スピロペントの効果や副作用|薬価や喘息、泌尿器における使用などについて

スピロペントについて特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

スピロペントの特徴

スピロペントはクレンブテロールを成分とし、気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎などによる呼吸困難症状や、腹圧性尿失禁の泌尿器症状にも効果がある薬です1)
スピロペントの特徴として、呼吸器領域と泌尿器領域のいずれに対しても効果がある薬であるという点が挙げられ、β2受容体刺激作用による気道の拡張効果、膀胱平滑筋の拡張効果が期待できる薬です2)
スピロペントには通常の錠剤であるスピロペント錠10μgと、顆粒状の薬であるスピロペント顆粒0.002%の2種類があります。
1) スピロペント錠10μg/スピロペント顆粒0.002% 添付文書
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スピロペントの効果

スピロペントには喘息などの気道障害における呼吸困難の改善、尿失禁などの泌尿器系の障害を改善する効果があります。
スピロペントの効能効果の詳細は以下の通りです。

下記疾患の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解
気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎
下記疾患に伴う尿失禁
腹圧性尿失禁

スピロペント錠10μg/スピロペント顆粒0.002% 添付文書

スピロペントの作用機序

スピロペントの作用機序は平滑筋に対するβ2受容体刺激作用です。
スピロペントは呼吸器領域においては、気管及び気道平滑筋を弛緩させ、気管支痙攣の緩解作用並びに抗喘息作用を発現します。また、泌尿器領域では、膀胱平滑筋を弛緩、外尿道括約筋の収縮を増強することで、畜尿機能を改善するとされています2)
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スピロペントの実際の効果

スピロペンの実際の患者さんに対する効果は臨床試験において確認されています。
呼吸器領域、泌尿器領域における疾患の改善率は以下の通りであり、代表的な疾患別では、気管支喘息に対しては45.9%、腹圧性尿失禁に対しては50.8%の改善率が確認されています1)

対象疾患名 錠と顆粒の計
気管支喘息 45.9%(323/704)
小児喘息 57.8%(96/166)
慢性気管支炎・肺気腫 37.9%(55/145)
急性気管支炎 66.0%(93/141)
腹圧性尿失禁 50.8%(155/305)

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スピロペントの使い方

スピロペントは大人の場合、1回に2錠、1日2回使用するのが一般的な使い方となります。
喘息などの呼吸器に対しては朝と寝る前、泌尿器で使用する場合は朝と夕に使用します。
スピロペントの用法用量の詳細は以下の通りです。

1. 気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎
通常、成人には1回クレンブテロール塩酸塩として20μgを1日2回、朝及び就寝前に経口投与する。
頓用として、通常、成人には1回クレンブテロール塩酸塩として20μgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
5歳以上の小児には、1回クレンブテロール塩酸塩として0.3μg/kgを1日2回、朝及び就寝前に経口投与する。
頓用として、5歳以上の小児には通常、1回クレンブテロール塩酸塩として0.3μg/kgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤の頓用を反復しなければならない場合には、早急に医師の指示を受けさせること。
2. 腹圧性尿失禁
通常、成人には1回クレンブテロール塩酸塩として20μgを1日2回、朝及び夕に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、60μg/日を上限とする。

スピロペント錠10μg/スピロペント顆粒0.002% 添付文書

スピロペントは子供でも使用可能

スピロペントは子供でも使用することができる薬です。前述の通り、5歳以上では呼吸器における使用において、0.3μg/kgという用量が設定されており、比較的安全に使用することができる薬です。なお、4歳以下では医師の判断が必要となります。

スピロペントの副作用

スピロペンの主な副作用は、振戦(ふるえ)、動悸、腹痛などが認められています。
副作用の頻度は、呼吸器に使用した場合が、振戦(2.0%)、動悸(1.2%)であり、泌尿器に使用した場合が、振戦(3.6%)、腹痛(0.9%)となっています1)
重篤な副作用はほとんど認められていないものの、外国において、重篤な血清カリウム値の低下が報告されているため、血液検査の結果も念のため、注意が必要となります。
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スピロペントの飲み合わせ

スピロペントは他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)
併用注意が必要なものは以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
カテコールアミン製剤
アドレナリン
イソプロテレノール等
キサンチン誘導体
テオフィリン
アミノフィリン水和物
ジプロフィリン等ステロイド剤
ベタメタゾン
プレドニゾロン
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム等利尿剤
フロセミド等
テオドール、ラシックス

1) スピロペント錠10μg/スピロペント顆粒0.002% 添付文書

スピロペントの授乳中の使用

スピロペントは授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。

本剤投与中は、授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で、乳汁への移行性を有することが報告されている。]

スピロペント錠10μg/スピロペント顆粒0.002% 添付文書

上記のような注意喚起がされている理由は、動物実験において、乳汁への移行性が報告されているためです2)

実際に授乳中にスピロペントを使用するかは、処方医の先生の判断となります。スピロペントに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

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スピロペントの妊娠中の使用

スピロペントは妊娠中の使用に関して、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦または妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[ヒト妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で、妊娠後期に投与すると子宮筋の収縮を抑制して分娩遅延をおこすこと及び胎盤通過性を有することが報告されている。]

スピロペント錠10μg/スピロペント顆粒0.002% 添付文書

スピロペントは動物実験において、胎盤を通過することが確認されており、また妊娠後期には分娩遅延をおこすことが報告されています2)。ただし、生殖発生毒性試験では催奇形性は認められなかったという報告もあります2)

実際に妊娠中にスピロペントを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。スピロペントに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) スピロペント錠10μg/スピロペント顆粒0.002% インタビューフォーム

スピロペントの薬価、ジェネリック

スピロペントの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はスピロペント錠10μgで1錠あたり14.4円、スピロペント顆粒で1gあたり30.0円となっています。
スピロペント(1日4錠)のみを14日分、28日分処方された場合の薬局でかかる費用を簡易的に計算すると、1日あたりの薬剤料が
14.4(円) × 4(錠) ≒ 60(円)
となり、14日分だと
60(円) × 14(日) = 840(円)
であり、その他に調剤技術料が調剤基本料41点(薬局によって異なる)と調剤料14日分で100点程度(1000円程度)、薬学管理料が50点(500円)と仮定すると
840円(薬剤料)+ 1500円(調剤技術料+薬学管理料)= 2340円
となり、3割負担だとおおよそ700円となります。
28日分だと薬剤料の日数が変わり、
60(円) × 28(日) = 1680(円)
調剤技術料の調剤料も日数に応じて調剤料が80点となるため120点程度(1200円程度)に変わり、
1680円(薬剤料)+ 1700円(調剤技術料+薬学管理料)= 3380円
となり、3割負担だとおおよそ1000円となります。
上記は調剤基本料が41点、薬学管理料が50点、自己負担が3割の仮定であるため、薬局や来局状況、年齢等によって多少上下します。
なお、スピロペント錠にはジェネリック医薬品が販売されており、トニール錠という製品名で販売されています。薬価は1錠あたり5.7円とされており、スピロペント錠よりも安価で手に入ります。
スピロペントをジェネリックに変更してトニールで上記と同じ計算をすると1日あたりの薬剤料が20円となり、14日、28日分それぞれで
(20(円)×14(日))(薬剤料)+ 1500円(調剤技術料+薬学管理料)= 1780(円)
1780(円)× 0.3(3割負担) ≒ 530(円)
(20(円)×28(日))(薬剤料)+ 1700円(調剤技術料+薬学管理料)= 2260(円)
2260(円)× 0.3(3割負担) ≒ 680(円)
となり、14日分では700円 – 560円 = 140円 程度、28日分では1000円 – 680円 = 320円 程度支払いが少なくなります。

スピロペントの市販での購入

スピロペントの成分であるクレンブテロールは市販では販売されていない成分であり、市販薬としては購入することはできません。
必ず医師の診察を受けて処方してもらうようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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