1%)、便秘(0.1%)とされています1)
眠気の副作用に関しては、上記の通り一定の頻度で認められているものの、国内におけるパソコンでの数字入力作業による精神運動機能に及ぼす影響を検討した結果や、海外におけるサーキット上での自動車運転能力に及ぼす影響を検討した結果ではいずれもプラセボ(偽薬)と統計学的に有意な差はないとされています2)
ロラタジンが抗ヒスタミン作用を有するにもかかわらず眠気が出にくいのは、中枢への移行作用性が少ないためと考えられており、実際にアレロックやアレジオン、ザイザルなどでは自動車運転に対して注意喚起されているものの、ロラタジンはこの点に関する注意喚起はなく、薬を服用しても運転などの作業が可能な薬剤の一つです。
1) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg 添付文書
2) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg インタビューフォーム

ロラタジンの飲み合わせ

ロラタジンには併用禁忌でないものの、飲み合わせに注意が必要なものがいくつかあります1)
ロラタジンとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
エリスロマイシン、シメチジン エリスロシン、タガメット

上記の薬剤は薬物代謝酵素(CYP3A4、CYP2D6)阻害作用を有するために、ロラタジンから活性代謝物への代謝が阻害され、ロラタジンの血漿中濃度が上昇する可能性が考えられています。
いずれも服用している場合は医師、薬剤師に伝えておくようにしましょう。
1) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg 添付文書

ロラタジンとお酒(アルコール)との飲み合わせ

ロラタジンは前述の通り、お酒(アルコール類)に関しては特別な注意喚起はありません1)
海外において、サーキット上でアルコール摂取時の自動車運転能力に与える影響を検討し
たとき、ロラタジン10mgの併用はアルコールによる運転能力低下を増強せず、アルコールによる中枢神経抑制作用への影響を認めなかったとされています。
また、このときの脳波を測定したところ、ロラタジン単独投与では薬剤による徐波発現は認められず、アルコール単独ではかなり多くの徐波活性化が認めらました。ロラタジンとアルコールを併用したときはアルコール単独とほぼ同様の徐波活性が認められ、ロラタジンの併用によって徐波活性の増加は認められなかったとされています2)
上記の結果からは、ロラタジンとアルコール併用はほとんど問題ないと考えられますが、それでもロラタジンを使用中にお酒を飲むことは推奨されることではありません。
ロラタジンとアルコールの併用は影響が少なく、絶対に避けるものではないと言えますが、可能であれば事前に医師や薬剤師に相談しておき、飲酒をする場合でも量を控えたり時間を空けるなどを検討するようにしましょう。
1) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg 添付文書
2) クラリチン錠10mg/ クラリチンレディタブ錠10mg インタビューフォーム

ロラタジンの授乳中の使用

ロラタジンは授乳中の場合は使用しない、もしくは授乳を避けることが推奨されています。

授乳中の婦人には、投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中への移行が報告されている。〕

ロラタジン錠「サワイ」 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、ロラタジンが母乳中へ移行することが報告されている点が挙げられます。
ただし、専門家による見解の中には問題なく使用出来るというものもあり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、小児にも適応があり、授乳婦にも使用可能という内容です3)。また、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、中枢への移行が少ないため通常量であれば問題ないという内容であり、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤 / 母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさない」という見解です4)

小児にも適応があり、母乳中への移行が少ないため、授乳婦に使用可能と考えられる。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

中枢への移行は少なく通常の治療量であれば問題ない。
母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にロラタジンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。ロラタジンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
4) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

ロラタジンの妊娠中の使用

ロラタジンの妊娠中の使用に関しては、使用しないことが推奨されています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与を避けることが望ましい。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物試験(ラット、ウサギ)で催奇形性は認められないが、ラットで胎児への移行が報告されている。〕

ロラタジン錠「サワイ」 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、動物実験においてロラタジンの胎児への移行が確認されている点が挙げられます。
専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、催奇形性や毒性を示すデータがなく、妊婦にも使用可能という内容です3)

ヒトでの催奇形性、胎児毒性を示唆するデータなし。妊婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

実際に妊娠中にロラタジンを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。ロラタジンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)

ロラタジンの薬価、ジェネリック

ロラタジン錠、ロラタジンOD錠の各種ジェネリック医薬品の薬価は40.2〜44.7円とされており、メーカーによって薬価が異なります。
なお、ロラタジンの先発医薬品であるクラリチン錠では、薬価が86.7円とされており、いずれもロラタジンのジェネリック医薬品を使用した方が経済的と言えます。

ロラタジンの市販での購入

ロラタジンの成分は市販薬でも使用されている成分であり、市販で購入することができます。
ロラタジンの代表的な市販薬がクラリチンEXとクラリチンEX OD錠です。クラリチンEXはロラタジン10mgと同じ成分量であり、基本的に同じ効果が得られると考えられます。ただし、市販薬では効能効果は「鼻のアレルギー症状の緩和」のみであり、蕁麻疹や皮膚疾患では効能効果の範囲外である点に注意しましょう。
なお、市販薬は保険適用となる処方薬のロラタジンと比較すると割高になるケースが多いと考えられます。一時的に使用する分には手軽に手に入る市販薬は向いていると言えますが、長期的に使用する場合には医師の適切な診断のもと、処方箋を発行してもらい処方薬を使用するのが合理的と言えるでしょう。
 
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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