インフルエンザに使える解熱剤は?ロキソニンやカナロールなどインフルエンザの解熱剤の注意点も解説

インフルエンザの時に使用できる解熱剤、使用に注意が必要な解熱剤を解説します。カロナールやイブプロフェン、ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、アスピリン、エテンザミドなど、具体的な薬剤名を確認するのに参考にしてください。

インフルエンザの時の解熱剤は必要最低限に

インフルエンザの時に解熱剤を使用する場合は、必要最低限の使用が推奨されます。
その理由として、インフルエンザで解熱剤を使用してもインフルエンザがなることはなく、あくまで熱の症状に対して作用するだけである点、発熱は本来、生体において必要なメカニズムであり、解熱剤で熱を下げることで、ウイルスを排除する防御機能を阻害する可能性もある点です。
しかし、高熱が長時間続くことによるデメリットも大きく、食事ができないことによる体力の低下や脱水症状、最低限の日常生活ができなるなるなど、場合によっては熱を下げた方が良いケースも当然あります。特に子供においては高熱が持続することで生命の危険が及ぶケースも中にはあるため必要に応じて解熱剤を使う方が望ましい場合もあります。
したがって、インフルエンザにおける解熱剤の使用は、患者の年齢や症状、生活状況などを考慮し、必要最低限の使用が推奨されます。

インフルエンザの時に推奨される解熱剤|ロキソニンやカロナールは?

インフルエンザの時に使用する解熱剤で最も推奨されるのは、アセトアミノフェンを成分とする製剤のカロナールコカールアンヒバアルピニーなどです。
カロナールなどのアセトアミノフェン製剤はロキソニンなどに代表される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と比較し、シクロオキシゲナーゼ阻害作用が少なく、副作用も少ないとされており、小児でも使用できる解熱剤とされています。
また、日本小児学会もインフルエンザに対する解熱剤に関してはアセトアミノフェンを推奨しています。

一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。

平成12年11月12日 日本小児科学会理事会

カロナールなどのアセトアミノフェン製剤以外では、ブルフェンなどのイブプロフェン製剤も比較的安全に使用することができると考えられており、小児でも安全面ではアセトアミノフェンと差がなく、アセトアミノフェンよりも高い解熱効果が得られ、問題なく使用できるという報告もあります1)

解熱鎮痛剤の代表的なロキソニンなどのロキソプロフェン製剤に関しては、特に推奨も特別な注意喚起もされていません。積極的な使用は望まれませんが、明確に避ける理由もないと言えるでしょう。ただし、小児に関しては、ロキソニンは推奨されません。ロキソニン自体がそもそも小児に使われる薬ではないからです。

以上の点から、インフルエンザの時に使用する解熱剤として、小児での使用も含め最も推奨されるのはカロナール、コカール、アンヒバ、アルピニーなどのアセトアミノフェン製剤、続いてブルフェンなどのイブプロフェン製剤と言えるでしょう。

1) Sulliva JE, et al.; Pediatrics 127: 580-587, 2011

インフルエンザの解熱剤、市販で買えるものは?|使用可能と考えられる市販薬について

インフルエンザが疑われる時は医師の診察を受けるのが最も優先される事項ですが、クリニックが休みなどの理由から、すぐには診察を受けられない場合にどうしても解熱剤を使用したいというときは、市販の解熱剤でも使用可能と考えられるものがあります。
前述の通り、インフルエンザの時に推奨される解熱剤はアセトアミノフェン、もしくはイブプロフェンです。
アセトアミノフェンを含む代表的な製品はタイレノールAです。こちらは1錠中にアセトアミノフェンを300mg含んでおり、処方薬のカロナール300と同じ効果が期待できます。
小児で使用したい場合には小児用バファリンチュアブル小児用バファリンCIIがアセトアミノフェンのみを成分とする薬であり、比較的安全に使用できます。
イブプロフェン製剤ではイブリングルアイビーなどがイブプロフェンのみを含む市販薬となります。
注意として、アセトアミノフェン、イブプロフェンともに、単一成分だけでなく、複数の成分が含まれて市販薬として販売されているケースが多い成分です。止むを得ずインフルエンザに使用する場合は、解熱剤以外の成分は含まれていない方が適切であり、場合によっては、インフルエンザではやや危険と言われているサリチル酸系のNSAIDs成分が一緒に含まれている可能性もあるため、総合感冒薬など複数の成分が含まれているものは避け、基本的には単一成分の市販薬を選びましょう。

インフルエンザの時に注意が必要な解熱剤

インフルエンザの時にはボルタレンなどのジクロフェナク製剤、ポンタールなどのメフェナム酸製剤のほか、アスピリンエテンザミドなどサリチル酸系の解熱剤は注意が必要とされています。
 
ジクロフェナクやメフェナム酸を含む解熱鎮痛剤はインフルエンザ脳症での使用にて死亡率を上昇させたという報告があります2)。この報告からもインフルエンザの際はカロナールなどの成分であるアセトアミノフェンを使用することが安全と言えます。
インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用

全症
例数
死亡
者数
死亡率
解熱剤を使用せず 63 16 25.4
アセトアミノフェン
(カロナールなど)
78 23 29.5
ジクロフェナク 25 13 52.0
メフェナム酸 9 6 66.7
その他の解熱剤 22 5 22.7

2) 平成11年度厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」
サリチル酸系のアスピリンやサリチルアミド、エテンザミドに関しては、ライ症候群との関連性が指摘されており、特に小児おいてはインフルエンザ時は原則投与しないことが注意喚起されています。

サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤を15才未満の水痘、インフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。
[ライ症候群:小児において極めてまれに水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST(GOT)・ALT(GPT)・LDH・CK(CPK)の急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。]

アスピリン原末「マルイシ」 添付文書

サリチル酸系の薬は市販でもバファリンA(アスピリンを含有)や、新セデス錠(エテンザミドを含有)など多数の市販薬に含まれているため、注意が必要です。同じブランド名の中でも、インフルエンザに使用できる成分と注意が必要な成分が混在しているケースがあり、バファリンシリーズでは小児用バファリンはアセトアミフェンを含みますが、通常のバファリンAではアスピリンが成分となるため、注意が必要です。

上記のように、インフルエンザでは使用に注意が必要な解熱剤も多数あるため、基本的には自己判断で使用せず、医師の診察を受けて処方してもらうのが最も安全と言えるでしょう。どうしても自己判断で使用したいような緊急の場合でも、その成分がインフルエンザ使用できる成分のみを含んだ薬であるかを確認して使用するようにしましょう。

薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
 
 
 

コメント Deprecated: strip_tags(): Passing null to parameter #1 ($string) of type string is deprecated in /home/satori5547/otc-drug-info.jp/public_html/wp-content/themes/cocoon-master/lib/html-forms.php on line 318

タイトルとURLをコピーしました