バナン錠の効果、副作用など|飲み合わせや市販での購入、妊婦や授乳中の使用についても

バナン錠について、その特徴、効果、使い方、飲み合わせ、副作用、妊婦・授乳婦の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

バナン錠の特徴

バナン錠はセフポドキシムを成分とするセフェム系の抗生物質です。咽頭・喉頭炎、急性気管支炎、肺炎などの呼吸器、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎などの泌尿器、中耳炎、副鼻腔炎の耳鼻科領域、歯科系領域など様々な感染症に効果がある薬です1)。セフェム系の中でも第三世代の経口セフェムに分類され、幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌力を特徴とする抗生物質です2)
1) バナン錠100mg 添付文書
2) バナン錠100mg インタビューフォーム

バナン錠の略語はCPDX-PR

抗生物質や抗菌剤は一般にその成分に基づいて略語で表示されることがあります。
ジェニナックの略語はセフポドキシム-プロキセチル(CefpodoximeProxetil)の成分名から取ってCPDX-PRとされています。

バナン錠の効果

バナン錠は咽頭炎、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症、中耳炎や副鼻腔炎などの耳鼻科領域感染症を始めとした幅広い感染症に効果がある抗生物質です。
バナン錠の効能効果の詳細は以下の通りです。

〈適応菌種〉
セフポドキシムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属
〈適応症〉
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、バルトリン腺炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

1) バナン錠100mg 添付文書

バナン錠の効果の作用機序は細菌細胞壁の合成阻害

バナン錠が細菌による感染症に対して効果を示す機序は、細菌の細胞壁の合成を阻害することによるものです1)

細胞壁は人にはない構造であり、細菌のみが持っている構造のため、バナン錠は人に対しては毒性が少なく、細菌に効果的に作用します。

1) バナン錠100mg 添付文書

バナン錠の効果は67.7〜94.1%の有効率

バナン錠の効果は実際の患者さんに対する臨床試験において確認されています。
実際の疾患に対する有効率は領域によっても異なりますが、その結果は67.7%〜94.1%の有効率となっています1)
主な疾患に対する効果として、咽頭炎、気管支炎、肺炎などの呼吸器に対しては83.2%の有効率、膀胱炎や腎盂腎炎などの泌尿器では76.3%の有効率、中耳炎や副鼻腔炎などの耳鼻科領域に対しては67.7%の有効率などが確認されています。

疾患領域 有効率(%)
呼吸器感染症 83.2
尿路感染症 76.3
外科・整形外科領域感染症 84.2
浅在性化膿性疾患 86.8
産婦人科領域感染症 94.1
耳鼻科領域感染症 67.7
歯科・口腔外科領域感染症 89.6

1) バナン錠100mg 添付文書

バナン錠はクラミジア感染には使用しない

幅広い感染症に使われるバナン錠ですが、クラミジア感染に対しては適応がありません。クラミジアに対してはマクロライド系であったりキノロン系などの別系統の抗菌剤が向いていると言えます。

バナン錠の使い方

バナン錠は通常1回に1錠、1日2回使用するのが一般的です。
バナン錠の用法用量の詳細は以下の通りです。

通常、成人にはセフポドキシム プロキセチルとして1回100mg(力価)を1日2回食後経口投与する。
なお、年齢及び症状に応じて適宜増減するが、重症又は効果不十分と思われる症例には、1回200mg(力価)を1日2回食後経口投与する。

バナン錠100mg 添付文書

腎機能が低下している場合は用量調節も

バナン錠は腎排泄型の抗生物質のため、腎機能が低下している場合には排泄遅延が起こる可能性があります。
実際に腎機能症状がある患者では薬の濃度が半分になるまでの時間(半減期)が延長することが確認されており1)、処方医の先生の判断によっては通常よりも少ない用量や、長い投与間隔を設けるケースがあります。

<用法及び用量に関連する使用上の注意>
1.高度の腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。

バナン錠100mg 添付文書

1) バナン錠100mg 添付文書

バナン錠の副作用

バナン錠の主な副作用は消化器症状であり、具体的には下痢・軟便が0.40%、胃部不快感が0.10%、嘔気・悪心・嘔吐が0.09%という結果が得られています1)
バナン錠は体内の細菌に対して殺菌的な効果を発揮しますが、このとき腸内の環境を整えている細菌に対しても影響を及ぼしてしまいます。したがって、バナン錠の投与により下痢が起こることはやむを得ない面もあり、バナン錠の使用を止めればほとんどのケースで回復するため、大きな心配は要りません。
ただし、あまりに症状がひどい下痢が続く場合は医師に相談しましょう。また、日常的に胃腸が虚弱な体質の方などでは医師に相談するとビオフェルミンRなどの整腸剤を処方してもらえるケースもあります。必要に応じて医師に相談しましょう。
1) バナン錠100mg 添付文書

バナン錠の飲み合わせ

バナン錠には飲み合わせに少し注意が必要な併用注意の薬があります。併用注意とは併用することが禁止されていないものの、併用する場合には注意が必要とされている薬剤や食品で、バナン錠では「アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤」が該当します1)
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤の代表例は、胃の保護を目的としたり、便秘の治療を目的として使用する酸化マグネシウムやマグミットが該当します。これらの薬とバナン錠を併用するとバナン錠の吸収が阻害され、バナン錠の効果を減弱する可能性があります。同時に服用しないなどの対処法が注意喚起されています。
1) バナン錠100mg 添付文書

バナン錠はお酒(アルコール)との飲み合わせは注意喚起されていない

バナン錠はお酒(アルコール)との飲み合わせに関して特別な注意喚起はありません。お酒と飲み合わせは基本的には大きな問題はないと言えます。
しかし、一般的に薬を使用している期間は、アルコールによる影響が全くないとは言い切れない面もあり、また、バナン錠を使用する場合は風邪の悪化の他、膀胱炎、肺炎、中耳炎などいわゆる急性疾患の症状がある場面が多いため、原疾患自体がアルコールを飲むのに適していない状態であるといえます。
従って、可能な限りバナン錠使用中の期間はお酒を控えるようにした方が賢明と言えるでしょう。あらかじめお酒の席が予定されているような場合は、処方医の先生に事前に相談し、対応方法などを話し合っておくのも良いでしょう。

ロキソニンなどとの飲み合わせも問題なし

バナン錠で飲み合わせに注意が必要な薬は前述の通りであり、ロキソニンやカロナールなどの痛み止めや、フスコデ、メジコン、アストミンなどの咳止め、ムコダイン、ムコソルバンなどの痰切り、アレロック、アレグラ、ザイザルなどの抗ヒスタミン薬などの薬との飲み合わせも問題ありません。
風邪などの急性疾患の場合には上記のような薬と合わせて処方されることもありますが、併用しても特に問題ないと言えるでしょう。

バナン錠の妊婦、授乳中の使用

バナン錠は妊婦、授乳婦に対してそれぞれ注意喚起されています。

バナン錠は妊婦に使用出来るケースも

バナン錠は製薬会社から妊娠中は医師の判断で使用することがあります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

バナン錠100mg 添付文書

なお、バナン錠の動物に対する生殖発生毒性試験では、妊娠中のラットに対して使用しても生存に影響を及ぼすようなことはなかったことが確認されています 2)
また、その他の情報として、虎の門病院「妊娠と薬」相談外来における相談事例では、妊娠中にバナンの成分を使用した事例が収集されていますが、その結果からは「認められた異常に共通性はなく、国内における自然奇形発生率を上回る変化とは考えられない」という見解が述べられています3)
実際に妊婦さんにバナン錠を使用するかは処方医の先生の判断が必要です。バナン錠に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合に妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断でバナン錠を使用するようなことは避けましょう。
2) バナン錠100mg インタビューフォーム
3) 株式会社じほう 実践 妊娠と薬 第2版

バナン錠は授乳婦に使用されるケースも

バナン錠は授乳中に関して、製薬会社からは薬の成分が母乳中に移行するため、授乳を一時的に中止するよう注意喚起されています。

投薬中は授乳させないよう注意すること。[母乳中へ移行する。]

バナン錠100mg 添付文書

ただし、母乳中に移行する量はかなり少量であることも確認されています。

産婦人科疾患の授乳婦3例に本剤200mgを単回経口投与した結果、乳汁中への移行は投与後2時間まで認められず、4~6 時間で3例中2例に0.05~0.13μg/mL認められた。

バナン錠100mg インタビューフォーム

また、バナン錠の成分は粉薬のドライシロップとして、1歳未満の乳児でも使用されることがある薬であり、仮に母乳経由で乳児に移行したとしても大きな問題はないと考えられます。
専門家による見解でも、バナンは授乳をしている場合でも使用可能という内容もあり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは小児にも適応がある薬のため、授乳婦に使用可能という内容です4)。大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、母乳中への移行は少量であり、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤 / 母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさない」という見解です5)

小児にも適応があり、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

母乳中への移行は少量で、母乳育児に適している。

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にバナン錠を使用するかは処方医の先生の判断が必要です。バナン錠に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断でバナン錠を使用するようなことは避けましょう。
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
5) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

バナン錠の薬価とジェネリック

バナン錠の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1錠あたり71.3円とされています。
また、バナン錠にはジェネリック医薬品が販売されており、セフポドキシムプロキセチル錠の名称で販売されています。ジェネリックの薬価は1錠あたり39.0円となっており、バナン錠よりも経済的と言えます。

バナン錠の市販での購入

バナン錠の成分を含む薬は市販で買うことはできません。必ず処方箋が必要となる薬であるため、医師の適切な診断を受けて処方してもらうようにしましょう。
また、手元にバナン錠が残っているケースや知人や家族からバナン錠をもらって自己判断で使用するのはリスクが高い種類の薬です。自己判断で使用するのはやめましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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