ワンアルファの効果や副作用|抜歯での使用やアルファロールとの違いについても

ワンアルファの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説せていきます。

ワンアルファの特徴

ワンアルファ(一般名:アルファカルシドール)は、ビタミンD代謝異常の症状や骨粗鬆症に対して効果があるビタミンD製剤です1)
ワンアルファの特徴は、カルシウム代謝・骨代謝を活性化することにより、症状を改善し、効果発現が速く、投与中止による作用消失も速い、微量で有効であるなどの点が挙げられます2)
 
ワンアルファには錠剤の0.25μg錠、0.5μg錠、1μg錠、液剤の内用液0.5μg/mLの種類があります。
今回は主にワンアルファの0.25μg錠、0.5μg錠、1μg錠について確認していきます。
1) ワンアルファ錠0.25μg/ ワンアルファ錠0.5μg/ ワンアルファ錠1.0μg 添付文書
2) ワンアルファ インタビューフォーム

ワンアルファとアルファロールの違い

ワンアルファと同じアルファカルシドールの成分を含む薬としてアルファロールがあります。
ワンアルファとアルファロールの違いとして剤型が挙げられます。ワンアルファの主な剤型は錠剤ですが、アルファロールの主な剤型はカプセル剤となります。
また、アルファロールには3μg製剤があるのが特徴です。
また、薬の価格である薬価についてもワンアルファとアルファロールで若干の違いがあり、0.25μg製剤ではワンアルファが20.4円、アルファロールが20.2円、0.5μg製剤ではそれぞれ37.4円と38.4円、1μg製剤ではそれぞれ67.5円、70.5円となっています。
ジェネリック医薬品の数にも違いがあり、ワンアルファ錠ではカルフィーナという製品1種類のみですが、アルファロールカプセルでは複数のジェネリック医薬品が販売されいます。
なお、ワンアルファ錠の特徴の一つとして、油性溶剤を除去しているため、カプセル剤に比し消化器系副作用が少ない点が挙げられています2)
2) ワンアルファ インタビューフォーム

ワンアルファの効果

ワンアルファはビタミンD代謝異常の症状や骨粗鬆症に対して効果がある薬です。
ワンアルファ錠の効能効果の詳細は以下の通りです。

1.下記の疾患におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、テタニー、骨痛、骨病変等)の改善
(1)慢性腎不全
(2)副甲状腺機能低下症
(3)ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症
2.骨粗鬆症

ワンアルファ錠0.25μg/ ワンアルファ錠0.5μg/ ワンアルファ錠1.0μg
添付文書

ワンアルファの作用機序

ワンアルファの主な作用機序は、小腸からのカルシウム吸収促進作用です。
骨形成においてカルシウムは重要な役割を果たしますが、カルシウムの吸収や代謝においてビタミンDが必要となります。ワンアルファは肝臓で代謝を受けることにより、活性型ビタミンD3として作用し、小腸でのカルシウム吸収を促進し、骨の形成を促進します。

ワンアルファの効果は70.9〜51.4%の有効率

ワンアルファの実際の患者さんに対する効果は臨床試験において確認されています。
骨粗鬆症に対しては51.4%、慢性腎不全に対しては70.9%の有効率が確認されています1)
1) ワンアルファ錠0.25μg/ ワンアルファ錠0.5μg/ ワンアルファ錠1.0μg 添付文書

ワンアルファの使い方

ワンアルファの使い方は、疾患によって異なっており、慢性腎不全、骨粗鬆症の場合は0.5μgもしくは1.0μg錠を1日1回1錠を使用し、副甲状腺機能低下症、その他のビタミンD代謝異常に伴う疾患では1〜4.0μgを1日1回使用します。
ワンアルファの用法用量の詳細は以下の通りです。

本剤は、患者の血清カルシウム濃度の十分な管理のもとに、投与量を調整する。
(1) 慢性腎不全、骨粗鬆症の場合
通常、成人1日1回アルファカルシドールとして0.5~1.0μgを経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減する。
(2) 副甲状腺機能低下症、その他のビタミンD代謝異常に伴う疾患の場合
通常、成人1日1回アルファカルシドールとして1.0~4.0μgを経口投与する。ただし、疾患、年齢、症状、病型により適宜増減する。
(小児用量)
通常、小児に対しては骨粗鬆症の場合には1日1回アルファカルシドールとして0.01~0.03μg/kgを、その他の疾患の場合には1日1回アルファカルシドールとして0.05~0.1μg/kgを、経口投与する。ただし、疾患、症状により適宜増減する。

ワンアルファ錠0.25μg/ ワンアルファ錠0.5μg/ ワンアルファ錠1.0μg
添付文書

ワンアルファは抜歯などするときでも問題なし

ワンアルファは抜歯するようなときでも中止する必要はない薬です。
抜歯などの際に注意が必要な薬として同じ骨粗鬆症に使う薬のビスホスホネート製剤が挙げられます。ビスホスホネート製剤は抜歯などの歯科の手術によって顎骨壊死などのリスクがあることが知られています。
フォサマックやボナロン(アレンドロン酸ナトリウム製剤)、アクトネルやベネット(リセドロン酸ナトリウム製剤)、ボノテオやリカルボン(ミノドロン製剤)、ボンビバなどのビスホスホネート製剤を使用している場合は注意が必要ですが、ワンアルファなどのビタミンD製剤では特別な注意は必要ありません。

ワンアルファの副作用

ワンアルファを骨粗鬆症に使用した場合の主な副作用はBUNの上昇(0.2%)、嘔気(0.2%)、食欲不振(0.1%)、胃痛(0.1%)、AST(GOT)の上昇(0.09%)であった、とされています1)
なお、頻度は稀であると考えられますが、重大な副作用として、急性腎不全、肝機能障害、黄疸の報告もあるため、ワンアルファを使用している期間は定期的に血液検査等で様子を見ることも必要です。
1) ワンアルファ錠0.25μg/ ワンアルファ錠0.5μg/ ワンアルファ錠1.0μg 添付文書

ワンアルファの飲み合わせ

ワンアルファには禁止でないものの、飲み合わせに注意が必要な薬がいくつかあります1)
ワンアルファとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
マグネシウムを含有する製剤 酸化マグネシウム
ジギタリス製剤 ラニラピッド
カルシウム製剤 ポリフル
ビタミンD及びその誘導体 エディロール、ロカルトロール
PTH 製剤 フォルテオ

上記の併用注意薬のうち、酸化マグネシウムなどのマグネシウムを含有する薬は比較的使用するケースも多く注意が必要です。マグネシウム製剤との注意が必要な理由として高マグネシウム血症が起きたとの報告があるためです。慢性的にマグネシウム製剤を使用している場合には注意するようにしましょう。また、高カルシウム血症が現れることがあるためPTH製剤であるフォルテオなども併用注意とされていますが、実際には併用されるケースもあり、こちらも検査結果などを注意しながら使用するようにしましょう。

ワンアルファの授乳中の使用

ワンアルファは授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。

授乳中は投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[授乳婦への投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で授乳による新生児への移行率は、母動物投与量の1/20に相当する。]

ワンアルファ錠0.25μg/ ワンアルファ錠0.5μg/ ワンアルファ錠1.0μg
添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、授乳婦に使用した経験が少なく、安全性が不確定な部分があるためです。

なお、動物実験では乳汁中にはあまり移行されないことが確認されています2)

また、専門家による見解として、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでは、長期で使用する場合は乳児の血中カルシウム濃度のチェックが必要としているものの、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解であり3)、授乳中の使用に関して否定的ではありません。

母親に長期投与する場合 、乳児の血中カルシウム濃度をチェックする

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にワンアルファを使用するかは処方医の先生の判断が必要です。ワンアルファに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) ワンアルファ インタビューフォーム
3) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

ワンアルファの妊娠中の使用

ワンアルファの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で大量投与の場合、胎児化骨遅延、性腺への影響がみられ、妊娠率の低下、胎児死亡率の上昇、胎児の発育抑制及び授乳力の低下等が認められている。]

ワンアルファ錠0.25μg/ ワンアルファ錠0.5μg/ ワンアルファ錠1.0μg
添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、生殖発生毒性試験における動物への大量投与で胎児化骨遅延等が認められたためとされています2)

実際に妊娠中にワンアルファを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。ワンアルファに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) ワンアルファ インタビューフォーム

ワンアルファの薬価、ジェネリック

ワンアルファの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はワンアルファ錠0.25μgで1錠あたり20.4円、ワンアルファ錠0.5μgで37.4円、ワンアルファ錠1μgで67.5円とされています。
ワンアルファ錠にはジェネリック医薬品(後発品)があり、カルフィーナ錠の販売名で販売されています。カルフィーナの薬価は0.25μgと0.5μgが5.8円、1μgで8.9円となっており、ワンアルファよりも安価な薬価となっています。

ワンアルファの市販での購入

ワンアルファの成分を含む薬は市販では購入することができません。また、ワンアルファと比較的成分が近いものや、代替となるような薬も市販では買うことはできません。
ワンアルファは専門的な知識が必要な疾患に対して使用する薬であり、必ず医師の適切な診察を受けて処方してもらうようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。

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