エクメットの効果や副作用|LDとHDの違いや薬価についても

エクメットの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中の使用、妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

エクメットの特徴|LDとHDの違い

エクメットはDPP-4阻害薬であるビルダグリプチンとビクアナイド系薬であるメトホルミンの2成分を含んだ2 型糖尿病に対して効果が認められている配合剤です1)
エクメットの特徴として、ビルダグリプチン(代表的な製品名:エクア)とメトホルミン(代表的な製品名:メトグルコ)の併用投与を必要とする2型糖尿病患者に対して、1剤で量成分を服薬できることにより服薬の利便性を高めることができます2)
エクメットにはエクメット配合錠LDとエクメット配合錠HDの2種類があります。
エクメット配合錠LDにはビルダグリプチンが50mg、メトホルミン塩酸塩が250mg含まれています。
エクメット配合錠HDにはビルダグリプチンが50mg、メトホルミン塩酸塩が500mg含まれています。
エクメット配合錠LDとエクメット配合錠HDの成分配合量をまとめると以下の通りとなります。

ビルダグリプチン メトホルミン塩酸塩
エクメット配合錠LD 50mg 250mg
エクメット配合錠HD 50mg 500mg

1) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書
2) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD インタビューフォーム

エクメットの発売日は2015年11月26日

エクメットは日本では2015年11月26日に発売された薬です。
日本での承認に先立ち、2007年11月にはEU において「2 型糖尿病」を効能・効果として承認されて以降は、100以上の国や地域で承認されており、世界各国で使われている薬です。

エクメットの効果

エクメットは糖尿病の中でも2型糖尿病に対して効果が認められている薬です。
エクメットの効能効果の詳細は以下の通りです。

2型糖尿病
ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。

エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書

エクメットの作用機序

エクメットの作用機序は、DPP-4阻害薬であるビルダグリプチンによる血糖値依存のインスリン分泌促進とビグアナイド系薬であるメトホルミンによるインスリン抵抗性の改善によるものです。
ビルダグリプチンを含むDPP-4阻害薬は、DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)を阻害し、インクレチンのDPP-4による分解を抑制します。インクレチンにはglucagon-like peptide 1(GLP-1)及び glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)があり、グルコース恒常性の維持にかかわるホルモンです。DPP-4を阻害するこのよりこれらの活性型インクレチン濃度を上昇させ、血糖値依存的にインスリン分泌促進作用並びにグルカゴン濃度低下作用を増強し血糖効果作用を示します。
一方、ビグアナイド系薬であるメトホルミンは肝の糖産生や消化管からの糖吸収を抑制し、さらに末梢組織におけるインスリン感受性やグルコース消費を増加させ、インスリン抵抗性を改善することによって血糖降下作用を示します。
エクメットは上記の作用機序が異なる2成分を1剤で服用できる薬でき、効果的な血糖コントロールが期待できます。

エクメットの効果時間

エクメットの効果時間の参考になるデータとして、効果発現時間に関してはビルダグリプチンは使用後1.5時間後にDPP-4活性の阻害率が最大となることが確認されています。また、作用持続時間として、1日2回ビダグリプチンを50mg使用することでDPP-4活性の90%を超える阻害が24時間持続したことが確認されています2)
なお、メトホルミンに関しては該当資料なし、とされています2)
2) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD インタビューフォーム

エクメットの実際の患者に対する効果

エクメットは実際の患者さんにおいてその効果が確認されており、ビルダグリプチンの単剤もしくはメトホルミンの単剤で治療するよりも高い効果が得られることが確認されています1)
糖尿病の代表的な指標となるHbA1Cに関しては、メトホルミン塩酸塩で効果不十分な2型糖尿病患者に対してエクメットの成分であるビルダグリプチンとメトホルミンを併用した場合、メトホルミン単剤と比較し、0.98(%)低くなったという結果が得られています。また、ビルダグリプチンで効果不十分な2型糖尿病患者に対してもビルダグリプチンとメトホルミンの配合錠の使用で、ビルダグリプチン単剤と比較し、同じく0.98(%)低くなったという結果が得られています。血糖値に関してはそれぞれの単剤使用と比較し28.42(mg/dL)、29.57(mg/dL)低くなっており、エクメットの有用性が確認されています。
1) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書

エクメットの使い方

エクメットの使い方は、LD、HDともに1回に1錠を1日2回使用するのが一般的な使い方となります。
エクメットの用法用量の詳細は以下の通りです。

【用法及び用量】
通常、成人には1回1錠(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として50mg/250mg又は50mg/500mg)を1日2回朝、夕に経口投与する。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
1.ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の用法・用量を考慮して、患者ごとに本剤の用量を決めること。
2.ビルダグリプチン50mg1日2回の単剤の治療により効果不十分な場合は、本剤LDから投与を開始すること。

エクメットの副作用

エクメットの副作用の頻度は臨床試験の結果からは19.9%とされており、主な副作用は便秘(2.9%)、アミラーゼ増加(2.5%)、下痢(2.1%)、悪心(1.7%)等とされています1)
その他、重大な副作用として特に注意喚起されているものに、乳酸アシドーシスが挙げられます。
乳酸アシドーシスはエクメットの臨床試験では報告されていないものの、エクメットの成分の一つであるメトホルミンにてもともと注意喚起されている副作用の一つです。
アシドーシスは体液のpHが酸性側に傾いた状態であり、乳酸アシドーシスは乳酸が増えることによって酸性に傾いた状態です。乳酸アシドーシスを発症すると死亡に至るケースもあるため、注意が必要な副作用の一つです。糖新生を抑制すると行った作用機序を有するビグアナイド系に特徴的な副作用の一つとされていますが、メトホルミンでは比較的頻度は低いと考えられているため、過度な心配は必要ありませんが、意識の低下、考えがまとまらない、判断力の低下、深く大きい呼吸、吐き気、嘔吐などの初期症状3)を複数感じた場合はすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
1) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書
3) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 患者向医薬品ガイド

エクメットの飲み合わせ

エクメットは他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)
併用注意が必要なものは以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
ヨード造影剤
腎毒性の強い抗生物質
ゲンタマイシン等
利尿作用を有する薬剤
利尿剤
SGLT2阻害剤等
アルダクトン、ラシックス
血糖降下作用を増強する薬剤
糖尿病用剤
スルホニルアミド系及びスルホニルウレア系薬剤
ビグアナイド系薬剤
インスリン製剤
チアゾリジン系薬剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
SGLT2阻害剤
速効型インスリン分泌促進剤
GLP-1受容体作動薬等
β-遮断剤
サリチル酸剤
MAO阻害剤
フィブラート系薬剤等
アマリール、メトグルコ
たん白同化ホルモン剤
血糖降下作用を減弱する薬剤
アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン
卵胞ホルモン
利尿剤
ニコチン酸
フェノチアジン系薬剤等
プレドニゾロン
ピラジナミド ピラマイド原末
イソニアジド イスコチン
有機カチオン輸送系を介して腎排泄される薬剤
シメチジン
タガメット
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 レニベース

上記の中のような薬のうち、特に注意したいのが、「利尿作用を有する薬剤」、「血糖降下作用を増強する薬剤」です。「利尿作用を有する薬剤」では乳酸アシドーシスを引き起こす可能性ある点、「血糖降下作用を増強する薬剤」は低血糖を引き起こす可能性がある点が併用注意の理由として挙げられています。

他に使用している薬がある場合には必ず事前に医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。

1) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書

エクメットの授乳中の使用

エクメットは授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。

授乳中の婦人には投与することを避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で、ビルダグリプチン及びメトホルミンが乳汁中へ移行することが報告されている。〕

エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書

上記の理由として、エクメットの成分であるビルダグリプチン、メトホルミンいずれも乳汁中中に移行することが知られているためです2)

実際に授乳中にエクメットを使用するかは、処方医の先生の判断となります。エクメットに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD インタビューフォーム

エクメットの妊娠中の使用

エクメットは妊娠中に使用することは禁忌とされており、使用することはできません。

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
【使用上の注意】
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔動物実験(ラット、ウサギ)でビルダグリプチン及びメトホルミンの胎児への移行が認められている。また、動物実験(ラット)でメトホルミンの催奇形作用が報告されている。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。〕

エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書

上記のようにエクメットでは明確に妊婦での使用が禁止されているため、妊娠中の場合や妊娠している可能性がある場合は必ず医師や薬剤師にその旨を伝えるようにしましょう。

エクメットの薬価、ジェネリック

エクメットの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はエクメット配合錠LD、エクメット配合錠HD共に1錠あたり85.2円となっています。
なお、エクメットの成分の一つであるビルダグリプチンの製品であるエクア錠50mgは1錠あたり80.1円、メトホルミンの製品であるメトグルコは250mgが9.9円、500mgが16.7円(ジェネリックが9.9円)であるため、単純に2つの薬剤を併用するよりも、エクメットを使用した方が幾分経済的と言えます。
なおエクメットには現時点ではジェネリック医薬品は販売されていません。

エクメットの市販での購入

エクメットの成分を含む市販薬は販売されておらず市販で買うことはできません。糖尿病治療薬は基本的に市販で買うことはできず必ず処方箋が必要な医薬品となるため、医師の適切な診察を受けた上で処方してもらうようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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