ナイキサン100mgの効果や副作用|ロキソニンとの違いや作用機序についても

ナイキサン100mgの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳・妊娠中の使用、薬価・ジェネリック、市販での購入、ロキソニンとの違いなどについて添付文書等から解説していきます。

ナイキサンの特徴

ナイキサン100mgはナプロキセンを成分とし、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される解熱鎮痛薬の一つです。
腰痛症や肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群(肩こり)の他、痛風の発作、月経困難症(生理痛)、抜歯後の痛みにも使用される痛み止めです1)
NSAIDsの中でも、中時間持続型に属する非ステロイド性消炎鎮痛剤で、持続性のある鎮痛効果を示し2)、ロキソニンなどよりも持続時間が長いという特徴があります。
また、比較的消炎鎮痛効果が高く、関節内への移行が良いというメリットの反面、消化管障害が多いともされています3)
1) ナイキサン錠100mg 添付文書
2) ナイキサン錠100mg インタビューフォーム
3) 医学書院 Pocket Drugs 2017

ナイキサンの効果

ナイキサン100mgは生理痛(月経困難症)、腰痛、肩こり(頸肩腕症候群)、五十肩(肩関節周囲炎)、抜歯後の痛みなどに効果がある薬です。
ナイキサンの効能効果の詳細は以下の通りです。

○下記疾患の消炎、鎮痛、解熱
関節リウマチ、変形性関節症、痛風発作、強直性脊椎炎、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎、月経困難症、帯状疱疹
○外傷後並びに手術後の消炎、鎮痛
○歯科・口腔外科領域における抜歯並びに小手術後の消炎、鎮痛

ナイキサン錠100mg 添付文書

ナキサンの作用機序

ナイキサン100mgの主な作用機序はプロスタグランジン生合成の抑制です1)
ナイキサンはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を阻害し、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の生合成を阻害することによって鎮痛効果がもたらされます。
1) ナイキサン錠100mg 添付文書

ナイキサンの効果時間

ナイキサンの効果時間や効果時間について参考になるデータとして、動物実験の結果があります。
ナイキサンの解熱作用を確認した実験では使用した11時間後に効果が確認でき、25時間以上継続したという結果でした。この点からナイキサンは比較的長時間、効果が持続することが推察されます。

解熱作用:アジュバント投与による発熱に対しナプロキセン 20mg/kg 投与されたラットにおいて投与 11 時間後に有意な解熱効果が認められ,25 時間以上の効果の持続がみられた。

ナイキサン錠100mg インタビューフォーム

ナキサンの効果は48.6〜86.2%の有効率

ナイキサン100mgの効果は実際の人に対する臨床試験によって有効率が確認されています。
代表的な疾患に対する有効率は、関節リウマチに対して48.6%の有効率、痛風発作に対して82.6%の有効率、腰痛症に対して60.6%の有効率、肩こり(頸肩腕症候群)に対して62.2%の有効率、月経困難症(生理痛)に対して63.9%の有効率などが挙げられます1)

疾患名 有効率(有効以上)
関節リウマチ 48.6%(87/179)
変形性関節症 55.8%(149/267)
痛風発作 82.6%(76/92)
強直性脊椎炎 61.3%(19/31)
腰痛症 60.6%(97/160)
肩関節周囲炎 73.3%(63/86)
頸肩腕症候群 62.2%(56/90)
腱・腱鞘炎 68.5%(50/73)
月経困難症 63.9%(69/108)
帯状疱疹 86.2%(188/218)
外傷後・手術後 54.4%(191/351)
抜歯後・小手術後 69.2%(301/435)
1) ナイキサン錠100mg 添付文書

ナイキサンの使い方

ナイキサン100mgは通常は1回に1〜2錠を1日2〜3回使用します。また、痛風発作には少し多めの4〜6錠使用します。
ナイキサンの効能効果の詳細は以下の通りです。

通常、成人にはナプロキセンとして1日量300~600mg(本剤3~6錠)を2~3回に分け、なるべく空腹時をさけて経口投与する。痛風発作には初回400~600mg(本剤4~6錠)を経口投与する。頓用する場合及び外傷後並びに術後初回には300mg(本剤3錠)を経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

ナイキサン錠100mg 添付文書

ナイキサンは腎機能に注意して使用

ナイキサン100mgは主として腎臓から排泄される性質の薬です1)
重篤な腎障害がある場合にはナイキサンは使用することができません。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
3) 重篤な腎障害のある患者〔腎血流量を低下させることがあるので、腎障害をさらに悪化させるおそれがある。〕

ナイキサン錠100mg 添付文書

 
また、重度でない腎障害の場合も慎重に使用するように注意喚起されている薬です。

【使用上の注意】
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
6)腎障害又はその既往歴のある患者及び腎血流量が低下している患者

ナイキサン錠100mg 添付文書

このように腎機能が低下している場合にはナイキサンの使用について注意が必要なため、腎障害がある場合には必ず医師や薬剤師に伝えておきましょう。

1) ナイキサン錠100mg 添付文書

ナイキサンの副作用

ナイキサンの主な副作用は胃腸障害(0.6%)、腹痛・胃痛・胃部不快感(1.3%)、悪心・嘔吐(0.4%)、食欲不振(0.3%)、発疹(0.3%)、浮腫(0.2%)などとされています1)
胃腸障害や胃部不快感などはナイキサンのシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用のうち、COX-1を阻害することによってもらたらせると考えられています。COX-1は胃粘膜保護に関連しているため、COX-1を阻害すると胃荒れを引き起こすことにつながります。

1) ナイキサン錠100mg 添付文書

ナイキサンの飲み合わせ

ナイキサンは他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)
併用注意が必要なものは以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
ヒダントイン系抗てんかん剤
(フェニトイン)
ヒダントール
スルホニル尿素系血糖降下剤
(クロルプロパミド、トルブタミド、グリベンクラミド)
アマリール
抗凝固剤
(ワルファリン、ダビガトランエテキシラート等)
ワーファリン、プラザキサ
抗血小板剤
(クロピドグレル等)
プラビックス
プロベネシド ベネシッド
メトトレキサート リウマトレックス
降圧剤
(β遮断剤、利尿剤、ACE阻害剤、A-Ⅱ受容体拮抗剤等)
メインテート、ラシックス
ACE阻害剤
A-Ⅱ受容体拮抗剤
ディオバン、オルメテック
リチウム製剤
(炭酸リチウム)
リーマス
ジドブジン レトロビル
ニューキノロン系抗菌剤
(エノキサシン等)
クラビット
イグラチモド ケアラム
アスピリン製剤
(抗血小板剤として投与している場合)
アスピリン

1) ナイキサン錠100mg 添付文書

ナイキサンの授乳・妊娠中の使用

ナイキサンは授乳中、妊娠中の使用についてそれぞれ注意喚起されています。

ナイキサンの授乳への影響

ナイキサンの授乳中の使用は、製薬会社からは避けることが望ましいとされており、授乳中に使用する場合は授乳を注意するよう注意喚起されています。

授乳中の婦人に投与する場合には授乳を避けさせること。〔母乳中への移行が報告されている。〕

ナイキサン錠100mg 添付文書

その理由として、ナイキサンの成分は母乳中に移行することが確認されています。

(3)乳汁への移行性:
該当資料なし

<参考>外国人でのデータ
血中濃度の約 1%の濃度が乳汁中から検出されている。

ナイキサン錠100mg インタビューフォーム

ただし、専門家による見解では、ナイキサンは授乳をしている場合でも使用できるという内容もあり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、母乳中に移行する量は少ないため、使用できるという見解です4)。また、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、通常量であれば可能という内容であり、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解です5)

母乳へ移行する量が少なく、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

新生児を避け通常の治療量であれば問題ない。生後1週間の乳児に出血時間延長、出血性貧血が起きた報告あり。

母乳とくすりハンドブック

 
実際に授乳中にナイキサンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。ナイキサンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
5) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

ナイキサンの妊娠中の使用

ナイキサンの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、医師の判断によっては使用できるケースがあります。ただし、妊娠後期に関しては、禁忌(使用できない)となります。

1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕
2.妊娠後期には投与しないこと。〔動物実験で周産期・授乳期投与により母体への影響(ラット:妊娠期間延長、死亡)及び新生児毒性(ウサギ、マウス:死産児数増加、離乳率の抑制)並びに胎児毒性(ラット(妊娠末期):動脈管収縮)が報告されている。〕

ナイキサン錠100mg 添付文書

ナイキサンは動物実験において胎盤関門の通過性や、特に周産期における影響が確認されています。

分布

(2) 血液-胎盤関門通過性
該当資料なし

<参考>動物でのデータ
通過する(マウス)。

毒性試験

(3) 生殖発生毒性試験

ラットでの妊娠前及び妊娠初期投与試験において,雌雄の繁殖能,胎児に
対する影響は認められなかった。
また,ラット,マウスでの器官形成期投与試験においても催奇形作用は認
められなかった。
マウス,ラット,ウサギでの周産期投与及び授乳期投与試験において,ラットでは 10mg/kg で妊娠期間の延長,母獣の周産期死亡が認められ,5mg/kg 以上で,死産児数が増加したが,ウサギでは 40mg/kg,マウスでは 80mg/kg で死産児数の増加及び離乳率の抑制が認められた。

ナイキサン錠100mg インタビューフォーム

実際に妊娠中にナイキサンを使用するかについても、授乳中と同様、処方医の先生の判断となります。ナイキサンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

ナイキサンの薬価とジェネリック

ナイキサン100mgの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1錠あたり7.4円となっています。
なお、ナイキサンにはジェネリック医薬品はありません。

ナイキサンの市販の販売

ナイキサンの成分であるナプロキセンは市販薬の成分としては販売されておらず、市販では購入できません。
痛み止めを市販で購入したい場合はロキソニンの成分であるロキソプロフェン、それに近い成分であるイブプロフェン、カロナールの成分であるアセトアミノフェンなどを含んだ市販薬が一般的となります。

ナイキサンとロキソニンの違い

ナイキサンとロキソニンはNSAIDsの中でも同じプロピオン酸系に分類され、比較的違い解熱鎮痛薬と言えます。
ナイキサンとロキソニンの違いとして、作用時間が挙げられます。ナイキサンはどちらかといえば効果が出るまでの時間が穏やかでであり、長時間効果が持続することが期待できす。一方ロキソニンは効果が出るまでの時間が速く、速ければ15分程度で効果を感じるケースもある一方、作用時間は短めとなります。その他、ロキソニンには風邪などの上気道炎症における解熱作用が効能効果としてありますが、ナイキサンには解熱の効能効果は明記されていません。その作用機序から実際にはナイキサンにも解熱作用は期待できますが、解熱に使う場合はロキソニンの方が適切と言えます。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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