ベルソムラの効果や副作用|強さや禁忌、アルコールとの併用なども

ベルソムラの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中の使用、妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入等について添付文書等から解説していきます。

ベルソムラの特徴

ベルソムラはスボレキサントを成分とする不眠症に効果のある薬です1)
覚醒を促進するオレキシンが受容体へ結合することを阻害する、世界初のオレキシン受容体拮抗薬であり、脳を覚醒から睡眠へ移行させ、生理的なプロセスによる睡眠をもたらすという特徴があります2)
ベルソムラには10mg、15mg、20mgの規格があります。
1) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書
2) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg インタビューフォーム

ベルソムラの効果

ベルソムラは不眠症に効果がある薬です。
ベルソムラ添付文書の効能効果は以下のとおりです。

不眠症

ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書

ベルソムラの作用機序はオレキシン受容体拮抗作用

ベルソムラはオレキシンという覚醒を促す神経伝達物質の作用を阻害することにより、過剰な覚醒を抑え、睡眠作用をもたらします。
ベルソムラのこのような作用機序は従来のベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬とは異なる作用であり、従来の睡眠薬と違った自然な眠りが期待できます。

ベルソムラの効果時間と半減期

ベルソムラの効果発現時間、効果持続時間は臨床試験の結果が参考となります1)
効果発現時間の参考になるデータとして、ベルソムラ使用開始1週後の眠りにつくまでの時間であるsTSOm(主観的睡眠潜時)は、ベースラインの63.6分から14.5分短縮したとされており、この結果からは平均で40分程度で眠りにつくケースが考えられます。
効果持続時間の参考にあるデータとしては、ベルソムラ使用開始1週後の睡眠時間であるsTSTm(主観的総睡眠時間)は、ベースラインの322.4分から27.2分延長されたとされており、この結果からは平均すると6時間程度の効果持続が考えられます。
なお、ベルソムラの半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間)は10.0±1.0時間とされていますが1)、作用機序が異なるため、GABA系の睡眠薬と同じように半減期と効果の持続時間を推測することはできないとされています3)
1) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書
3) くすりのPoint|不眠症治療情報提供サイト www.e-mediceo.com

ベルソムラの実際の効果

ベルソムラの実際の患者さんに対する効果は臨床試験において確認されており、投与1週時、1ヵ月時、3ヵ月時の時点において、入眠障害、中途覚醒に対して効果が認められています2)
2) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg インタビューフォーム

ベルソムラの効果の強さ

ベルソムラは前述の通り、マイスリー、レンドルミン、ハルシオン、デパスなどの既存のGABA系の睡眠薬とは作用機序が異なるため、一概にその睡眠作用を比較することがはできません。
ベルソムラは非鎮静系睡眠薬に該当し、鎮静系睡眠薬に該当するGABA系の睡眠薬と比較すると主観的な眠気の自覚がないため、効果が弱いと感じるケースもあります4)
しかし、依存傾向も少ないことが期待されており、今後の安全性のデータの蓄積次第では睡眠薬の主流になる可能性も期待できます。
4) 内科医のための睡眠薬の使い方 診断と治療社

ベルソムラが効かない場合は

ベルソムラで効果を感じない場合に確認したい点として、食事の影響があります。ベルソムラは食事の影響を受けることが確認されており、空腹時の使用と比較しTmax(最大血中濃度到達時間)の延長が認めらています1)。Tmaxの延長により効果発現が遅れる可能性も考えれらるため、必ず空腹時に使用する必要があります。
その他、10mgで服用している場合は用量を増やせるケースもあるため、10mgで効果を感じない場合は医師に相談しましょう。

ベルソムラに糖尿病への効能はなし

ベルソムラが糖尿病に対して効果があるというような内容がテレビ番組などで紹介されたことがありますが、少なくとも現時点ではベルソムラの糖尿病に対する効能効果は認められていません1)
ベルソムラを使用する場合は必ず医師の指示通りの使用とし、正しい目的、用法用量で使用するようにしましょう。
1) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書

ベルソムラの使い方

ベルソムラの一般的な使い方は、1日1回、20mg1錠を寝る前に使用します。高齢者の場合は15mgを1錠が一般的となります。
ベルソムラの用法用量の詳細は以下の通りです。

通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。

ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書

ベルソムラの一包化、粉砕は推奨されない

ベルソムラは一包化、粉砕は推奨されていません。
無包装状態での安定性を確認した結果では、1日後より外観の変化(コーティング層のひび割れ)を認め、保存期間が増加するにつれ溶出速度の低下が認められたまた、錠剤が粉砕された状態での薬物動態解析、有効性試験、安全性試験は実施されておらず、その有効性・安全性を評価する情報は存在しない、とされているため2)、一包化や粉砕の処理は向いていないと考えられます。
2) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg インタビューフォーム

ベルソムラの副作用

ベルソムラの代表的な副作用は傾眠(眠気;4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)とされており、全体の副作用頻度は20.9%とされています1)。その他、浮動性めまい、悪夢も1%以上の頻度とされています。
ベルソムラは現時点では、重大な副作用は報告されていません。ただし、ベルソムラは世界において日本で先行されて発売されている新しい機序の薬であり、今後新たな副作用が報告される可能性あるため、十分い注意しながら使用するようにしまし、いつもと違う症状が現れた場合はすぐに医師に相談するようにしましょう。
1) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書

ベルソムラの飲み合わせ

ベルソムラは他の薬との飲み合わせに関して、併用できない薬(併用禁忌薬)、併用に注意が必要な薬(併用注意薬)がいくつかあります1)
CYP3Aを強く阻害する薬剤とは併用できない薬(併用禁忌薬)として注意喚起されています1)。併用禁忌とされている理由としてベルソムラの血中での濃度が高くなり、ベルソムラの作用が強く出る可能性があるためです。
CYP3Aを強く阻害する薬剤の具体例として、イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、テラプレビル、ボリコナゾールが挙げられています。このうち比較的多くの人で使用するケースがあるものとして抗生物質のクラリスロマイシンが挙げられます。クラリスロマイシンはクラリスやクラリシッドなどの製品名としても販売されており、風邪をひいたときや副鼻腔炎などでも非常によく処方される抗生物質の一つであり、多くの人が使用する機会があります。ベルソムラを使用中は別の病院、クリニックにかかる場合にも必ず使用している旨を伝えるようしましょう。
併用に注意が必要な薬(併用注意薬)としては以下のものがあります。

成分名等 代表的な薬剤
アルコール(飲酒)
中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等) コントミン、ヒルナミン
CYP3Aを阻害する薬剤
(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)
ヘルベッサー、ワソラン
CYP3Aを強く誘導する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等) テグレトール、ヒダントール
ジゴキシン

1) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書

ベルソムラ使用中はアルコールは避ける

前述の通り、ベルソムラとアルコールは、併用禁忌(併用できない)ではないものの、併用注意とされており、一定の危険性が伴います。
ベルソムラとアルコールが併用注意の理由として、ベルソムラとアルコールが共に中枢神経系を抑制する作用を有しており、精神運動機能の相加的な低下の可能性があるためとされています。
上記の理由からベルソムラを使用中の場合は基本的にはアルコールを避けるようにし、お酒の席があるような場合は、予め医師と薬の使用について相談しておくなどするようにしましょう。

ベルソムラの授乳中の使用

ベルソムラは授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。

授乳中の婦人にやむを得ず本剤を投与する場合は授乳を中止させること。〔動物実験 (ラット) でスボレキサントが乳汁中へ移行することが報告されている。〕

ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、動物実験において、乳汁への移行性が認められているためです2)

ベルソムラは開発されてから比較的新しい薬であり、乳幼児への影響もわかっていない点もあるため、可能であれば使用を避けるのが安全と言えそうです。

実際に授乳中にベルソムラを使用するかは、処方医の先生の判断となります。ベルソムラに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg インタビューフォーム

ベルソムラの妊娠中の使用

ベルソムラの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験 (ラット) では、交配前、交配期間中及び妊娠初期に臨床曝露量の70倍を投与した場合、黄体数、着床数及び生存胎児数の減少が、妊娠期に臨床曝露量の86倍を投与した場合、胎児体重の減少が認められた。また、妊娠から授乳期に臨床曝露量の49倍を投与した場合、出生児に一過性の体重低値が認められた。〕

ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、動物実験において薬剤が胎盤を通過することが示唆されている点、生殖発生毒性試験において、体重減少などの一定のリスクが確認されている点が挙げられます2)

ベルソムラは開発されてから比較的新しい薬であり、胎児への影響もわかっていない点もあるため、可能であれば使用を避けるのが安全と言えそうです。

実際に妊娠中にベルソムラを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。ベルソムラに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg インタビューフォーム

ベルソムラの薬価、ジェネリック

ベルソムラの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は20mg錠で1錠あたり107.9円、15mg錠で89.1円、10mg錠で68.0円となっています。
なお、ベルソムラには現時点でジェネリック医薬品は販売されていません。通常新薬は承認されてから一定の年数がたった後に再度審査を受ける必要があり、この期間を終えるまではジェネリック医薬品は販売されません。ベルソムラの再審査期間は2014年9月26日~2022年9月25日とされており、この期間の間はジェネリック医薬品は販売されません。また、特許期間に該当する場合はその期間もジェネリック医薬品は販売できません。

ベルソムラの市販での購入

ベルソムラの成分であるスボレキサントは通販や市販で買うことはできません。
ベルソムラの成分は処方薬の中でも新しい作用機序薬であり、今後も市販薬として販売される可能性はあまり高くないと言えます。
市販の睡眠補助剤として販売されるドリエルなどは全く別の機序の薬であり、ベルソムラと同じ作用を期待したい場合は市販薬でなく、必ず医師の適切な診察を受けてベルソムラを処方してもらう必要があります。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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