ナウゼリン坐剤の効果や副作用|子供と大人の適応や座薬(坐薬)の特徴

ナウゼリン坐剤の特徴、効果、使い方、副作用、併用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

ナウゼリン坐剤の特徴|ナウゼリンの座薬(坐薬)

ナウゼリン坐剤はドンペリドンを成分とし含み、吐き気や腹痛、食欲不振などの症状に対して効果が認められている座薬(坐薬)です1)
ナウゼリンの特徴として、抗ドパミン作用を有しており、CTZ(chemoreceptor trigger zone)に作用し、強い制吐作用を示します2)。子供にもよく使われる座薬のひとつであり、子供に対しては使用される場合には風邪などの上気道感染症や、周期性の嘔吐症、乳幼児の下痢における消化器症状に対して効果が認められています。
ナウゼリン坐剤にはドンペリドンの成分を10mg、30mg、60mg含む製剤であるナウゼリン坐剤10、ナウゼリン坐剤30、ナウゼリン坐剤60の3種類が販売されており、ナウゼリン坐剤10、ナウゼリン坐剤30は主に子供で使用、ナウゼリン坐剤60は主に大人で使用されます。
なお座薬は厳密には「坐薬」が正しい表記になりますが、今回は便宜的に「座薬」も併記いたします。
1) ナウゼリン坐剤10/ナウゼリン坐剤30/ナウゼリン坐剤60 添付文書
2) ナウゼリン坐剤10/ナウゼリン坐剤30/ナウゼリン坐剤60 インタビューフォーム

ナウゼリン坐剤の効果|吐き気止めの座薬(坐薬)

ナウゼリン坐剤は子供では風邪などを含む上気道感染症、乳幼児の下痢症、周期的な嘔吐症、他の薬剤使用時における吐き気や腹痛などの消化器症状に効果が認められています。
大人では胃・十二指腸手術後や他の薬剤使用時における吐き気や胸やけ、食欲不振などの消化器症状に対して効果が認められています。
ナウゼリン坐剤の効能効果の詳細は以下の通りです。

ナウゼリン坐剤60
成人:下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、胸やけ)
○胃・十二指腸手術後
○抗悪性腫瘍剤投与時
ナウゼリン坐剤10 ナウゼリン坐剤30
小児:下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、腹痛)
○周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道感染症
○抗悪性腫瘍剤投与時

ナウゼリン坐剤10/ナウゼリン坐剤30/ナウゼリン坐剤60 添付文書

ナウゼリン坐剤の作用機序

ナウゼリン坐剤の作用機序は、上部消化管とCTZ(chemoreceptor trigger zone)における抗ドパミン作用によるものです。
消化管はアセチルコリンという物質によって運動が活発になりますが、ドパミンによってアセチルコリンの放出が抑制されます。また、CTZのドパミン受容体が刺激されると嘔吐が引き起こされます。ナウゼリンはドパミンの受容体を阻害することによって消化管運動が抑制されることや嘔吐につながる刺激を防ぎます。

ナウゼリン坐剤の効果時間|座薬(坐薬)が溶ける時間は

ナウゼリン坐剤の効果が現れるまでの時間は約1時間程度と考えられています。
座薬(坐薬)が溶ける時間は個人差があるとされているものの、効果が現れるまでの時間が約1時間とされているため、これまでには溶け始めていると考えられます4)
なお、連続して使う場合は可能であれば7〜8時間の間隔、最低でも4時間の間隔を空けるように推奨されています4)
3) 社団法人 沖縄県薬剤師会 おくすりQ&A 子供と薬
4) 協和発酵キリン よくある医薬品Q&A

ナウゼリン坐剤の臨床成績

ナウゼリンの実際の患者さん対する効果は臨床試験において確認されています1)
子供に対する効果は、全体の有効率が76.2%、疾患別では周期性嘔吐症88.6%、上気道感染症79.3%、乳幼児下痢症74.6%、抗悪性腫瘍剤投与時60.5%であったとされています。
大人に対する効果は胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の消化管術後患者に対して有効率58.4%、抗悪性腫瘍剤投与時の消化器症状に対して有効率66.7%という結果が得られています。
1) ナウゼリン坐剤10/ナウゼリン坐剤30/ナウゼリン坐剤60 添付文書

ナウゼリン坐剤は下痢や熱に対する直接の効果はない

ナウゼリン坐剤は子供に対して、下痢症や風邪などの発熱疾患に対しても使用されるケースがありますが、ナウゼリンの効果はこれらの疾患に伴う吐き気や腹痛などの消化器症状に対して認められているものであり、下痢や熱に対して直接改善する作用はありません。
下痢や熱を抑えたい場合には別の薬剤が適しており、自己判断でこれらの症状に対して使用するのは避けましょう。

ナウゼリン坐剤の使い方|座薬(坐薬)として使用方法

ナウゼリン坐剤は、子供はナウゼリン坐剤10もしくはナウゼリン坐剤30を1日2〜3回、座薬(坐薬)として使用するのが一般的な使い方です。年齢別では3歳を境に、3歳未満ではナウゼリン坐剤10を使用、3歳以上ではナウゼリン坐剤30を使用するのが一般的です。
大人の場合はナウゼリン坐剤60を1日2回使用するのが一般的な使い方です。
ナウゼリン坐剤の用法用量は以下の通りです。

ナウゼリン坐剤60
成人:通常、ドンペリドンとして1回60mgを1日2回直腸内に投与する。
なお、年令、症状により適宜増減する。
ナウゼリン坐剤10 ナウゼリン坐剤30
小児:3才未満の場合、通常ドンペリドンとして1回10mgを1日2~3回直腸内に投与する。
3才以上の場合、通常ドンペリドンとして1回30mgを1日2~3回直腸内に投与する。
なお、年令、体重、症状により適宜増減する。

ナウゼリン坐剤10/ナウゼリン坐剤30/ナウゼリン坐剤60 添付文書

ナウゼリン坐剤は4時間以上の投与間隔を

ナウゼリン坐剤は症状が続いている場合でも連続して使用する場合は4時間以上の間隔を空けるようにしましょう。
この理由はナウゼリン坐剤の薬物動態において血中での濃度が半分になるのが約7時間とされており、短い間隔で使用することで血中での濃度が過度に高くなり副作用などのリスクが懸念されるためです。
製薬会社からは可能であれば7〜8時間、最低でも4時間以上の間隔を空けることが推奨されています4)
4) 協和発酵キリン よくある医薬品Q&A

ナウゼリン坐剤の副作用|座薬(坐薬)としての副作用頻度など

ナウゼリン坐剤の主な副作用は、子供に使用した場合は下痢(0.5%)、腹痛(0.2%)、大人に使用した場合は下痢、便意、肛門不快感、挿入時違和感等の消化器系(3.3%)、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇等の肝機能異常(0.5%)等とされています。
その他に注意したい副作用として錐体外路障害もあります。錐体外路障害は脳のドパミン受容体が阻害されることなどによって引き起こされることがあり、症状としては手指振戦(ふるえ)、筋硬直、頸・顔部の攣縮、眼球回転発作、焦燥感などがあります。ナウゼリンはこの錐体外路障害が比較的起きにくい消化管運動改善剤とされていますが、低頻度ながらも報告があるため、注意が必要です。
また、薬の副作用の定番である眠気やめまいなどの報告もあり、自動車運転などの機械操作についても注意喚起されています。

重要な基本的注意
2.本剤の投与により、間脳の内分泌機能調節異常、錐体外路症状等の副作用があらわれることがあるので、本剤の投与に際しては、有効性と安全性を十分考慮のうえ使用すること。
3.眠気、めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に注意させること。

ナウゼリン坐剤10/ナウゼリン坐剤30/ナウゼリン坐剤60 添付文書

ナウゼリン坐剤の併用|他の座薬(坐薬)との順番など

ナウゼリン坐剤には併用禁忌でないものの、併用に注意が必要なものがいくつかあります1)
ナウゼリン坐剤との飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
フェノチアジン系薬剤
ブチロフェノン系薬剤
ラウオルフィアアルカロイド薬剤
コントミン、セレネース
ジギタリス剤 ラニラピッド
抗コリン剤 アキネトン
CYP3A4阻害剤 クラリス

上記の薬剤のうち、CYP3A4阻害剤に関しては、抗生剤のクラリス(クラリスロマイシン)などは風邪などでも使われるケースもある薬です。これらの薬は実際には併用されるケースもありますが、使用している場合は必ず医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。

他の座薬(坐薬)とは間隔を空けて使用

ナウゼリン坐剤と他の座薬(坐薬)を併用する場合で、よくある例として、解熱剤のアンヒバ、アルピニー、カロナールなどのアセトアミノフェン坐剤を併用することがあります。
この場合は順番に注意が必要であり、
 
①ナウゼリン坐剤を使用、30分以上の間隔を空けて
②アセトアミノフェン坐剤(アンヒバ、アルピニー、カロナール)を使用
の順番で使用する必要があります。
この理由は、ナウゼリン坐剤に含まれる成分は油に溶けやすい性質を持っており、油性の基剤が使われているアセトアミノフェンの座薬(坐薬)を先に使ったり間を空けずに使用すると、ナウゼリンの成分がアセトアミノフェンの座薬(坐薬)の基剤に吸収されてしまい、ナウゼリン坐剤の効果が発揮されにくくなるためです3)
この傾向は痙攣を抑制する目的で使うダイアップ坐剤でもナウゼリン坐剤と同じことが言えます。なお、水溶性基剤が使用されているナウゼリン坐剤とダイアップ坐剤を併用する場合は、より優先したい方を先に使用するため、痙攣を改善する目的のダイアップ坐剤を先に使用し、その後30分程度経ってからナウゼリン坐剤を使用するようにしましょう。
3) 社団法人 沖縄県薬剤師会 おくすりQ&A 子供と薬

ナウゼリン坐剤の薬価、ジェネリック

ナウゼリン坐剤の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は、ナウゼリン坐剤10で1個あたり57.8円、ナウゼリン坐剤30で95.6円、ナウゼリン坐剤60で129.3円となっています。
ナウゼリン坐剤10と30にはジェネリック医薬品が販売されており、アースレナン坐剤、ドンペリドン坐剤などの名称で販売されています。ジェネリック医薬品は10mg坐剤で1個あたり32.6円、30mg坐剤で45.6〜55.6円となっておりナウゼリン坐剤よりもやや経済的と言えます。
ナウゼリン坐剤60には現在ジェネリク医薬品は販売されていません。

ナウゼリン坐剤の市販での購入

ナウゼリン坐剤の成分を含む薬は市販では購入することができません。また、ナウゼリンと比較的成分が近いものや、代替となるような座薬(坐薬)も市販では買うことはできません。
市販薬の吐き気止めになるような薬としては、胃の不調が原因であれば制酸剤のサクロンや健胃薬の太田胃散、車酔いなどが原因であれば鎮うん薬のトラベルミンなどがありますが、いずれも飲み薬であり、ナウゼリン坐剤を使用する場合は必ず医師の診察の上、処方してもらう必要があります。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。

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