フルティフォームの効果や副作用|効果時間の特徴やうがいの必要性など

フルティフォームの特徴、効果、使い方、副作用、併用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

フルティフォームの特徴

フルティフォームはステロイド成分のフルチカゾンプロピオン酸エステルとβ2刺激薬の成分のホルモテロールフマル酸塩水和物を含んだ吸入薬であり、気管支喘息に対して効果がある薬です1)
フルティフォームの特徴として比較的速い作用発現が期待できる点、エアゾール製剤であるため、吸入力があまりない患者さんでも薬を効果的に使用できる点などがあります2)
フルティフォームは2013年11月に発売され、ICS(Inhaled Corticosteroids:吸入ステロイド薬)とLABA(Long-Acting β2 Agonist:β2刺激薬の成分)が含まれている4種類の吸入合剤のうち、2番目に新しい薬です。
フルティフォームにはステロイドの成分を50μg含んでいるフルティフォーム50μgエアゾールと、ステロイド成分を125μg含むフルティフォーム125μgエアゾールがあり、さらにそれぞれ56吸入用と120吸入用の種類があります。
1) フルティフォーム 添付文書
2) フルティフォーム インタビューフォーム

フルティフォームの効果

フルティフォームは気管支喘息に対して効果がある薬です。
フルティフォームの効能効果および効能効果に関連する使用上の注意の詳細は以下の通りです。

【効能・効果】
気管支喘息
(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
<効能効果に関連する使用上の注意>
1. 本剤は吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用による治療が必要な場合に使用すること。
2. 患者に対し次の注意を与えること。本剤は発現した発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、急性の発作に対しては使用しないこと。急性の発作に対しては、短時間作動型吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用すること。

フルティフォーム 添付文書

フルティフォームはCOPD、風邪、咳喘息には適応がない

フルティフォームの効能効果は前述の通り、気管支喘息に対してのみであり、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や咳喘息、風邪における咳症状などに対しては厳密には適応がありません。医師の判断により適応外で使用される可能性もありますが、自己判断でこれらの疾患に使用するのは避けましょう。

フルティフォームの作用機序

フルティフォームの作用機序はステロイド成分による気道の抗炎症作用と、β2刺激成分による気道の拡張作用によるものです。
ステロイド成分であるフルチカゾンプロピオン酸エステルは、細胞質にあるグルココルチコイド受容体と結合し、サイトカイン、プロスタグランジン、ロイコトリエンなどの炎症性メディエーターの産生を阻害し、抗炎症作用を示します。また、β2刺激成分であるホルモテロールはβ2受容体の刺激により細胞内のcAMPが上昇して平滑筋の弛緩などが引き起こされ、気管支が拡張します2)
喘息は気道に炎症をおこしており、気道が狭くなっているため、呼吸が苦しく感じますが、フルティフォームはこの状態に対して抗炎症作用と気管支拡張作用により、呼吸を楽にします。
2) フルティフォーム インタビューフォーム

フルティフォームの効果時間

フルティフォームは素早い効果発現時間と、1日2回の使用で効果が持続する効果持続時間を特徴としている吸入薬です。
効果発現時間に関しては、フルティフォームの最後の噴霧から計測して投与前値より15%以上 FEV1が上昇した時間を効果発現とした場合、フルティフォーム50エアゾール1回2吸入投与では6.6 分、フルティフォーム125エアゾール1回2吸入投与では5.9 分であった、という結果が確認されており2)、非常に速い効果発現が期待できます。
効果持続時間に関してもフルティフォーム50エアゾール1回2吸入投与では15時間、フルティフォーム125エアゾール1回2吸入投与でも13時間の持続時間が確認されており2)、用法用量にしたがって1日2回使用することで1日中効果が持続することが期待できます。
2) フルティフォーム インタビューフォーム

フルティフォームの使い方

フルティフォームは1日2回、1回に2〜4吸入使用するのが一般的な使い方です。
フルティフォームの用法用量の詳細は以下の通りです。

通常、成人には、フルティフォーム50エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして50μg及びホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2吸入、1日2回投与する。なお、症状に応じてフルティフォーム125エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして125μg及びホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2~4吸入、1日2回投与する。

フルティフォーム 添付文書

フルティフォーム吸入後は3秒息を止め、うがいをする

フルティフォームはアルミ缶部分を押すことで霧状の薬が出てくるエアゾール剤です。息を吸いながらアルミ缶を押し、ゆっくり吸い込みます。薬を吸ったあとは3秒程度息を止めることで気管支全体に薬が行き届くことが期待されるため、無理ない範囲で実施しましょう。
また、使用後は必ずうがいをするようにしましょう。うがいする理由として、主にステロイド成分による副作用を防止する意味合いがあります。口の中が白くなる感染や声が枯れるなどの症状を予防するため、ガラガラうがい、ブクブクうがいの両方を実施するようにしましょう。

吸入が難しい場合はスペーサーの使用も可能

フルティフォームはエアゾールが比較的ゆっくり出るため、吸入しやすいエアゾールと言えますが、それでも吸入が難しい場合は吸入補助器具であるスペーサーを使用することも可能です。
スペーサーは一度フルティフォームのエアゾールを溜めて、任意のタイミングで吸入することができる器具です。必要な場合は病院・クリニック、薬局などで相談するようにしましょう。

フルティフォームの副作用

フルティフォームの主な副作用は嗄声(声が枯れる;5.3%)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加(2.1%)、動悸(1.3%)、喘息(1.3%)、口内炎(1.1%)、咽頭炎(1.1%)とされています1)
上記のような症状を感じた場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
その他、カンジダ症の感染なども注意が必要となります。ステロイド成分による免疫抑制により感染しやくすなるためと考えられ、使用後のうがいの徹底が効果的となるため、フルティフォーム使用後は毎回必ずうがいをするようにしましょう。
1) フルティフォーム 添付文書

フルティフォームの併用

フルティフォームは他の薬との併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)
併用注意が必要なものは以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
リトナビル等
アムロジン、クラリス
カテコールアミン
アドレナリン
イソプレナリン等
キサンチン誘導体
テオフィリン
アミノフィリン等
テオドール
ステロイド剤
プレドニゾロン
ベタメタゾン等
利尿剤
フロセミド等
ラシックス
β遮断剤
アテノロール等
テノーミン、アーチスト
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
抗不整脈剤
三環系抗うつ剤等

フルティフォームの授乳中の使用

フルティフォームは授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止もしくはフルティフォームを中止するよう注意喚起されています

授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。
[実験動物(ラット)において、フルチカゾンプロピオン酸エステル及びホルモテロールは乳汁への移行が報告されている。]

フルティフォーム 添付文書

ただし、フルティフォームは吸入薬であり、実際には授乳への影響は限定的とも考えられます。

実際に授乳中にフルティフォームを使用するかは、処方医の先生の判断となります。フルティフォームに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

フルティフォームの妊娠中の使用

フルティフォームは妊娠中の使用に関して、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、実際に使用するかは医師の判断となります

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[フルチカゾンプロピオン酸エステル1.6μg/kg以上/ホルモテロールフマル酸塩水和物0.16μg/kg以上をウサギに吸入投与したときに、胎児の発育抑制および催奇形性が認められている。]

フルティフォーム 添付文書

授乳中の使用と同様に、実際にはフルティフォームは吸入して使用する局所作用の薬であるため、通常の使用量であれば胎児への影響は限定的とも考えられます。

実際に妊娠中にフルティフォームを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。フルティフォームに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

フルティフォームの薬価、ジェネリック

フルティフォームの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は以下の通りです。

製品名 薬価(円)
フルティフォーム50μgエアゾール56吸入用 2752.7
フルティフォーム50μgエアゾール120吸入用 5780.7
フルティフォーム125エアゾール56吸入用 3204.0
フルティフォーム125エアゾール120吸入用 6742.2

なお、フルティフォームにはジェネリック医薬品は販売されていません。
ジェネリック医薬品が発売されるには特許期間と薬の有効性や安全性を再審査する再審査期間が終了する必要がります。フルティフォームの再審査期間は2019年9月19日までであり、ジェネリック医薬品は少なくともこの期間までは発売されません。

フルティフォームの市販での購入

フルティフォームの成分を含んでいる吸入ステロイド剤は市販薬としては販売されていません。基本的には喘息治療のステロイド剤は市販では買うことができないため、必ず医師の診察を受けて薬をもらうようにしましょう。

薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

コメント Deprecated: strip_tags(): Passing null to parameter #1 ($string) of type string is deprecated in /home/satori5547/otc-drug-info.jp/public_html/wp-content/themes/cocoon-master/lib/html-forms.php on line 318

タイトルとURLをコピーしました